ショートショート「ときめきトゥーシューズ」
あのバレリーナは不運である。
ときめきトゥーシューズに選ばれてしまった。
ときめきトゥーシューズを履くものは、
バレエに人生を捧げなければならなかった。
これらを代々履くものはバレエ団を背負い、
バレエの向上に努めなければならなかった。
だが光栄でもある。私は選ばれなかったのだ。
だから今こうしてうちわを持ち身体や顔を赤くし、鼻を伸ばしている。
私はときめき下駄に選ばれたので、天狗団を背負い天狗の向上に努めなければならない。
あのバレリーナはそんな私を羨ましそうに見ながらくるくる回っていた。
そのバレリーナの踊りは素晴らしいが、ときめきにはどこか遠く見える。
私のうちわさばきもきっとそのように見えているのだろう。もっと偉そうに天狗にならねばならぬというのに。
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