【FX】コロナショックの教訓──2020年3月に相場が教えてくれたこと
こんにちは。兼業トレーダーのfelixです。
2020年3月。あのとき、世界が止まりました。
そして、為替市場は「止まる」どころか、まったく予測不能な動きを見せました。リスクオフで円が買われ、その直後にドルが猛烈に買い戻される。教科書通りの動きが通用しない、まさに「異常相場」でした。
私がFXを始めたのは2019年。コロナショックが起きた2020年3月は、ちょうどFX歴1年の駆け出しトレーダーでした。この記事では、あのときドル円に何が起きていたのかを実データで振り返り、FX1年目の私がどう翻弄され、何を学んだのかをお伝えします。
コロナショック前後のドル円──実データで見る
2020年2月〜3月の流れ
2月下旬
新型コロナウイルスの世界的拡大が本格化
ドル円は112円付近で推移
この時点ではまだ「対岸の火事」と見るトレーダーも多かった
3月前半──リスクオフの円高
世界的な株安が加速
3月9日、ドル円は101.18円まで急落
2月下旬の112円から約11円の下落(約1100pips)
典型的な「リスクオフ=円高」の動き
3月後半──ドル需要の急増(ドル高)
3月中旬から流れが一変
世界中で「とにかくドルが欲しい」というドル需要が爆発
FRBが緊急利下げ(3月3日に0.5%、3月15日に1.0%の利下げ)するも、ドル高は止まらず
3月24日、ドル円は111.71円まで急騰
101円→111円。わずか2週間で約10円(1000pips超)の反転上昇
つまり、2020年3月のドル円は、
まず11円下がり(円高)
その後10円上がった(ドル高)
合計で約21円幅の乱高下が1か月の間に起きたことになります。
FX1年目の私──何が起きていたか
「教科書通り」にショートを入れた
2020年3月初旬、世界的にリスクオフの空気が強まる中、私は「リスクオフ=円高」という教科書的な知識を頼りに、ドル円のショートポジションを取りました。
エントリーは108円付近。ストップは110円。
結果的に、このトレード自体は方向が合っていました。ドル円は下がり続け、107円、106円、104円…と落ちていく。含み益が膨らんでいく。
ここで私は最初の判断ミスを犯します。
「まだ下がる。利確はもっと引っ張ろう」
FX1年目の私は、こんな大きな値動きを経験したことがありませんでした。毎日1円、2円と動く相場に興奮し、利確のタイミングを完全に見失っていました。
急反転──含み益が消える
3月9日に101.18円をつけた後、ドル円は反転を始めました。
最初は「押し目だろう」と思っていました。103円、104円…まだ含み益はある。でも、105円、106円と戻していく中で、「何かおかしい」と感じ始めました。
そして3月中旬、ドル円は108円を超え、私のエントリーポイントを上抜けました。
含み益が10万円以上あったポジションが、一気に含み損に転落。
パニックです。
全ポジション損切り
結局、109円付近で全ポジションを損切りしました。損失は約-3万円。
「含み益が10万円以上あったのに、最終的に-3万円」
金額としては致命的ではありませんが、精神的なダメージは計り知れませんでした。
さらに悪いことに、損切りした後もドル円は上がり続け、111円台まで到達。「損切りしなければよかった」という感情が湧き上がり、しばらくチャートを見ることすらできなくなりました。
コロナショックが教えてくれた3つのこと
FX1年目のあの経験から、今でも大切にしている教訓があります。
教訓1:異常相場では「退場」が最善手
コロナショック級の相場変動は、通常のテクニカル分析やファンダメンタルズ分析が機能しません。
リスクオフで円高になったと思ったら、ドル需要で急反転
FRBが利下げしているのにドル高
VIX指数が過去最高水準を更新し続ける
こんな環境で、兼業トレーダーが21時〜23時の2時間でまともな判断を下すのは無理です。
異常相場のサインが出たら、ポジションをゼロにして相場を「観戦」する。
これが最も合理的な選択だと、今は確信しています。
「異常相場のサイン」として私が見ているのは:
VIX指数が30を超える(通常は15〜20程度)
1日のドル円変動幅が3円を超える
主要国の緊急利下げや緊急声明が出る
SNSのタイムラインが阿鼻叫喚になる
これらが複数当てはまったら、何もしないことがトレードです。
教訓2:含み益の管理にルールを持つ
コロナショックで含み益を全て吹き飛ばした最大の原因は、利確ルールがなかったことです。
「まだ伸びるかもしれない」という欲が、判断を狂わせました。
今の私のルールはこうです:
含み益が+100pipsに達したら、ストップを建値に移動(最低限の利益確保)
含み益が+150pipsに達したら、半分利確
残り半分はトレイリングストップで追う
このルールを守っていれば、2020年3月のトレードでも確実にプラスで終われていました。
教訓3:「なぜそう動いたか」を後から理解する習慣をつける
コロナショック時のドル高は、当時の私には全く理解できませんでした。「FRBが利下げしているのになぜドルが上がるんだ?」と。
後から学んだのは、流動性危機におけるドル需要というメカニズムです。
世界中の企業や金融機関が「現金(ドル)」を確保するために、あらゆる資産を売ってドルを買う。金利が下がろうが関係ない。「今すぐドルが必要」という切迫したニーズが、ドルの価値を押し上げる。
こうした「教科書に載っていないメカニズム」を理解することが、次の異常相場への備えになります。
私はコロナショック後、以下の書籍や資料を読み込みました:
過去の金融危機(リーマンショック、アジア通貨危機)の為替変動データ
FRBのドルスワップラインに関する解説
流動性危機と為替の関係に関する論文
FX1年目でこの経験ができたのは、今思えば「幸運」だったかもしれません。
数値で振り返る:2020年3月の異常さ
コロナショックがいかに異常だったか、数値で確認しておきます。
指標 | 通常時(2019年平均) | 2020年3月
ドル円月間値幅 | 約2〜3円 | 約10.5円
1日の平均値幅 | 約0.5〜0.7円 | 約2〜3円
VIX指数 | 12〜18 | 最大82.69(3/16)
ドル円ポジションの偏り | やや円ショート | 極端な偏りと急反転
月間値幅が通常の3〜5倍。1日の値幅も4〜5倍。VIXは通常の4倍以上。
こんな相場で「いつも通りのトレード」をすること自体が、リスクの取りすぎです。
今だから言えること
FXを始めて7年。累計で約320万円の損失を出し、3回の資金を大きく飛ばす経験をしてきました。
その中でも、2020年3月のコロナショックは「原体験」として最も深く刻まれています。
あのとき、もし私がFXを辞めていたら、今の自分はいません。月に8万円ほどの利益をコンスタントに出せるようになったのも、あのときの恐怖と失敗があったからです。
相場は時に残酷で、時に理不尽です。でも、生き残りさえすれば、必ず次のチャンスは来る。
2020年3月に学んだ「退場の判断力」は、2024年7月の為替介入の時にも活きました(そのときの話は別記事で書いています)。異常相場のサインを感じたとき、「何もしない」を選べるようになった。それだけでも、コロナショックの授業料は安かったと思っています。
異常相場チェックリスト
最後に、私がNotionに入れている「異常相場チェックリスト」を共有します。3つ以上該当したら、ポジションをクローズして相場から離れるルールにしています。
[ ] VIX指数が30を超えている
[ ] ドル円の1日の値幅が3円を超えた
[ ] 主要中銀の緊急会合・緊急利下げが発表された
[ ] 政府・中銀の異例の声明が出た
[ ] SNSでパニック的な投稿が急増している
[ ] 自分の感情が明らかに平常時と異なる(興奮・恐怖・焦り)
[ ] 通常のテクニカルパターンが機能していない
このチェックリストは、2020年3月の経験がなければ生まれませんでした。
失敗は、未来の自分を守るための教材です。
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