幻の財布と、ハンバーグと、御所の風。
雲一つないお散歩日和。
時間がたっぷりあったので、
子供たちの好きなお菓子と、
今年の「御所の財布」を
買いに出かけることにした。
娘を誘うと、
二つ返事でついてきた。
ところが、行き先は私の希望ではなく、
娘の「お目当て」に。
「大学の近くに、ずっと行きたかった
洋食屋さんがあるねん。
学生にはお高くて、
なかなか行けへんかったから……」
結局、娘に連れられてハンバーグを堪能。
「高い散歩になったなぁ」と
苦笑いしながらも、
幸せそうに頬張る娘の姿に、
まあええか、と自分を納得させる。
腹ごしらえを済ませ、
いよいよ本命の京都御所へ。
ところが、そこで待っていたのは、
想像もしなかった光景だった。
「しばらくは入荷しません」
売店には非情な張り紙。
どうやら今、
えらいことになっているらしい。
売店のおばちゃんに聞いてみると
「年末には200人くらい並んでたんよ。なんでか知らんねんけど……」と、
おばちゃんも驚いた様子で話してくれた。
「なんでか、知らんねん」
と、いかにも京都人らしい
のんびりした答えに少し笑った。
家に帰って調べてみたら
年末に産経新聞のニュースになるほどの
争奪戦だったよう。
Https://www.sankei.com/article/20251229-DELXFTH6UZNGHMJPCZNK2OAUVQ/
売店のおばちゃんもびっくり
「令和の財布ブーム」
まさにSNS時代らしい出来事
仕方がないので、財布は諦めて、
夫と娘と三人で御所の中をゆっくり
散歩することにした。
今春、娘はこの街(京都)を卒業する。
「ああ、もうこうして御所に来ることもないのかな」
少しだけ寂しさが胸をよぎり、
独り言のように呟くと、
隣にいた娘が笑って言った。
「何言ってるん。まだ弟がおるやん。
また来られるやん。その時にお財布買いに
来たらええねん」
……確かに。
手に入らなかった「幻の財布」よりも、
三人で歩いた御所の砂利道の音と、
少し冷たい冬の風。
それが、
今日の一番の収穫だったのかもしれない。
財布の入荷は、きっと息子がご縁を運んできてくれる日まで、気長に待つことにしよう。
(娘のように息子が一緒に散歩に付き合ってくれるとは思えないけど…)
「しゃーない」と笑いながら、
京都の空を見上げた一日だった。











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