MBA取得から15年。結局何が役に立ったのか
MBA取得から15年。結局何が役に立ったのか
MBAを卒業した直後は、「これで人生が変わる」と思っていました。
授業では企業戦略、ファイナンス、マーケティング、組織論を学び、ケーススタディでは世界中の優秀な同級生と議論を重ねました。
ところが卒業から15年も経つと、不思議なことに当時必死に勉強したケースの内容はほとんど覚えていません。
「あの企業はその後どうなったんだっけ」
そんな状態です。
では、MBAは無駄だったのでしょうか。
私の答えは「違う」です。
15年経った今だからこそ、MBAで本当に身についたものが見えてきました。
まず一つ目は、「問題の構造を考える癖」です。
仕事をしていると、目の前の問題に振り回されがちです。
売上が落ちた。
プロジェクトが遅れている。
組織がうまく回らない。
しかしMBAでは、問題の背景にある原因を分解し、構造的に考える訓練を徹底的に行います。
当時は当たり前だと思っていましたが、実務ではこの差が大きい。
問題が起きた時に感情的に反応するのではなく、「本当の原因は何か」を考える習慣は、その後のキャリアを通じて役立っています。
二つ目は、「ファイナンスの共通言語」です。
事業開発でもM&Aでも経営企画でも、最後は数字で意思決定します。
事業の魅力を語るだけでは足りません。
投資する価値があるのか。
リスクはどこにあるのか。
資本効率はどうなのか。
こうした議論を経営陣や投資家と同じ言語でできることは、大きな財産でした。
三つ目は、「世界は広いと知ったこと」です。
MBAには様々な国籍やバックグラウンドを持つ人が集まります。
同じ問題に対しても考え方が全く違う。
その経験によって、自分の常識を疑う習慣が身につきました。
これは海外で仕事をする上で想像以上に重要でした。
そして最後に、15年経った今、一番価値があったと思うのは「学び続けることへの抵抗がなくなったこと」です。
MBAはゴールではありませんでした。
むしろスタートでした。
その後も新しい業界を学び、新しい仕事に挑戦し、資格を取得し、海外で再び働くことになりました。
振り返ると、MBAで学んだ知識そのものよりも、「知らないことを学ぶ力」の方がはるかに価値があったように思います。
MBAを検討している人から、「元は取れましたか」と聞かれることがあります。
正直に言えば、学費だけを計算しても答えは出ません。
しかし15年経った今でも、考え方や仕事の進め方の土台として残っている。
そう考えると、私にとってMBAは資格でも学位でもなく、その後のキャリアを支えるOSのような存在だったのかもしれません。

