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[連載小説]ソグディアナ物語20/ダダンブク満身創痍の帰還


あらすじ

『シルクロードJUN JUN』のソジュンはデビューし、ミュージカルでも活躍。
シルクロードの研究者になった初期メンバーの純一とマネージャーのアン・ミンジェと三人は、サマルカンドへ旅に出た。
ところがソジュンは、ひょんなことから夢で何度も見た砂漠のオアシスに辿り着いた。
ソジュンが消えブハラに残されたアンミンジェの前に古代の出立ちの『金旭俊』と名乗る若者が現れた。
遅れて到着したNAOまでが翌朝消えた。
「どうやら『時の扉』があいてしまったかもしれない」と長老は言った。
古代のオアシス亀茲に到着したナオシャンダとニルファナたちは、歓迎の宴で迎えられた。
唐に急いでいたダダンブクは、盗賊に襲われ、全てを失った。




前回の話




ソグディアナ物語第二十章

ダダンブク満身創痍の帰還


 ダダンブクの隊商は、満身創痍で亀茲に向かっていた。
 先に届いたプルワーンツで、「盗賊に襲われた」という悲報は、亀茲の人たちに知らされていた。

 娘たちは、便りが届いて以来、チャドを伴いラクダでバザールの端に出て、皆の帰りを待った。砂漠の果てにラクダの隊列が見えないかと、目を凝らしたが、彼らはなかなか帰らない。十日後の夕暮れ、ついに鈴の音が聞こえた。

「父上ーー!!おかえりなさいませ……」
「よく、お戻りに……」
 傷ついた隊商を見て言葉を詰まらせた。

 ダダンブクは、娘たちの出迎えに微笑みを浮かべた。ロクサナの横には舞踊修行で康国に行っていたニルファナもいた。
「おお、お前たちか!!ニルファナも帰っておったのか?!チャドもおるな。三人とも元気そうで、なによりじゃ……」
 それは、久しぶりの笑顔だった。親子の乗るラクダは、バザールを抜け館に戻った。

 館の前に待っていたのは留守を守っていた商団の家族と楽器工房のパールヴァン夫妻だった。皆、涙を滲ませ、一行を出迎えた。

 「ダダンブク様……よく戻って来られました……」
 パールヴァンは、憔悴した主と仲間たちの姿に言葉を詰まらせた。彼は振り返ると、息子のチャドに言った。 

「チャド、亀茲の僧院の薬師の先生方には連絡してある。わしが到着を知らせてまいる。お前は、隊商の方々に休んで頂く準備を頼む。薩保に同行された薬師先生だけでは手が回らないだろう。治療院の薬師の先生の加勢をもらって、こちらに来て頂こう」

「わかりました」

 この地に生まれ、薩保のダダンブクに仕えてきたパールヴァン夫妻にとって、これほどに憔悴した主の帰還は、初めての事だった。
 パールヴァンの妻マフシードは、自分たちに何か出来ないかと頭を巡らした。

「傷の手当てをする薬草が相当必要になりますわね。私たちの方でも手分けして集めましょう」
 隊商の家族たちと手分けし薬草集めに奔走し、雪解けの川から水を汲み、湯を沸かした。




 ダダンブクは、唐に居を構える名の知れた薩保として活躍してきた。
 唐や敦煌、亀茲に何ヶ所もの館を持ち、西域、天竺、羅馬でも名を馳せる豪商であった。
 安国ザンタナの錦工場を持つダダンブクは、唐ではザンダニジ錦を売る『安国のダダンブク』と呼ばれていた。
 今回の損害はそれを揺るがす事態となった。唐の館も安国ザンタナ村のザンダニジ工場の権利も全て失う結果となった。

 残ったのは亀茲の楽器工房と楽団派遣のみとなった。




 そんな様子を見ていたソジュンは、純一に言った。

「ダダンブクさん、たいへんな事になったね……
これって、まるでブハラの長老が話していた伝説の状況みたいだ」

「うん、そんな気がしていたんだ…」

「てことは、まさか……!?
ニルファナさんが唐に行くことになるの?」

 その不安はあたってしまった。



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