彼氏の服を着たらモテる
20歳、今と同じく浅はかだった時の話だ。
当時大学生だった私は、ものすごくモテたかった。
お恥ずかしい話であるが、ちやほやされたかったし、告白されたかったし、私を狙って頑張ってほしかった。
でも、希望の大学に入るために勉強以外のことをしていなかったため、モテるようなおしゃれで綺麗な大学生とは程遠かった。綺麗な女子学生は、見た目に気を遣っている時間を割いているにもかかわらず、私と同じ大学に入れている、そういう意味で私よりずっと頭が良いのだろう。容姿、頭脳、何も勝てていない。コンプレックスのかたまりだった。
男女混合のコミュニティにいても、男の子たちは他の女子を狙って頑張ったり、ちやほやしたりしているのを、ただ眺めていた。
私はなんとか垢抜けたいと、自分に合いそうな雑誌を読み漁った。
そんな時に、見つけたとある雑誌。
「彼氏の服を着たらモテる」
表紙にそんなことが書いてあるのに興味を惹かれた。
中身を見ると、ダボっとした大きめのトレーナを被るように着ている、ショートカットの細身女子が写っていた。もちろん袖も余っているため、いわゆる「萌え袖」状態となっていた。男物のゴツゴツした風合いと華やかな顔立ちのモデルさんのギャップがよりオシャレに見えた。
「この着られてる感がたまらない!」
「守りたくなっちゃう!」
など、男子側の意見も掲載されており、「彼氏の服を着たらモテる」は説得力がありそうだった。
なるほど。
彼氏の服を着たらモテるのか。
私もやってみよう。
でも……その前に彼氏がいないから、まずは彼氏だな。
彼氏を作るためには、モテるようにならないとな。
モテるためには、彼氏の服だな。
え……?
私は「自分の尻尾を捕まえようとしてぐるぐる回る犬」状態になった。

「彼氏の服を着たらモテる」は、私にはレベルが高すぎる概念だった。
そんな私にも物好きな男がいたらしく彼氏ができた。そうだ、彼氏がいたら「彼氏の服」が着れるではないか。
私は彼に「服を貸して欲しい」と言った。
「なんで?」
「彼氏の服を着るとモテるらしいから……」
「モテる必要ある?」
そうだ。
彼氏がいるならモテる必要はないではないか。
「彼氏の服を着るとモテる」
あれは誰のためのものだったんだろうか。
今でも謎が残る。
(了)
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