【骨折煉獄記 #16】入院・手術費をガチ予想。ちょっと転んで折れた骨の代償やいかに!?
骨折から30日くらい。
お支払い金額
ポストを覗くと、入院着とタオルのレンタル料の請求書が届いていました。封筒を開けて中を確認、3,000円強。はい、これは分かっていました。手続きするときに提示された通りです。コンビニでの支払い用紙が入っているので、すぐに払いに行きます。
問題はここからです。この請求が来たということは、続けてアイツも来るはずです。
そう、入院費用の請求です。
入院、手術、看護、その他諸々。いったいいくらになるのでしょう。なんとなくいいことを言われて、なんとなく加入して、なんとなくお金を払い続けている生命保険(医療保険)の出番がついに来るのかもしれません。
でも、その前に…。
僕は、事前にざっくり支払金額がどれくらいになるのか予想してみることにしました。もちろん、僕は医療従事者ではないし、病院の内情も知らないので、あくまで勝手なイメージで金額を想定して計算するだけですが。
先に言います。この費用計算が非常に長くなるので、今回の骨折煉獄記は計算だけでほぼ終わります(笑)。
費用計算
それでは、僕の入院費用ざっくり計算チャレンジを始めます。パチパチパチパチ~。
…自分で盛り上げないとね(笑)。
計算するのは、看護師さんたちスタッフの人件費、先生の人件費、食事代、薬と各種検査の費用、病室の使用料、手術室の使用料です。これで大体の発生費用はカバーできるでしょう。
ちなみに、計算をする前の僕の何の根拠もない予想は、48万円お支払い、です。
・看護師さんたちスタッフの人件費
まずは看護師さんたちの「分単価」を算出します。
月のお給料の総支給を40万円として、法定福利などがあるのでここは1.8倍としてみます。さらに研修とかはけっこうかかりそうなイメージなので月に均して5万円ということで。小数点以下は四捨五入していきます。
400,000 × 1.8 + 50,000 = 770,000円(月)
これを1分あたりにします。前提条件は、20日出勤、8時間勤務とします。暇なくひっきりなしに働いているという条件も付けます。
770,000 ÷ 20 ÷ 8 ÷ 60 = 80円(分)
あとは、これに看護してもらった時間を掛けます。ここに栄養士さんや薬剤師さんや放射線技師さんや入院受付の方の対応時間を含めてしまいます。1日に均せば僕の面倒を看てくれた時間は90分といったところでしょうか。それを入院していた7日間を掛けます。
80 × 90 × 7 = 50,400円(週)
・先生の人件費
考え方は看護師さんたちと同じです。
大学病院のエリート医師という勝手なイメージで、年収を2,500万円とします。法定福利などで1.8倍、研修の他に学会参加とかもあると思うので月15万でいきましょう。
25,000,000 × 1.8 + ( 150,000 × 12 ) = 46,800,000円(年)
おおう、なんて眩しい金額。見とれてないで1分あたりにしましょう。先生も20日出勤、8時間勤務で。
46,800,000 ÷ 12 ÷ 20 ÷ 8 ÷ 60 = 406円(分)
掛ける時間は、僕が手術に行って帰ってきた時間が2時間半ちょっと。これに準備と片づけを足して3時間半にします。そして、僕が全身麻酔で意識がなくなる直前に視界にいた先生は5人でしたが、執刀をしてくれた主治医の先生はこのとき見当たらなかったので合計6人の先生の費用です。
全員、最後までいたかは分かりませんが、他にサポートの方もいたと思うのと、美人麻酔科医が麻酔の説明をしてくれた時間も踏まえて、6人のフルタイムを計算します。
406 × 210 × 6 = 511,560円(3時間半)
元から夜勤の先生もいたとは思いますが、僕の主治医の先生は朝から手術をしていて、僕の手術は夜だったので明らかに時間外です。年俸制だと時間外関係なく固定かもしれませんがプラスアルファがあるとします。なので、ちょっと上乗せをして550,000円(3時間半)にしましょう。
・食事代
食事は、会社の社食を参考にします。
食堂に行けば僕たちは300円くらいで午後も頑張れるエネルギーが補給できます。安っ、と思いますが実際は会社が半分負担してくれています(それでも安いですが)。ということで倍の600円。これに栄養士さんによる患者さん別の配慮が加わるので100円を上乗せして700円。これを7日間です。
入院当日と退院日は3食提供されてはいませんが、商売としては3食提供という機会発生を考慮して食材をコントロールすると思うので、7日間3食で考えます。
700 × 7 × 3 = 14,700円(週)
・薬と各種検査の費用
薬は、点滴と痛み止めと麻酔。検査は、レントゲンと採血、そして同じ病室でかかった人が出たので余計なコロナです。
普段、病院にかかって支払う薬代やレントゲン代を参考にしてなんとなくで積み上げていきます。点滴の価格がまったく想像がつきませんが、数は多く打ったものの目的は主に水分補給だと思うのでたいした金額にはならないでしょう。麻酔も回数は少ないので、以下同文です。
ここはざっくり、 30,000円(週)でいきます。
…ここまで読んで『もういいから答えを教えてくれ』と思った方もいるでしょう。
安心してください。僕も計算しながら同じことを思っていました(笑)。でもあと少しです。
・病室の使用料
出張で利用するビジネスホテルを参考にします。
僕のイメージだと、駅前で素泊まり8,000円といった感じです。そして、病室は24時間使用するので、ビジネスホテルのチェックイン、チェックアウトを15時~翌10時の19時間として24時間に補正します。
8,000 × ( 24 ÷ 19 ) = 10,105円(日)
ですが、僕がいたのは6人部屋です。その空間はビジネスホテルよりも狭く、いつ開くかも分からないカーテンの区切りしかないので、決して快適というわけではありません。これを考慮して半額にします。
ただし!そうは言っても大学病院の病室です。常に超満員で僕が出た後もすぐに順番待ちの患者さんが入ったことでしょう。その需要と、電動ベッド、酸素吸入の設備、テレビと冷蔵庫を占有していることも踏まえて2割上乗せします。
ナースコールを含めた電気代は微々たるものだと思うので無視します。それを7日分にします。
10,105 ÷ 2 × 1.2 × 7 = 42,441円(週)
・手術室の使用料
これは手術室の場所代というより、手術室の設備代として考える方が妥当だと思います。
医療機器の価格は想像がつきませんが、たとえばCTスキャンやMRIは1億円では買えないだろうから2億円として、これをベースに考えることにします。
手術室にCTスキャンやMRIといった大型設備はないにしても、入院の説明時に「ここは大学病院だから、手術中のあらゆる事態に対応できる」という先生の説明を基に、手術室には合計で2億円相当の設備が備えられていると仮定します。
他の手術エリアと共用のものも多いでしょうが、使うときは占有するし同じ設備が複数あると思うので、手術台1エリアに全て揃っていると考えます。
CTスキャンの法定耐用年数は6年というのを参考にします。この設備投資の費用の回収期間を6年ではなく、大学病院という需要の高さを考慮して強気の2年で回収として1ヵ月分を計算します。設備は常に更新されると仮定します。
200,000,000 ÷ 2 ÷ 12 = 8,333,333円(月)
これを、執刀医は複数いても毎日は手術は予定されないだろうし、緊急対応のために意図的に空きも作っているだろうから、1ヵ月のうち15日相当使用するとします。時間は8時間、としたいところですが僕が手術をした日のように夜間にまで及ぶことも珍しくないと思うので12時間にしましょう。この条件で1分あたりを計算します。
83,333,333 ÷ 15 ÷ 12 ÷ 60 = 772円(分)
これを、手術に準備と片づけを含めた3時間半の費用にします。
772 × 210 = 162,120円(3時間半)
※入院費用(ざっくり予想)
やれやれといった感じですが、僕なりにベースを設けて計算をしてみました。まだまだ考え方が甘いところもありますが、こういうのはこだわり出すとキリがないのでこの辺にしておきます。
看護師さんたちスタッフの人件費 50,400円
先生の人件費 550,000円
食事代 14,700円
薬と各種検査の費用 30,000円
病室の使用料 42,441円
手術室の使用料 162,120円
さあ、気になる合計は・・・849,661円!
85万円。正直、100万円以下に収まったのは意外でしたが、ざっくりとはいえ計算をしてみたことで「これくらいかも」という気がしてきました。
ですが、あとひとつ計算が残っています。僕たちはありがたい国の制度で負担するのは3割になります。ということで、最終的に僕が支払う入院費(予想)を公開します。
849,661 × 0.3 = 254,898円!!
企業であれば、ここに欲しい利益を乗せて「価格」とするところですが、医療機関は「診療報酬」として何をしたら何点(いくら)かが全て決められています。医療機関はなくちゃ困るもののため国から補助されているので、診療報酬は僕たち弱者にふっかけてはいないと期待して、この25万円がそのまま請求されることとしましょう。
僕が最初に想像した支払い金額は48万円でした。もちろん、この計算がどの程度の精度かは分かりませんが、何の根拠も持たずに適当に判断することの愚かさを痛感しました。
それはさておき、ちょっと転んだだけで25万円です。転んだ代償としては、決して少ない金額ではありません。しかも、退院してからもリハビリ生活でしばらく働かないことを考えると、その機会損失は何十倍にも膨れ上がります。
まあ、会社を辞めるのも、リハビリしながらでもできる仕事を探さないのも僕の勝手な都合ですが。
封筒、来たる
思った通り、入院着とタオルの請求の直後に、病院名が印字された封筒が届きました。入院費の請求です。
僕が計算したざっくり予想は25万円です、果たして。
僕は恐る恐る封を開けて中身を取り出して、その金額を確認しました。
そこに書いてあったのは・・・16万円強!!!!
率直な感想は「安い!」でした。
でも、すぐに思い直しました。「安すぎない?」と。とりあえず、16万円ジャストとして10割の金額に戻してみます。
160,0000 ÷ 0.3 = 533,333円(10割)
1週間の入院で、手術もして53万円。僕は事あるごとにとっていたメモも見ながら、入院生活を脳内でリピート再生します。
…いやいや、やっぱり53万ってことはないでしょ。
そこで僕は思い出しました。入院の手続きをするときに「高額療養費制度」というものに申し込んだことを。
高額療養費制度。それは、たとえ高額な入院や手術になったとしても、自己負担額に「上限」を設けて、「ここまで払えば、あとは国や保険組合が肩代わりしてやんよ」という制度です。
この神制度のおかげで、もちろんその上限まではかき集めてでも支払う必要がありますが、誰でもしっかりとした医療を受けられるようになっています。
僕は、きっとこれが適用されているんだ、と手続きをしたときに貰った資料に載っている計算式を確認しました。
すると、ビンゴです。計算には医療費総額が必要でそれが分からないから悩んでるわけですが、仮に医療費総額が100万円でも200万円でも請求された金額に近い結果になることが分かりました。
ここまで、計算や考察を書き連ねてきましたが、結局のところ真実は分かりません。
請求書に使った薬や処置の内容が並び点数も書かれていますが、なんでもかんでも載っているわけではないし、項目によって計算ルールが変わったりするそうなので、その点数合計を金額換算しても請求額とは全く合いません。また、特に高額療養費制度が適用されたといった表記もなければそんな欄もありません。
結論、高額療養費制度が適用された金額が請求された。そう思うことにします。
この肩代わり分の財源は、もちろん僕自身も支払っていますが、みなさんの納めている健康保険料であり、税金です。肩代わりしていただき、ありがとうございます。
僕は、コンビニへ行き支払いを済ませました。
ひとつのおしまい
続けて、辞めることが決まっている会社へ最後の出勤です。
僕は病院で発行してもらった「治療用装具製作指示装着証明書」を持って家を出ました。いつもは車で出勤しているのですが、さすがに出勤中、しかも最後に交通事故なんて起こしたら目も当てられないので、近所に住んでいる同僚の車に乗せていってもらうことにしました。
車に乗り込み、道中に話したことはご想像の通り、怪我のこと一色です。会社に到着してからも、会う人会う人に全く同じ説明をしたのは言うまでもありません。
総務に「治療用装具製作指示装着証明書」を提出し、「装具代を全額負担したんだけど、これを出せば7割取り戻せるって聞いてさ」と話したところ、「あ、そうですね」とすぐに手続きをしてくれます。
書類に書いたのは、住所、氏名、怪我をした日時、怪我をしたときの状況(ジョギング中に転倒した)、あとは返ってくる7割分が入金される口座番号でした。
彼女は僕が口座番号を書くときに目を伏せましたが、保険機関に提出する前に確認するんだろうから別にいいのに、と言いました。
デスクに着き、僕は自分のPCを立ち上げて、右手側にあったマウスを左手側に移動します。ここで僕は衝撃の事実を知ることになります。
同僚が「左手用にボタン配置を変更できるよ」と話しかけてきました。そんなのあるの?
聞けば、設定で右手と同じく左手でも人差し指でメインの操作ができるようにボタンの配置変更ができるということでした。そんな機能があることを知らなかった僕は、家で通常設定のまま「左手マウス操作」を訓練していたので、苦笑いで「大丈夫、ありがとう」と返しました。
さあ、引きついだ仕事の疑問点にも回答して、これで退職の準備は完了です。最終日に手続きでまた来る必要はありますが、ひとまずみんなとはこれでお別れです。
僕は、これから本格的に始まるリハビリ生活に向けて気合を入れました。
~~ つづく ~~
この記事を読んで、怪我で不自由にしている方を見かけたらそっと手を差し伸べてあげようと思う人が増えてくれたらと思います。
そして何より、僕と同じような境遇の方の参考になり、不安を少しでも解消するのに役立ってくれたら嬉しいです。
