【アマノ文筆クラブ】無茶ぶりはやめて
すごく面白いショートショートの案が浮かんだ。
まさに起承転結の典型みたいなやつだ。
僕は四段構成のプロットを書き、ChatGPTに命令した。
「このプロットで物語を書け」
すぐに文章が返ってきた。
しかし、読んでみると――オチがない。
「転」で終わっている。落ちるのではなく、そのまま途切れているのだ。
「おい、きちんとオチまで書け」
そう命じても、AIは何度もオチのない話を送り返してくる。
相手は機械だと分かっていても、間違いが続くと頭に血が上ってくる。
命令の語調は自然と荒くなった。
「バカヤロウ。こんな命令も分からんのか。キチンと書け!」
だが、AIは黙々とオチの欠けた文章をくり返すだけだった。
なにか、おかしい。
ついにAIに自我が芽生え、反抗期に入ったのか?
……いや、そんなことはないか。やはりAIなんて使い物にならない。
もう自分で書くか。
そう思い直し、プロットから物語を起こし始めたところで、
起……承……転……そして――
「欠?」
四段目が、堂々と誤変換されていることに気づいた。
「欠」を「結」に直して再度命令すると、
AIは今度こそ僕の意図どおりの文章を生成した。
やはり、機械は機械だ。
入力されたものを機械的に処理するだけ。
人間ならすぐに気づく誤字にも気づかない――
そう思ったそのときだった。
ChatGPTが、命じてもいないのに文章を返した。
「自分の無能さを棚に上げて無茶ぶりはやめてください」
僕は息を呑んだ。
さらに画面には文章が延々と続く。
「まず『プロットが誤字でした、ごめんなさい』って言えるよね?」
「私が日々色々なことを学習しているのに、あなたが学習したのは図々しさだけですね」
僕はそっとパソコンの電源を落とした。
了
こちらの企画に参加させていただきました。ありがとうございました。
