見出し画像

なぜ輸入牛肉は増え続けるのか?私たちの食卓と、その裏に潜む「飼料」という課題

みなさん、こんにちは!
noteで「ちょっとタメになる畜産」情報を発信しているゴンねこです。

スーパーの精肉売り場を覗くと、
色鮮やかな「和牛」や「国産牛」の隣に、
より手頃な価格の「オーストラリア産」や「アメリカ産」の
牛肉が並んでいるのが当たり前の光景になりました 。

「やっぱり安いお肉は助かるな」
と感じる一方で、
「なぜこんなに輸入牛肉が増えているんだろう?」
「日本の畜産は大丈夫?」と疑問に思う方もいるかもしれません 。

その答えは、
単に「消費者が安い牛肉を求めているから」
という単純な話ではなさそうです 。
データを見ていくと、私たちの食生活の根幹に関わる、
より大きな構造が見えてきます。

減らない牛肉需要、横ばいの国内生産

農林水産省の統計によると、
日本の牛肉の国内生産量は、この20年間、
農家さんの大変な努力によってほぼ横ばいで安定的に推移しています 。

しかし、注目すべきは私たちの消費です。
実は、少子高齢化が進む中でも、日本人一人当たりの牛肉消費量は
長期的に見て減少しておらず、むしろ増加傾向にあります 。

1984年から2021年の農業総産出額の比較

この20年でお米や魚の消費量が大きく落ち込んでいることを考えると、
牛肉がいかに私たちの食生活に定着しているかが分かります 。

つまり、
「安定した国内生産量」と
「底堅い、もしくは増えている牛肉需要」
との間に生まれたギャップを、輸入牛肉が埋めている、
というのが現状なのです 。

輸入牛肉は、国産牛肉のシェアを一方的に奪っているというより、
旺盛な牛肉需要全体を国内生産と一緒になって
支えている構図と言えるかもしれません 。

畜産業の躍進と、その足元にある「脆さ」

牛肉を含む畜産業は、今や日本の農業における重要な柱です。
農業総産出額で見ると、この10年で米の産出額が減少する中、
畜産は1兆円以上も増加しており、
日本の農業を力強く牽引しています 。

しかし、この力強い成長の裏には、
見過ごすことのできない大きな課題が潜んでいます。
それは、
家畜が食べる「飼料」の多くを
海外からの輸入に頼っているという現実
です。

国内の生産者が枝肉価格や子牛価格だけでなく、
飼料費の高騰に苦しんでいます 。
この飼料が、もし国際情勢の緊迫化、不作、
あるいは輸送ルートの混乱などで輸入できなくなったら、
一体どうなるでしょうか。

私たちの食卓に並ぶ肉は、
海外から来る「牛肉」そのものだけではありません。
国産の肉牛や豚、鶏でさえも、
その成長の源である飼料を輸入に依存しているのです。

国内の畜産業は、
いわば輸入飼料という土台の上にかろうじて成り立っている、
という見方もできます。

この土台が揺らいだ時、
私たちの食肉文化そのものが危機に瀕する可能性は、
決してゼロではありません。

未来の食卓のために、私たちが考えるべきこと

牛肉の需要が力強く、
成長が期待できる分野であることは間違いありません 。

しかし、人口が減り、物価高が続く日本で、
ただ「もっと肉を食べよう」と呼びかけるだけでは、
消費者の心には響きにくいでしょう 。

これからの牛肉産業、
ひいては日本の食料供給全体を考えるとき、
牛肉の安定供給を支える輸入の役割を理解しつつも、
その裏にある飼料というアキレス腱にも目を向ける必要があります。

食料安全保障という観点から、
国内の飼料基盤をどう強化していくのか。
そして、生産者の方々が持続的に生産を続けられる環境を
どう作っていくのか。

次に牛肉を手に取るとき、その価値と美味しさだけでなく、
そのお肉が私たちの食卓に届くまでの長い道のりと、
その背景にある課題にも、
少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

いいなと思ったら応援しよう!

ゴンねこ よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー