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あなたに不幸は似合わない

大叔母が亡くなって、1ヶ月。
享年99歳。99歳の誕生日の次の日に亡くなった。

90代を9年も生きたのか、しかも、元気で。そう考えるとちょっとびっくりしてしまう。ちょくちょく入院はしていたものの、基本的に佐世保の家にいて、そこから1時間ほどかかる長崎市内の、叔母の家(大体親戚一同が集まる場所)にもバスで通っていた。

叔母が笑いながら話していたのを思い出す。大叔母と叔母が横断歩道を渡ろうとすると青信号が点滅している。叔母が一旦止まろうか、と思っていたら、
「チカチカしとるけん、早よ渡らんね!」
そう言って大叔母がシャカシャカと渡りはじめたのだという。その時、大叔母、92歳。そんな90代、おらんって。誰もがそう言った。

私だってそう思う。大叔母は、LINEを親戚中の誰よりも使いこなしていた。絵文字も、かわいい「おばあちゃんスタンプ」もふんだんに使っていた。今でも、カラフルな文面を読み返すと、大叔母の声が聞こえてきそうで、読み返せていない。

うちの親戚は大体大袈裟なのだが、大叔母は特に大袈裟だった。私が来ると顔をくしゃくしゃにして、「あらあ〜〜〜」と、まるで小さい子に対するような抑揚たっぷりの声で迎えて、それを30代の私に対しても、同じようにするから、苦笑いしてしまう。大叔母に会う前は、その声を受け止める準備を整えている気がする。

長崎の家に行った時、「大叔母さんは、来ないの?」って、言わないにしても、思ってしまいそうで。あの人の声を、受け止める構えをしてしまいそうで。寂しくなってしまいそうで、怖い。

そうそう、若い時の写真を見せてもらったことがある。今もだけど、すごく美人だった。若い頃は病気がちだったそうだ。看病をしてくれた同僚と結婚した、と聞いた時は、お姫様かと思った。大叔父は、茶色の背広が似合うダンディな人だったが、数年前亡くなる時まで、ずっと大叔母と連れ添っていた。看護師さんに「ラブラブでうらやましい」って、言われたんだって。

ずっと、華やかな人だった。淡い紫のショールが似合っていて、上品で、元気なおばあちゃんが親戚にいることを、どこか拠り所にしていた。あの人は、ずっとずっと、生きると思っていた。100歳、 110歳、120歳。寿命を引き延ばすだけじゃなくて、永遠に元気でいると思っていた。

でも、大叔母は99歳の誕生日に、こう言っていたそうだ。大叔父に、会いたい、と。そっか。すでに視線は、向こうにあったんだ。

どうしても結びつかない。たまたま都合が悪くて来れなくなっただけなんだって、思う。

身内に不幸がありまして、と言う。
それなら、誰にでも「不幸」は来るのかもしれない。
それが、生きてるってことだ。

でも、あの人に、あなたに不幸は似合わない。
代わりに、届かなくても、伝えたい。
ずっと、大好きでした。


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