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仕事だけではない「キャリア」を考える

 「キャリアとは仕事に限ったことではない。どう生きるかだ」

 この言葉は、深く感銘を受けたわけではないが寄せては返す波のように時々思い出す。耳にしたのは大学時代。必修だった「キャリアデザイン論」の講義で聞いた。数百人入る大教室の片隅で、将来を考えながら耳を傾けた記憶がぼんやりと残っている。当時、20歳前後だった私は、間もなく30歳になる。

 今年3月、大学卒業後に新卒入社した会社を退職した。4月から妻の海外転勤に帯同する形でアメリカで生活している。現在は、いわゆる駐在夫や専業主夫である。これは、10年前には全く想像していなかった。

 仕事にやりがいを持っていたので、自分の仕事のことだけを考えれば退職しなくてもよかったと思うが、妻と一緒に暮らす道を私は選んだ。この判断が正しかったかどうかは分からない。しかし、「どう生きるか」を考えた時に、妻と遠く離れた場所で淡々と自分の仕事のことだけを考えて生活するというのは何となく違和感があった。学生時代に聞いた言葉が自分の判断に影響したのかもしれない。

 今は家事全般をこなしながら、英語教室に通うなどして生活を送っている。海外生活を希望していた身ではない私にとって、期せずして始まったアメリカでの生活は少しスリリングだ。日本では何でも分かっているような感覚になれるが、こちらではそうもいかない。自分の思いを伝えるのでさえ、苦労することもある。

 新しい環境に戸惑わずに入っていけるタイプではないが、今は少しずつ世界を広げる努力をしている最中だと思っている。ここでの経験が今後の生き方を考える際や日本に戻ってからの仕事に役立つようにできたらいい。

 仕事や働き方を考える際、家族がいる場合は必然的に自分と家族の関わり方を見つめ直すことになる。10年前の私は自分のことしか考えていなかった。しかし、今は妻の仕事や妻との生活のことを含めて考えるようになった。30歳を前にして、広い意味での「キャリア」を捉えられるようになってきたのかもしれない。


私が暮らす地域では紅葉が最終盤に。冬はすぐそこだ




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