「アベンジャーズ5」のロバート・ダウニー・Jr.の声優は誰になるのか予想してみた
『アイアンマン』(2008年)以降、ロバー ト・ダウニー・Jr.の吹替を担当してきた声優・藤原啓治が亡くなって、5年が経とうとしている。なんと時の経つことの早いことか…。
さて、今年『ファンタスティック・フォー』(2025年)、『アベンジャーズ5』(2026年)にロバート・ダウニー・Jr.が再登場することが発表された。
一体、誰がロバー ト・ダウニー・Jr.の吹替を担当するのか。それはまだ誰も知らない。ならば、考えようじゃないか。そして当ててみようじゃないか。
ということで、この記事では吹替ファンの私が候補を一人ひとり挙げて、経歴やキャラ被りなどから潰していく。最後に残るのは誰だ!!!!!見届けろ!!!!!!!!
候補1.森川智之
言わずとしれた現在最高の声優の一人。この人の安定感はヤバい。トム・クルーズ、ユアン・マクレガー、キアヌ・リーブス、ジュード・ロウ、アダム・サンドラー、マーティン・フリーマン、専属俳優が多過ぎる。森川智之はこれらの俳優陣を現在一部の例外を除いて、すべて担当している。ほかにもオーウェン・ウィルソン、クリス・オドネル、ブレンダン・フレイザー、マーク・ウォールバーグ、ジョシュ・ハートネット、ピーター・ディンクレイジなどを継続的に担当している。正直、担当し過ぎである。
『スター・ウォーズ』シリーズでは、ユアン・マクレガー演じるアナキンの師匠オビ=ワン・ケノービを担当していながら、2024年の新作スピンオフドラマ『スケルトン』のジュード・ロウも担当している。何度も言うが、やり過ぎである。森川智之なら何でも無難に出来てしまうし、圧倒的な認知度と実力、そして人気がある。だからと言って、何でもかんでも森川智之にやらせ過ぎるのは正直どうなのか。
以降は森川が出演したMCU作品の一覧である。 サム・ロックウェル、ジュード・ロウ、マーティン・フリーマン、ロバート・ダウニー・Jr、ティム・ブレイク・ネルソン。計5人の俳優を担当している。
『アイアンマン3』
『キャプテン・マーベル』
『マーベルズ』
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
『ブラックパンサー』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『シークレット・インベージョン』
『マーベル・ワンショット:相談役』
『ホワット・イフ...?』
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』
おいおい、9作って。あり過ぎだろ。確かに森川は藤原啓治亡き後のロバー ト・ダウニー・Jrを(アニメやドキュメンタリーで)担当してはいるが、キャラ被りを考えて森川智之は除外すべきだと判断する。もし森川智之に決定したとしてもキャラ被りが多過ぎるので、私は断固反対である。日本にどれだけの声優がいると思っているんだ。それでは次、平田広明。
候補2.平田広明
ジョニー・デップといえばこの人、平田広明である。近年、ジョニー・デップは出演作の低迷に加えDVスキャンダルのおかげで、大作路線からデビュー当初のミニシアター系映画俳優に路線変更を迫られた。それと呼応するように、2010年前後からは平田広明の持ち役としていたジュード・ロウ、ユアン・マクレガーは次第に森川智之に奪われる形になっていった。
ここ数年の平田広明は、声の衰えが顕著になっている。年を経るごとに声に張りがなくなり、音域が高くなっている。老いなのか、ご病気なのかは分からないが、ともかくここ数年は声の衰えと比例するように持ち役が森川智之に奪われ、2000年代以前のような活躍が見られなくなっている。しかし、劇団昴や多くの吹替の現場で鍛えた演技力は本物で、2019年の映画『ジョーカー』での怪演は記憶に新しい。
そんな確かな演技力を持ちながら、持ち役の激減や声の衰えによって活躍の場が少なくなってしまった平田広明に、このロバー ト・ダウニー・Jrの役は相応しい。平田広明は『恋の闇 愛の光』(1995年)、『バックラッシュ』(1996年)、『愛の神、エロス』(2004年)で、若きロバート・ダウニー・Jrをやはり色気たっぷりに演じている。
RDJのカリスマ性と演技力、そして存在感に肉薄できるのは、彼しかいないのではなかろうか。私はまず平田広明に最初の1票を投じる。
候補3.桐本拓哉
何を隠そう桐本拓哉は、藤原啓治より先にアイアンマンを演じた人物である。
順を追って話そう。桐本拓哉は『アイアンマン』機内版でロバー ト・ダウニー・Jr.を担当した。桐本はブラッドリー・クーパーの専属声優で知られるベテラン声優・俳優である。飛行機に乗る人はよく知っているように、飛行機の機内上映では日本公開がまだの映画が吹替付きで上映されていることがしばしばある。当時全く期待されていなかった『アイアンマン』もご多分に漏れず、日本の劇場公開前に機内上映されていただろう。だとすれば、藤原啓治よりも早くアイアンマンも演じていたことになる。つまり、日本初のアイアンマン声優が桐本拓哉そのひとだった可能性があるのだ。
桐本拓哉が演じたアイアンマンは、タイムマシーンに乗らずとも、twitter(現X)やYoutubeなどでその断片を観ることが出来る。実力や実績は申し分ないが、幾分知名度が足りない。私は知名度だけを理由にした吹替キャスティングは大嫌いだし、心底軽蔑する。しかし、ビッグになり過ぎてしまったMCU作品の注目作『アベンジャーズ5』の、やはりビッグになり過ぎてしまった俳優ロバート・ダウニー・Jr.の吹替には、やはりそれなりに一般的にネームバリューのある声優がキャスティングされるだろう。残念ながら、桐本拓哉は候補から除外される。
候補4.大塚芳忠
40歳以下の日本人で大塚芳忠を知らない者はモグリである。そんな極論を言ってしまいたくなるほど、誰もが忘れられない声の演技の持ち主、大塚芳忠。大塚芳忠は現在70歳で、数々のアニメや吹替作品に出演してきた。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994年)、『シャーロック・ホーム』(2009年)でロバート・ダウニー・Jr.を担当している。
彼ならば、圧倒的なカリスマ性、存在感、繊細な演技に肉薄できるだろう。実際、藤原啓治が劇場公開版でRDJの吹替を担当した『シャーロック・ホーム』のテレビ朝日版で、大塚芳忠が同役を演じた際は、そのエキセントリックな演技を完璧に自分のものにしていた。
正直、私は『オッペンハイマー』も彼が演じることを期待していた。大塚芳忠とRDJの年齢差が10歳もあることが懸念点ではあるが、アニメでもっと若い役を演じているし、何より大塚芳忠のRDJをまた観てみたい。私は大塚芳忠に1票を投じる。
候補5.山寺宏一
40歳以下の日本人で山寺宏一を知らない者は死刑である。そんな暴論を言ってしまいたくなるほど、声優業界の代表的人物、山寺宏一。声優と言えば、山寺宏一である。
山寺宏一は『エア★アメリカ』(1990年)、『チャーリー』(1992年)でRDJを演じた。特に『チャーリー』VHS発売時には、その演技の見事さが絶賛されたという逸話がある。が、真偽が不明なため、いつの間にかwikiから記述が削除されていたた。
山寺はすでに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で主役のクリス・プラットを演じている。とは言え、スター・ロードの物語は完結したし、当然『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス』のペドロ・パスカルの候補に諏訪部順一、津田健次郎、堀内賢雄と共に名前が挙がっているだろう(山寺は直近の2作でパスカルを担当している)から、ペドロ・パスカルとロバート・ダウニー・Jrのどちらかを担当する可能性は十分にあると考える。私は山寺宏一に1票を投じる。
候補6.堀内賢雄
ここ数年、次第にアニメファンに支持されるようになってきた言わずとしれたベテラン声優、堀内賢雄。私としては山寺宏一を押しのける形でブラッド・ピットの専属声優に躍り出たことが気に入らないが、実力と実績は申し分ないスター声優である。山寺とは対照的に自然な台詞回しと素朴な演技を得意とし(得意と言うのか?)、ベテランになりより一層声に深みが出てきたことから(というか小細工をしないから)、どんな役も演じる前から演技のイメージが付きやすい。ゆえにキャスティングしやすいのではないか。山寺宏一や江原正士は俳優や役によって演技をまるっきり変えるからかえってキャスティング前にイメージが湧きにくい。
堀内賢雄がロバー ト・ダウニー・Jrを演じる可能性は、十分高いと思う。が、堀内がかつて担当した『オンリー・ユー』『追跡者』はいずれも若い二枚目俳優としての演技だった。堀内のずっしり構えた力強い朴訥な演技と低音の深い声は、ブラッド・ピットにはマッチするが、コロコロ表情が変わり、繊細さや神経質さをたたえたRDJのスタイルにはマッチしないように思える。藤原啓治はそのスタイルをこれ以上ないほど上手く表現していたし、彼にはそれが向いていた。堀内賢雄にRDJは向いていない。それだけのことである。私は堀内賢雄を候補から除外する。
候補7.山路和弘
ロバー ト・ダウニー・Jrが助演男優賞を受賞した映画『オッペンハイマー』でロバート・ダウニー・Jrの吹替を担当したのが山路和弘。ジェイソン・ステイサムやヒュー・ジャックマンの専属声優で知られる私が考える日本一上手い声優の一人である。
『オッペンハイマー』で担当するまでRDJとは縁がなかったが、プロデューサーと音響監督が同じならば山路和弘になる可能性はゼロではない。『オッペンハイマー』の吹替演出を担当した鍛治谷功はMCU映画を『ブラックパンサー』『アントマン&ワスプ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』で担当している。ただ、『アベンジャーズ』シリーズの吹替演出は三好慶一郎が一貫して担当しているし、劇場公開版の場合、日本側のプロデューサーが集客を想定したキャスティングをしたり、本国スタッフが声と演技のイメージが近い声優を選ぶことが多い。
山路和弘もネームバリューのある達者な俳優だが、RDJに配役される必然性はないし、かつて持ち役としていた声優を差し置いて配役されるのは好きではない。申し訳ないけど、山路和弘を候補から除外する。
候補8.池田秀一
『アイアンマン』『アイアンマン2』のテレビ朝日版でロバート・ダウニー・Jrを担当した池田秀一。ネームバリューやカリスマ性は申し分ないが、年齢差があり過ぎる。60歳になろうとしているRDJと75歳の池田秀一の年齢差は15歳。シリーズが1作で終わるはずもなく、仮に5年続けば池田秀一は80歳になる。失礼な話だが、私が演出家なら怖くてキャスティングできない。ということで、池田秀一は除外する。最後はマニアックなこの人。
候補9.中野泰佑
中野泰佑は『マーベルアイアンマン VR』の一部追加シーンにおいてアイアンマンを演じている。この文章を読んで下さっている人の中には、中野泰佑の名を聞いたことがない人がほとんどだろう。
中野泰佑は大塚芳忠の声や台詞回しにそっくりな声優として知られている。若手の部類に入る中野泰佑は若者から壮年の役までそつなくこなすことで、それなりに吹替業界では重宝されている向きはあるのだろうが、いかんせんモノマネである。山寺宏一にせよ、間宮康弘にせよ、武内駿輔にせよ、自分の芝居があってこそのモノマネなこである。地声は大塚芳忠には似ていないので、彼がこれから自分の芝居を作っていくことを願って、候補から除外する。
結論
という訳で、結論。
超個人的な取捨選択により、平田広明、山寺宏一、大塚芳忠が候補として残った。山寺宏一はキャラ被りの心配あるし、大塚芳忠は年齢が高いので、私は消去法で平田広明を推します。
ここまで、読んでいただきありがとうございました。みなさんは誰に演じてもらいたいですか?誰か総選挙してくれないかな。次回は、吹替史講義を再開します。た…、たぶん。
