初恋の話
こんにちは、とまよこ りゃんシーです。
僕は自分がトランゼクシャルだという自覚は幼少期からありましたが、正直恋愛というものは今いちよく分かってなかったんです。恋とか愛とか、そもそも友情ですら僕はあまり興味がなくて、生理が来なくて乳房がなければそれで満足みたいなところがありました。
「ドキドキする」という生理現象自体は知っているつもりでした、「あがる」と同じもので、男性であれ女性であれ、僕はたいていの人の前ではあがってしまうのですが、特にカースト上位の人、有名人や尊敬する人にもドキドキするし、最悪子供にもドキドキするし犬にもドキドキしていたので、恋が多いタイプなのかななどと馬鹿げたことを真面目に考えてました。犬に恋するってなんだよ。
そういうのが恋だと真面目に思っていたので、よく恋愛漫画とかで「恋するともっと仲良くなりたくなる」とかいう感覚が全く分からなくて。「ドキドキしたら気分悪いし一刻もそこから離れたくなるけどなぁ。僕が恋が苦手だからかなあ」ってずーっと本気で思ってました。
一目惚れというのは何回かした事があるんですが、それもなんというかドキドキと言うかハッと見惚れてしまうようなもので、ドキドキではなかったです。すれ違いざまとかなんでね。
だけど、そもそも遡れば僕の初恋は幼稚園にはすでにあったんですよ。幼稚園の頃、同じ組の可愛い女の子にバレンタインクッキーを貰ったんですが、その時僕は頭に電気が走るような感覚があったんですよね。
で、その子に最近再会したんです。
その時、僕は生まれて初めて「恋」がどういうものか分かりました。
初めは本当に、ただ会えて嬉しいとしか思ってなかったんですけど、その人が話すたびに、胸のあたりがギュッとなる感覚があって。なんかおかしいぞと思って。
別れた後もずっと忘れられなくて、ずーっとその人のこと考えてんですよね。思い出すたびに顔が熱くなるし、胸がどきどきするし、しかもそれが「心地いい」んです! 「心地いいドキドキってこういうことか!」って目からウロコが落ちて、30歳になって初めてみんなが言う「恋」というものが分かりました。確かにこれはもっと味わいたくなるし仲良くなりたいと思うのも当然だな…と。
バレンタインって怖いよね……。僕みたいに女性に免疫ないとすぐやられる……。
これっていつか治りますか?いや、治らなくて良いんですが…。
事の発端は、僕が病気になって死を覚悟したときに、マンガのネタ(講義の録音とか本のスキャンしたものとか)が入ったUSBメモリーをとある友人(ここでは仮に"コタチャン"とします)に郵送したのがきっかけで。コタチャンは非常に読書家で創作などもする人で、高校時代は合作などして遊んでいた創作友達だったんです。だからあげるならその人にあげようと。その資料を使ってもらうこと自体はかまわなかったんですけど、その人はそれを迷惑がったのか、全く反応がなかったんですよね。僕が死んだらそれでもかまわなかったんですけど、結局、副腎疲労で死ぬことはなかったので、使わないなら返してほしいと伝えたんですが、返してくれないんです。僕も副腎疲労で外に出られないので、そこで共通の友人であるその子("リオサン"とします)に、仲介を頼んだんです。彼女は本当に献身的に色々やってくれまして、しかも僕のメンタルのフォローまでしてくれて。コタチャンはなかなかきつい性格なんですよ。「書いて欲しかったら1文字1円くれ」とか、いや、プロとしては当然のスタンスなんだけど(いや普通のOLなんだが)、友達にする態度じゃないよねって態度をよくするんですよね。だから僕はすっかり傷ついてしまってコタチャンと連絡が取れない状態になって、副腎疲労も低血糖症も自律神経失調症も不安神経症もあったような状態で、メンタルボロボロで、ほかの友達はすぐに着拒されたり無視されたりするのに、リオサンだけは返事をくれるんです。その頃はまだ自分が「副腎疲労症候群」だとも分かってなかったので、理由は分からないけど眠れないんだ、しんどいんだ、コタチャンが怖いんだと、普通の人なら「わがまま」とか「卑怯」といって然るべき、実際リオサン以外の人はそう言って離れていったのに、リオサンだけは、「本当に負担なんだね」と優しい言葉を掛けてくれたのです。そんなことを言われたら、誰だって恋に落ちると思いませんか? 本当にいい人なんです、リオサンは。本当に優しい人で、こんな優良物件滅多にいないのになぜか独身だし、僕に優しくしてくれるし、僕は嬉しいやら怖いやらでパニクってしまって、結局リオサンを避けるようになってしまいました。絶対、僕の人生に似つかわしくない存在だったので…。僕の存在でリオサンの人生を邪魔したくなかった。
リオサンのことは本当に感謝しているので、僕が力になれる事があればいつでも恩返ししたいと思ってはいます。まあ、もうやり取りしてないんですけど…。
リオサンって、すごく謎なんですよ。優しいと思うとキッパリしてくる所もある。だからこそ本心から助けてくれてるのかなと思うときもあるけど、もしかしたら迷惑なんじゃないかなとも思うし。天然だと思うときもあれば親より理解してくれるときもあって、良く分からない人なんですよ、ほんとに。ものすごく頭が切れるか天然かのどっちかなんだけど、どっちなのかいまいちわからない。分からないってことは、やっぱり全部計算なのかなー。計算高くて優しいという良妻賢母の権化みたいな人なので、なんで結婚しないのか謎です。見極めてんのかな。あまりにもカーストが違いすぎて僕の存在が吹き飛ぶ。怖い。まあでもちゃんとしてる人なのでこっちが「迷惑かな」とか思う必要はないとは思うんですけどね。でも無視されるのもやっぱり辛いじゃないですか。あとやっぱり劣等感が募るってのが大きい部分なのかな。ほんとに非の打ち所がなくて、才色兼備で、悔しいし、憧れると言うか、モテると言うか。とにかくモテると思います。そんな人から見下されると思うと悲しいしつらいです。生きる世界が違いすぎますよね。ほんと。だから、二度と会ってはいけないと思います。
優しくしてくれるのは嬉しいんです。好きで優しくしてくれる(ある程度好意を持ってくれてる)のが分かるからこそ、幻滅されるのが怖いし、なんというか、かわいそう、と言うのかな。せっかくお世話をしてくれた僕が本当にクズで、会話をする価値のない人間だと知ったら、リオサン自身ががっかりするだろうしかわいそうだなって思う。だから連絡を取りたくないという感覚です。どうでもいいと思う人間や憎しみがあったり憎んでる人間にはどうでもいいうざ絡み長文を連投して嫌がらせしても何の良心の呵責もないんですけど、いい人とは接触しない、それが一番の恩返しだと僕も分かっていますからね。まあやっぱりそういう人から返信がないっていう事実が、ほかの人から返信が来ない時より辛いっていうのも事実ですし。
本当にリオサンが困っていて、僕が絶対に力になれることがあればその時は貢ぎたいと思います。
今まで経験してきたドキドキは、一刻も早く立ち去りたい、落ち着きたいというような居心地の悪い不快なドキドキ(ハラハラ?)だったのに、その人へのドキドキは、ずっと続いてほしい、もっと体験したいドキドキで、あーこれがみんなが言う恋なのかと30歳になってやっと分かりましたよ。子供の頃、カースト上位の陽キャ男子に絡まれた時の心臓がばくばくして胃がギュッとなって気持ち悪くて一刻も早く逃げ出したくなっていたあの感情を「恋」だと勘違いして、男になりたいのに男にどきどきする自分への嫌悪感で気が狂いそうになっていたあの頃の僕に教えてあげたいです。
あとやっぱり恋愛対象は女性みたいですね。まあ薄々分かってましたが……。一目惚れも全部女性だったし。
そして30になってやっとトランゼクシャルの本当の苦しさを知りました……。
あ、進展は特にないです。次の約束とか特にしてないんで。それに向こうは普通の健常者ですから。
まあ一応、僕でも恋することあるんだなあという話です。
しかし、生活保護受けながら夜な夜な高根の花とセックスする妄想するとか、考え得る中で一番みっともない成長の仕方をして我ながら死にたくなる…。
副腎疲労症候群についてはちゃんと話してないけど、まあ、信じてもらえないとは思ってないけど、信じてもらいたいとも思っていません。ただ、リオサンには、真実を知ろうとする情熱があるように思います。そういうところが彼女の一番の魅力のように思う。
それでは、とまよこ りゃんシーでした。

以下、幻冬舎の「叶わなかった想い人へのラブレターコンテスト」に応募した文章。
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