エアコン故障祭り① 25年頑張ってくれたエアコンと親が助けを求められなかった理由
実家のエアコンが、2台同時に故障した。
「とうとうこの日が来たか。」
正直、怪しいとは思っていた。
もう25年使っていたのだから。
昨年はリモコンを買い替えたら動くようになった。
前回帰省したときにはフィルター掃除もして、「どうかもう少し頑張ってほしい」と願いながら帰ってきた。
でも、本当は私が帰省して間もなく調子が悪くなっていたらしい。
それなのに、母は私に言えなかった。
介護の書類。
ケアマネさんや各サービスとの調整。
急な出費。
お金の管理。
ネットスーパーでの食材の手配。
入退院の手続き。
細々とした生活の困りごと。
気づけば、そんなことを全部私一人に任せていたことに、ようやく申し訳ないという気持ちが芽生えたのだという。
母は初めて私ではなく弟に相談した。
すると弟は、
「エアコン2台は買ってあげられないけど、扇風機2台買ってやる。俺、親孝行だろ。」
と言ったそうだ。
母はその扇風機を買ってもらったことを、私が怒るのではないかと心配していたらしい。
そんなことで怒るわけがない。
むしろ、「やっと親のためにお金を使ってくれるんだ」と思った。
でも、高齢で自由に外を動けない両親に、この猛暑を扇風機だけで過ごせという発想には驚いた。
だったら自分も、この暑い夏を家の中で扇風機だけで過ごしてみればいい。
そんなことを思ってしまった。
母はまたしても大きな出費になることが分かっていたから、私には言えなかった。
弟では話にならないと思ったのか、今度は私の娘に電話をした。
そして私は、娘から実家のエアコンが壊れたことを知った。
そんなに私は怖い存在なのだろうか。
いや、怖いというより、「私しか何とかできる人がいない」と思っているのかもしれない。
娘はネットやAIでいろいろ調べてくれた。
「障害者手帳があるおじいちゃんなら、エアコンの補助金があるかもしれないよ。」
その言葉に望みを託し、その夜は眠れなかった。
ケアマネさんに送る問い合わせの文章を考え、役所へ電話するときの伝え方を何度も頭の中で組み立てていたら、気づけば朝になっていた。
朝一番でケアマネさんへメッセージを送る。
返事は、
「補助金のような制度はありません。」
その後、両親が住む地域の区役所の高齢者・障害者福祉相談窓口にも問い合わせた。
返ってきた答えは、
「ご両親がお住まいの地区にはエアコン購入の補助制度はありません。社会福祉協議会の貸付制度なら利用できます。」
補助金ではなく、貸付。
つまり借金だった。
結局、私が立て替えることになる。
私の貯金は、親の介護で少しずつ底が見え始めている。
それでも思った。
熱中症で倒れて入院する方が、もっとお金がかかる。
だったら、ここは腹をくくろう。
そう決めて、私は飛行機のチケットを予約した。
次回は、実家でのエアコン購入と、「介護には見えない仕事がどれだけあるのか」を書こうと思います。
