見出し画像

都市がウォーカビリティ以上に必要としていること

case | 事例

(ノースカロライナ大教授であり建築家のBlaine Brownell氏の論考)
近年の都市政策において、徒歩移動の利便性を示す「ウォーカビリティ(歩きやすさ)」は極めて重要な指標とされてきたが、オーストラリア・ブリスベンの事例は、真に求められるのがその先にある「パーミアビリティ(透過性)」であり、都市が人と自動車の優先順位を再考する上で、建築家やインテリアデザイナーが果たす役割は極めて重要であることを示唆している。都市計画におけるウォーカビリティは単なる歩行の快適性や容易さを指すが、対するパーミアビリティは、空間的幾何学や交差点密度など、環境の物理的レイアウトやネットワークの接続性を評価する概念である物理的・視覚的・心理的な障壁を排除し、移動を直感的かつ報酬的なものへと変容させるこの概念こそが、新たな都市設計指針となり得るのである。

ブリスベンの都市構造における最大の特徴は、市街地に深く浸透する広範なレーンウェイ(路地)のネットワークにある。これらは公共政策によって促進されつつ、民間投資を通じて有機的に進化してきたものであり、既存の街路とは一線を画す。これらのレーンウェイは、歩道空間を民間敷地内へと拡張し、複数の街路や建物の階層を相互に接続することで、歩行者が透過していく形で流動性を高めている。具体的には、庭園からテラス、アーケード、アトリエへと至る、公開空地と私的空間の中間領域がシームレスに配置されている。都市のブロック内において、空間の死角や行き止まりを解消し、多様で直感的な移動の選択肢を提供することで、ブリスベンは歩行者中心の都市エコシステムを構築しているのである。

この動向は、都市開発における専門分化への再考を迫るものである。これまでウォーカビリティの向上は、主に都市設計家やランドスケープアーキテクトの専権事項と見なされてきた。しかし、ブリスベンの事例は、アーケード、日陰のある中庭、植栽テラス、透過性の高い1階層といった建築的な設えが、都市の回遊性を決定づける重要な要素であることを浮き彫りにした。今後、建築家は都市設計の末端を担うだけでなく、より広範な都市的生態系の一部として、建築物と都市の境界を溶かす設計が求められる。単なる歩行距離の確保にとどまらず、都市のあらゆる空間を相互に関連する要素として統合する設計アプローチこそが、自動車中心の都市から真に人間中心の都市へと転換するための鍵となるであろう。

https://www.architectmagazine.com/design/walkability-is-overrated-heres-what-cities-actually-need/

insight | 知見

  • 「ウォーカビリティは過大評価されている」という元の記事のタイトルが刺激的だったので、目につきました。ブリスベンは確かに市内の船の移動も含めて歩きやすい都市だった記憶があります。

  • 自治体は歩行者インフラの側面からウォーカブル政策を進めがちで、エリマネはイベント・商業やアートを通してウォーカブルを推進する傾向があり、民間施設は消費者の動線に施策を打ちます。これらが果たして施設内外を含めて連続した、歩行者にとって透過していくようなウォーカビリティが実現されているのか、という視点を持って、各主体が連携することが重要なのだと思います。