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見えなくなった時間を超えて

数年前、ある男性から
「刺繍を習いたい」と言われた。

当時、あるアーティストさんとコラボして
作品を作っていた頃。
その作品も気に入ってくださっていた。

針と糸を持ったことがない人でも
必ず素敵に見える作品になるには
どうしたらいいのか。

雑巾を作る宿題でしか
針を持ったことがないという。

わたしに習いたいと言ってくださった人に
喜んでいただきたい。

そう思っていた。

けれど、動画投稿には抵抗があり
なかなか踏み出せなかった。

そうこうしているうちに
視界が、すごい勢いで見えなくなってきた。

自分の作品にも
自信が持てなくなっていった。

全然見えなくなってしまったら
刺繍講座どころではない。

そして、手術。

視野が回復した。

すると
やりたかったことが
あれもこれもと湧いてくる。

わたしの源は
閉じていたわけではなかった。

ただ
やりたかったこと。

ただひたすら
文字の響きと向き合っていたこと。

振り返れば
何もかもが

めぐみだった。

見えなくなった時間の中でも、
糸だけは
わたしのそばにあった。

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