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【骨折煉獄記 #15】はじめてのリハビリ。イケメン理学療法士との運命の出会い。

骨折から24日。

その名は、理学療法士

ついにリハビリ(正式にはリハビリテーション)初日です。僕はドキドキしながら病院へ向かいました。

受付を済ませると、3階のリハビリ室へ行くよう案内されてエレベーターへ。リハビリ室の受付に受付番号の書かれた紙を提出すると、目の前の待合室で呼ばれるのを待つよう言われました。
待合室には僕と同じ時間に予約した方たちでしょう、数人の患者さんが椅子に座っていました。見た感じは、どの方も僕のように装具みたいなものをしてはいないので、どこが悪いのかは分かりません。

椅子に座り待つこと数分、予約時間になると、リハビリ室の中からスタッフの方が出てきては待合室の患者さんを呼んで連れて行きます。
そして、1人のスタッフさんが僕の名前を呼びました。

僕が返事をすると、彼は足早に僕の目の前に来て、自己紹介をしてくれました。
「今日から担当します〇〇です。これから大変だと思いますけど一緒に頑張りましょう。」
とても爽やかな、20代半ばといった感じのイケメン青年でした。「チッ、男か」なんて微塵も思ってませんよ(笑)。
冗談はさておき、この出会いが僕の人生の1ページに深く刻まれる、リハビリという長い長い戦いの相棒、そして良き友人となる彼との運命の出会いでした。

リハビリをしてくれる彼は「理学療法士」という職種だそうです。理学療法士、僕は初めて聞きました。今まで縁がなかったので資格のことなんて考えたこともなかったです。そして彼は、大学で学び理学療法士の国家資格を取得、卒業してすぐこの病院に来て4年目だということでした。

ベッドに案内されると僕は腰を下ろしました。周りのベッドでは他の患者さんたちがリハビリを受けています。
「まずは色々と説明させてもらいますね。」
理学療法士さんは僕の目の前にしゃがむと、ノートPCを操作しながら説明を始めました。この相手より低い視線で説明する姿勢、おそらく理学療法士というのは心理学も学んで、患者さんに安心してもらえる所作を身につけているんだなと勝手に感心しました。
ちなみに僕も女性とグラスを重ねるときは、必ず僕のグラスを相手より下にします。ぜひ参考(?)にしてください。

遠いゴールと大人の余裕

説明は、先日受付の方から聞いたものと同様の内容から始まりました。
・僕のリハビリは1回40分なので2単位(1単位=20分)。
・リハビリを受けられる期間は最大150日、つまり5ヵ月。
・2週間に1回、リハビリ前診察が義務付けられている。
・リハビリの進め方は、「〇月〇日までにこの動きを〇度」と目標値が設定されるのでそれを目指して頑張る。
・月に1回、主治医の先生の診察があるので進捗を確認してもらう。

ひとしきり説明を終えると、最後に「〇〇さんの完全復活の目標は4ヵ月後ですね」と加えました。

…4ヵ月!?そんなにかかるの!?
僕はリハビリというものを完全に舐めていました。てっきり1ヵ月くらいの間、2回や3回通えば元通りだと思っていたので、4か月という、リハビリを受けられる期間をほぼほぼ使い切る予定に驚きました。
内心、「うっそ、マジで!?」とてんやわんやな状態でしたが、彼より僕の方が年上です。そこはクールに「なるほど。けっこうかかるんですね」と答えました。

リハビリデビュー

では、とさっそくリハビリ開始です。
「でも、まだ骨もくっついていないので、実は今日はあまり動かせないんですよ。最初の目標が1週間後までに前に起こす方向で90°なので、そこまで上がるかの確認だけですね。」
骨がどれくらいでくっつくのかは分かりませんが、まだ手術をして1ヵ月弱なので、確かにまだかかることは想像できました。

僕は慣れた手つきで装具を外します。そして、仰向けにベッドに寝るよう促されました。
「じゃあ、ゆっくり動かしますね」
理学療法士さんは、僕の手首を掴んで弧を描いて腕を持ち上げ始めました。90°まで動かしていいとはいえ、まだ自分の力で動かすことは許可されておらず、こうやって人に動かしてもらうことを「他動運動」と言うそうです。

ぐーっ、と腕が上がっていき、天を突き上げるように90°真っすぐになるまで腕が上げられました。少し肩に負荷がかかっている感じはありますが痛みはありません。
「問題なく上がりましたね。まずは第一ステップクリアです。」
理学療法士さんは、僕の腕をまたゆっくりとベッドに下ろすと、パチパチと拍手をしてくれました。
そして、ずっと動かしていないから肩周りの筋肉が固まっているので、左手で少し揉んでマッサージしてみてください、と次回までの宿題を出してくれました。

「今日はここまでですね(笑)。次回なんですけど、とりあえず1週間後の目標はクリアしてるんで、1週間後に予約でいいですか?お仕事の都合とかは…」
僕は「あ、仕事はまだ籍はあるけどすぐ辞めるのが決まってるんでいつでも大丈夫です。いいのか悪いのか、この怪我をしたタイミングにはピッタリでした。」と答えました。
それを聞いた理学療法士さんは、「そうなんですね。多分、〇〇さんのリハビリは大変になると思うので、集中できて良かったかもですね」と笑顔で言いました。
その笑顔は、僕には見えていない未来のビジョンが「全て見えていますよ」と物語っているようでした。

40分が経過して、「じゃあまた来週、お待ちしています」と爽やかな笑顔で見送ってくれる理学療法士さんにお礼を言って、僕はリハビリ室を後にしました。
僕のリハビリの40分が終わって、5分後には次の患者さんのリハビリの予約時間というサイクルで回っているそうなので、時間はキッチリ管理されているようです。僕は、同じ時間にリハビリを受けた患者さんと一緒にエレベーターに乗り込みました。

お会計(リハビリテーション料)は1,100円強。薬も処方されないし、普段の受診よりは安いですが、理学療法士さんの口ぶりからするとかなりの頻度で通うことになりそうです。
僕はこれから発生する予定外の医療費のことを考えると、ちょっとだけ「仕事を辞めるタイミングをミスったかな」と思いました。

「…いや、今さら考えても仕方ないか。」

~~ つづく ~~


この記事を読んで、怪我で不自由にしている方を見かけたらそっと手を差し伸べてあげようと思う人が増えてくれたらと思います。
そして何より、僕と同じような境遇の方の参考になり、不安を少しでも解消するのに役立ってくれたら嬉しいです。




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