俺にしとけって系男子へ。
やっと付き合えた憧れの彼と、喧嘩別れしてしまう。
意気消沈していると、それまで異性として見ていなかった男子が、
「俺にしとけって。」
と、接近してきて、思わぬアプローチにドキっとする。
…次号もお楽しみに!
というのが、幼い頃よく読んでいた少女漫画でありがちな展開だった。
主人公と本命男子に肩入れしていた当時の私は、「そんな男子いいから早く仲直りしろ!」と思っていたものだ。しかし、今となって考えてみるとこの「俺にしとけって。」という男子ってかなり魅力があるのではないだろうか?
今回は、この「俺にしとけって系男子」について、考えてみたい。
俺にしとけって系男子とは?
「俺にしとけって系男子」とは、亜麻布が考えた造語である。
以下のように定義づけるものとする。
俺にしとけって系男子とは?
少女漫画の女性主人公が、本命の彼(=本命男子と呼ぶことにする)と上手くいかずに傷心している時に、そばにいて「俺にしとけって」と言ってくる男子のこと。
俺にしとけって系男子の発生条件
「俺にしとけって系男子」の発生条件は、以下のようなものだ。
1.主人公には本命が他にいる
まず、「俺にしとけって系男子」は、最初の段階では絶対に「サブ」じゃないといけない。そうじゃないと「俺にしとけって」が成り立たない。主人公は本命のことが大好きで本命しか見えないのだ。本命男子、メイン男子がいてこその「俺にしとけって系」であることは「俺にしとけって系男子」も覚えておかないといけない。
2.主人公と近い関係性
主人公と「俺にしとけって系男子」は、身近な関係性だ。
ちょうど「本命男子」が、憧れなど遠目の存在であることと対照的である。近過ぎて異性としてお互い意識してない場合もある。例えば、主人公の幼馴染。兄妹のように育ったので、今更意識できないというのはありがちなパターンだ。また、本命男子の友達というケースもある。
3.主人公に密かに思いを寄せている
主人公は、「俺にしとけって」と言われるまで「俺にしとけって系男子」のことを気にしていないが、「俺にしとけって系男子」は、主人公に密かな恋心を抱いている。それがいつからかそうなるのかは様々だ。最初は意識していなかったが、物語中のふとしたきっかけで意識するようになった、というケースが多い。例えば、主人公・本命も含めたグループ旅行で主人公のお風呂上がりに上気した顔の浴衣で髪が解けかけてる姿を見た、というきっかけが一つのパターンだ。
4.主人公は本命とうまくいかなくなった
「俺にしとけって系」が「俺にしとけって」と言える最大のチャンスが、主人公が本命男子とうまくいかなくなった時だ。主人公は本命に対し、かなり背伸びをしている。そこを身近さを生かして、「俺にしとけって」を発動する。
5.「俺にしとけって」は1度に2回まで
「俺にしとけって系男子」は、何度でも「俺にしとけって」イベントを発動することができる。
しかし、一度の「俺にしとけって」イベントで「俺にしとけって」と言うセリフを言えるのは2回が限度だ。それ以上言うとしつこい。
例えば、以下のような状況が考えられる。
〜傷心の主人公が泣いている〜
俺にしとけって系男子「…しとけって」
主人公「…え?」
俺にしとけって系男子「俺にしとけって」
上記のように、最初はちょっと小さめの声で興味を惹き、2回目ではっきり言うのがポイントである。
閑話休題
「俺にしとけって系男子」と声に出してみよう。
かなり気持ちがいい。
俺にしとけって系男子は、なぜこんなに良いのか。
今回私が一番論じたいポイントは、「俺にしとけって系男子」が、なぜこんなに良いのか、である。
似て非なる存在、どしたん話聞こか系男子。
魅力を語る前に疑念を明確化しておきたい。
「どしたん、話聞こか?」と、相談に乗るふりをして、傷心の女子を狙う男子がいる。「俺にしとけって系男子」も、主人公女子の傷心に発現するので、どしたん話聞こか系男子と変わらないではないか、そういう意見も散見される。
しかし、俺にしとけって系男子は彼らとは全然違う魅力を持つ。
その理由が、以下で明らかになるだろう。
負け戦を引き受ける覚悟
俺にしとけって系男子。
彼らの特徴は、最初から「負け戦」であるということだ。
主人公には、本命がいる。そして、本命とうまく行ってなくて、本命への思いがピークに達しているところだ。わざわざそこに、ストレートにぶつけてくる無骨さがある。
負け戦なのをわかっていて挑むって、なかなかできないことだ。
一方、どしたん話聞こか系男子は「相談」という看板を掲げて主人公に近づく。
主人公は「相談に乗ってもらったし…」と引け目を感じて、関係が進んでも後に引けない。それがどしたん話聞こか系男子のずるいところだ。ちょっと自分の有利な方向に進めようとしている。
俺にしとけ、というリスクを負う
「俺にしとけって」が拒否されると、ダメージが二重になる。
「俺にしとけ」と言う提案への否定。
「俺」への否定。
一度の拒否で、2倍のダメージを受ける。
「俺にしとけって系男子」は、相当なリスクを背負っているのである。
それを、本命がいる負け戦でやる。
そのかっこよさに痺れてしまう。
強引で謙虚な「しとけ」
「俺にしとけって系男子」は、命令口調に少々の強引さが見える。
しかし、「本命より俺の方がいい」とは言わない。むしろ「本命には敵わないかもしれないが、俺で妥協しとけ」と言ってるのである。
なんという謙虚さ。「俺にしとけって系男子」自身も、少女漫画の中では魅力溢れる存在で、それ相当のプライドもあるはずなのに。そのプライドを抑えてまで「俺にしとけって」と言うのである。
読者はもう、俺にしとくしかない。
主人公よ、彼にしとけって。
応用編:弊社にしとけって。
大人で既婚の皆さんは「俺にしとけって。」と言われるケースはあんまりないだろう。
しかし、働いていたり何か大きな買い物をしたりするとき、何社かで相見積もりをする場合もあるのではないだろうか。
その時、正直二番手だな〜と思っていた会社から
「弊社にしとけって。」(の丁寧語版)
そんなことを言われたら、ときめいてしまう。本命の悪口は言わず、ちょっと強引で、魅力があって…
もう、その場に御社にしてしまいそうだ。
閑話休題
「僕にしとけって。」じゃダメなのか。
いや、いい。個人的には「僕」が背伸びしている感じが、むしろ好感が持てる。
おわりに〜俺にしとけって系男子へ。
俺にしとけって系男子は、こんなにも魅力があるのに、あくまでも二番手として、ここぞと言う時に真っ直ぐ勝負を挑む、そんな漢気があって、かっこいい。
全俺にしとけって系男子へ。
私にしとけって。
(了)
おまけ
俺にしとけって、の雰囲気を味わってもらうために亜麻布が恥を忍んで録音しました。こんな感じです。
読んでいただきありがとうございました!!
亜麻布のサイトマップはこちら。
いいなと思ったら応援しよう!
チップのご検討、ありがとうございます。
3歳児を育てつつ、スキマ時間に創作を続けています。
いただいたチップは、家事の時短や創作時間の確保に使わせていただき、より楽しい文章をお届けする力に変えていきます。応援が本当に励みになります。