じんわりと泣けた/月組『雨にじむ渤海』配信
月組『雨にじむ渤海(パレ)』の配信は、入院中のベッドの中で、タブレット端末で見ました。
観劇した人たちが「泣けた」「こんなに泣いたのは久しぶりだ」と言っていたと、事前に友人から聞いていました。ベッドの中でさめざめと泣いていたら、看護師さんに心配されちゃうよね~なんて冗談めかして言っていたものでしたが。
雨の中、あみ(彩海せら)ちゃんを負ぶったぱる(礼華はる)くんのポスターの、なんとも悲しく切ない雰囲気に、まだ観劇もしないうちから胸が締め付けられる思いでした。もう、いつでも泣ける。
渤海(パレ)の王、インソン@ぱる(礼華はる)くんは兄が殺されるのを眼前で見た。自身も兄に代わって王位継承者となって、暗殺の危機に晒されて生きてきた。そのため、人を信じることができない冷徹な王として、渤海に君臨している。あるとき自身が乗った駕籠ごと谷底に落とされ、生死の境をさまよう。
そんなインソンを救い出し、親身に看病したのが、セウォン@あみ(彩海せら)ちゃん。セウォンは得意な絵を描いては市場で売り、細々と生活を立てている。セウォンはインソンが誰であるかも知らず、ただひたすら看病をし、回復をしてからはインソンを記憶をなくした行くあてのない者だと思い、ともに生活し面倒を見る。
インソンはそれまで顧みることのなかった市井の人々の暮らしと心の交流のあたたかみを知る。
やがて王宮に戻ったインソンは、それまでとは異なる心の通った王となる。けれども、運命はインソンを助けてはくれない…
ぱるくんの持ち味は、おっとり明るくお茶目で憎めないところである半面、朴訥で頑なな表情がとっても似合うところもあり、その後者のイメージがインソンにぴったりでした。頑なに心を閉ざしていたインソンが、何かに気づき、自ら動き始めるときの表情の変化がとても印象に残りました。そして、王宮に戻った後、妃を見つめるまなざしが最初の冷徹さとまったく違って、あたたかく柔らかく、観ているわたしの心も溶ける思いがしました。
セウォンは、誰に対してもあたたかく優しく、人懐っこい人。こちらもあみちゃんの個性にぴったりです。そんなセウォンが、インソンを裏切るような行動に出るのは、ただただ意外で驚きだったのですが、後にその理由が「つかまればインソンに会えるから」ということがわかり、そこまでの思いがあったのかと胸が締め付けられる思いでした。天と地ほどに身分が異なるインソンを、そこまで愛していたのかと。
インソンは守るべきは「国」ではなく「人」であるという信念を持つにいたり、自らを捨て、民を救う行動を起こす。
最後に「俺を信じてくれたのか」と問うセウォンに「逆だ。お前になら騙されてもいいと思った」と答えるインソン。この瞬間、じんわりと涙がにじみました。このとき、看護師さんが周りにいなくて、ほんとによかった笑。
一度は疑われながらも、インソンの心がほどけるのを待ち続けていた王妃ウンビン@ののこ(乃々れいあ)ちゃんと、セウォンの親友というより許嫁クムラン@(白河)りりちゃん。男同士の心の通い合いを前にしては、女子は何もしようがない。きっぱりと別れを決意する、あるいはそっと身を引く。そんな二人の姿も切なくて悲しい。
もしもう一度観劇する機会があったら、最初にぱるくんが現れただけで涙腺が決壊すると思う、それぐらい泣けるお話でした。心を打つ切なくて素敵な物語であり、ぱるくんとあみちゃんならではのバディ感も堪能できて、事前に聞いていたとおり満足感のある作品でした。
そして、ぱるくんとあみちゃんのバディ感を堪能できる作品をもっと見てみたいなと思いました。マサツカ(正塚晴彦)先生あたり、お願いできないかなぁ。
