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クリスマス前におかした罪

クリスマス前に、私が「おかした」罪について告白したいと思う。

実家では、クリスマスツリーにクッキーを飾る習慣があった。

12月初めにツリーを飾った後、母はクッキー作りに取り掛かる。私が参加するのは、型抜きからだ。

教会、靴下、サンタ、リース、ツリー、ジンジャーマン。
クリスマス風の様々な型で抜いて、オーブンで焼く。

焼き上がったら、次はアイシングだ。
様々な食用色素をクッキーの表面に塗っていく。
サンタの帽子にはピンクに近い、赤。
靴下は水色と白。
ツリーやリースには緑。
サンタやジンジャーマンの顔はチョコペン。
銀色の丸いアラザンで、ワンポイント。

飾り付けをしたら、天板に並べて、乾かす。
乾いたら、透明な小さい袋に入れて、クリスマスツリーに飾るのだ。

小学生だった私の身長より大きなクリスマスツリーが玄関に飾ってあった。
そして玄関のすぐ側に、私と弟の子供部屋がある。

当時、私は親に何かを主張するのが苦手だった。
3つ年下の弟が、わがまま放題で、よく叱られていた。姉である私は、そんな弟に遠慮していた。もし私が主張したら、さらに叱られるかもしれない。

玄関に、クリスマスツリーに飾ってあるクッキー。
それを見るたびに、「食べたい」と思った。それなのに、決して「食べたい」と親に言うことは出来なかったのだ。

「食べたい」と言えないことで、ますます食べたい思いが募ってしまう。

だから、私は、罪を「おかし」た。

母が台所にいる隙に、こっそり、靴下の形をしたクッキーを手に取った。
袋がゴミ箱に入ってると、バレるかもしれないから。
わからないぐらいに割って、小さな欠片を口に入れた。

手作りのクッキーは、ほっくりとやさしい。
罪を、許してくれそうだった。

私は味をしめた。
その後も、靴下型のクッキーを少し割っては、こっそり口に入れた。
とうとう、靴下だとわからなくなってしまった。

透明な袋をツリーから外して、自分の机の中にしまった。

数日後、「おやつよー」と母に呼ばれた。
食卓を見て、私は驚いた。

なんと、クリスマスツリーに飾られているはずのクッキーが3つも置いてあるではないか。

サンタのクッキー。
教会のクッキー。
リースのクッキー……。

「あのクッキー、飾ってあるのも食べていいんだよ」

こっそり食べているのを見透かされているようで恥ずかしくなった。

とにかく私はその日、おかした罪を食い改めたのである。

(973文字)


三條凛花さんの、「12月✖️暮らし」のエッセイに参加します。
今回で「tote」最終回とのこと、いつも素敵なtoteをありがとうございました。少しでも最終回を盛り上げられたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いいたします。

プロフィール(50文字以内)
短歌から長編小説まで物語を書くフリーランス。夫と3歳男子の3人暮らし。家事は永遠の初心者。

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