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第4話「心を動かす看護師さんの言葉」

※この記事は「MFICU体験記・全5話シリーズ」の第4話です。
続きはシリーズまとめ(マガジン)からご覧いただけます。




僕ひとりでは、妻をとても支えきれませんでした。

妻は、病室内で安静といわれてるのに、抜け出そうとして病院の外に出ようとしたり、

点滴(抗生剤)を抜いてしまえば、楽になれる!?と考え

間違った行動を起こそうとしたり・・・

どれだけ言葉をかけても、どれだけ手を握っても、
沈んでいく妻の心を、完全に受け止めることはできませんでした。

だからこそ——
あのとき、妻の前に現れてくれた看護師さんの存在は、何にも代えがたい支えでした。



「〇〇さん、その湧き上がる感情は、とても自然なことですよ。
誰にでも起こりうる、普遍的な感情ですからね」

そう語りかけてくれた、ひとりのMFICUの看護師さん。

その一言が、どれだけ妻の心をゆるめてくれたか、分かりません。

現実が変わったわけではありません。
けれど妻は、「こんなことを思ってしまう自分はおかしい」と責め続けるのを、少しずつ手放していけたのです。



もちろん、ただ優しい言葉だけをかけてくれたわけではありません。

うんうんと寄り添いながら、
看護師さんは医学的な知識も交えて、客観的な視点から妻に情報を届けてくれました。

「この状況はどういうことなのか」
「どうしてこの処置が行われているのか」
「どこまでが“今できる最善”なのか」

“気持ち”と“知識”。
“人間としての寄り添い”と、“看護師としての専門性”。

その両方があったからこそ、妻の心は少しずつ、少しずつ戻っていったのだと思います。

また

点滴の処置をしながらしてくれた

″雑談″にも心が救われました。

「この病院は映画のロケ地にもなったんですよ」

何気ない雑談ですが

僕たちの心は癒されていきました。



ある日には、車椅子で院内の桜を見に連れて行ってくれたこともありました。
季節は確かに変わっていたのに、それすら気づけていなかった僕たちにとって、
その景色はまるで、呼吸を思い出させてくれるような時間でした。



医療従事者の人間力。
そして、医療従事者としての視点。

あの時の妻には、その両方が必要だったのだと思います。



【第5話につづく】

「ちゃんと動いてるよ」——小さな命の瞬き

″胎動″ 赤ちゃんの生きてる証
この胎動を感じることで見えてきた私たちの希望とは?


※このシリーズは全5話構成です。プロフィールにリンクをまとめています。
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