桃の香りのする道で ― 春をやり過ごす散歩
今日は、少しだけ遠回りをして、素盞雄神社まで歩きました。
目的があったわけではありません。
ただ、家にいると、どうにも考えすぎてしまう日があります。
そんなときは、とりあえず外に出て、歩いてしまうに限ります。


隅田川のあたりを抜けていくと、風はまだ少し冷たくて、春と呼ぶにはどこか頼りない。
けれど、道端や木の枝の先に、小さな変化が見え始めています。
神社の境内に入ると、桜がぽつり、ぽつり。
満開にはほど遠いけれど、その控えめな咲き方が、かえって目に留まります。
むしろ、主役は桃の花でした。
紅白の花が、静かに、しかし確かに季節の移ろいを告げています。





そして、その足元には雛人形。
誰かの家で役目を終えたはずの人形たちが、こうしてまた飾られている光景は、不思議と心に引っかかります。
人も同じかもしれません。
一度、役割を終えたと思っても、別の場所で、別の形で、また出番がある。
そんなことを考えながら、ゆっくりと境内を一周しました。



ここでは4月8日に「疫神祭」が行われ、桃の枝や香りで場を清めるのだそうです。
昔から、桃には邪気を祓う力があるとされてきました。
正直なところ、そういう力を信じているわけではありません。
けれど、こうして歩いて、花を見て、少し気持ちが軽くなるのは事実です。
それで十分なのだと思います。
帰り道、もう一度桜を見上げました。
やはり、まだ「これから」です。
満開ではない。
でも、確実に向かっている。
そんな状態が、今の自分にはちょうどいい。
何かが完成していなくてもいいし、整っていなくてもいい。
歩いているうちに、少しずつ近づいていけば、それでいいのだと思います。
春は、急がなくてもちゃんと来る。
今日はそんな当たり前のことを、静かに確認した散歩でした。






明日は週の中日ですね、がんばりましょう。
