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「使命感で動ける事業」と「やらされ感が抜けない事業」の、決定的な違い

── 流行でも命令でもなく、内側から湧き上がるテーマで起業する

私たちは、売上や利益から逆算して事業を立ち上げません。

そのようにすると、メンバーにノルマを課し、売上目標や利益目標をどうしても達成しようとする力が働くからです。目標が先にあって、人がそこに合わせる。これは、このシリーズで何度もお伝えしてきた「フォース(外から押される力)」の構造そのものです。

また、流行やトレンドで事業を立ち上げることもしません。

「今、この業界が伸びているから」「このビジネスモデルが流行っているから」──こうした理由で始めた事業は、流行が去ったときに根っこがありません。

では、どうやって新しい事業を生み出しているのか。

私たちはそれを、「呼ばれた事業」 と呼んでいます。

3つの円が重なる場所

「呼ばれた事業」は、3つの要素が重なる場所に生まれます。

一つ目は、メンバーの個性と過去の体験。

その人がこれまでの人生で経験してきたこと。身につけてきたスキル。心の奥にずっとあった「やってみたい」という想い。

二つ目は、お客さまから求められていること。

目の前のお客さまが実際に困っていること。まだ言葉にはなっていないけれど、確かに存在しているニーズ。

三つ目は、社会や地域が必要としていること。

時代の変化の中で生まれてくる新しい課題。地域の中で誰かが取り組まなければならないテーマ。

この3つが重なったとき、事業は「つくる」のではなく、「呼ばれる」 のだと感じています。

自分から無理に探しに行くのではなく、自分の中にあるものと、外から自然と求められるものが出会う瞬間がある。その瞬間を見逃さず、形にしていく。

エル不動産と空き家即決買取専門店が生まれた理由

具体的な事例をお話しします。

エルハウスは、新築住宅を提供して20年以上になる会社です。

20年以上の歴史があるということは、20年前に家を建てたお客さまがいるということです。そのお客さまの人生も、20年分進んでいます。

すると、こんな声が届くようになりました。

「親から実家を相続したけれど、住む予定がない。どうすればいいだろう」 「今の家を売って、もっとコンパクトな住まいに住み替えたい」 「空き家になった実家を、誰かに活用してもらえないだろうか」

新築を建てるだけでは、こうした声に応えることができません。

でも、私たちは「家を売る会社」ではなく「人生の大きな決断に寄り添う会社」です。お客さまの人生のタイムラインが進んだ結果として、新しいニーズが自然と生まれてきた。

だから、エル不動産という不動産事業を立ち上げました。空き家即決買取専門店を立ち上げました。

これは、市場分析をして「不動産事業は儲かるから参入しよう」と判断したわけではありません。お客さまから呼ばれたから、応えた。 それだけです。

「平屋のことなら、この人」から生まれた事業

もう一つ、別の例をお話しします。

私たちのチームに、平屋を任せたらピカイチの女性取締役がいます。

彼女は長年の経験の中で、平屋の設計や提案に対する深い専門性と情熱を持つようになりました。お客さまからも「平屋のことなら彼女に聞けば間違いない」と自然に信頼が集まっていた。

この状況を見て、「彼女の強みを活かせる場をつくろう」と考えたのではありません。

彼女自身が持っている個性と情熱。お客さまから寄せられる信頼と需要。そして、平屋への関心が高まっているという社会のニーズ。

この3つが自然と重なった結果、平屋相談室というWebサイトが立ち上がりました。

誰かに命令されたわけではない。会社が「次の事業はこれだ」と決めたわけでもない。彼女の人生と、お客さまの声と、時代の流れが重なって、事業が「呼ばれた」のです。

「呼ばれた事業」の見極め方

では、「呼ばれた事業」をどうやって見極めるのか。

特別な分析ツールやフレームワークがあるわけではありません。ただ、日々の中で意識していることがいくつかあります。

まず、自分の内側に耳を澄ませること。

「何が気になるか」「何に心が動くか」「どんなときにエネルギーが上がるか」──こうした自分の反応を、丁寧に観察する。第13回でお伝えした意識レベルのセルフチェックは、ここでも役立ちます。パワーの領域で自分が動ける分野は何か。

次に、目の前のお客さまの声を聴くこと。

お客さまが言葉にしている要望だけでなく、まだ言葉にはなっていない不安や願いにも耳を傾ける。「こんなサービスがあったらいいのに」という声の中に、次の事業の種が隠れています。

そして、無理に急がないこと。

呼ばれた事業は、タイミングがあります。自分の準備が整い、お客さまのニーズが顕在化し、社会の流れがそこに向かっている。この3つが揃う瞬間は、焦って探すものではなく、日々を丁寧に生きている中で自然とやってきます。

「つくる」のではなく「応える」

振り返ってみると、私たちの9つの事業は、どれも「つくろう」として始めたものではありません。

お客さまの人生が進む中で、新しい分岐点が現れた。メンバーの中に、その分岐点に応える情熱と力を持った人がいた。社会もまた、その領域での支援を必要としていた。

その3つが重なったとき、「あ、これをやるべきだ」と自然にわかった。

事業を「つくる」のではなく、求められるものに「応える」。

その姿勢を持ち続けていれば、次の事業は向こうからやってきます。

自分の人生そのものが、事業の源泉になる

「呼ばれた事業」の最も大切なポイントは、事業の源泉がメンバーの人生そのものだということです。

誰かが考えた事業計画を実行するのではない。自分の人生の中から、事業が生まれてくる。

だからこそ、「望む人生を生きる」ことと、「事業を成長させる」ことが矛盾しない。自分の人生を豊かにすることが、そのまま事業を豊かにすることにつながる。

前回の記事で、120社・120名の経営者という構想をお伝えしました。

120の事業は、120人のメンバーの人生から生まれてくるものです。市場の穴を埋めるために立ち上げるのではなく、120人の「望む人生」から自然と立ち上がってくる。

だからこそ、その一つひとつに根っこがある。流行が去っても、市場が変化しても、簡単には折れない。

呼ばれた事業は、強い。

なぜなら、その事業の根っこが、その人の人生そのものだからです。

Live Our Journeys──かなわない夢はない、望む人生を手に入れよう。

前回 ◀ 第19回「120社・120名の経営者を生み出す構想」 次回 ▶ 第21回「『5Win(ファイブ・ウィン)』で意思決定する」

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