第189話 『葵つかさ生きる。』写真展〜終わりの挨拶とサバ定食事件
8月11日。3連休の最終日であり、5日間ある葵つかさ特典日の3日目。彼女に会えるのも、もうあと2日。閉場前に彼女は終わりの挨拶を述べた。

葵つかさの挨拶〜「さよなら」を言うね
葵:私はあと16日と17日、最後の土日でおしまいです。なので、最後の特典日、特に17日とかは、来てくれたら嬉しいです。
もしかしたら、今日で会えるのが最後の人もいるかもしれないね。私は今まで、「さよなら」って言葉を、イベントとかで言ったことがなかったんです。いつも「またね」って言ってバイバイすることが多かった。でも、今回の写真展では、あえて「さよなら」を言おうと思います。良い言葉ですよね。ちょっと悲しくなってきちゃった・・・・・・(笑)
写真展には、10年以上応援してくれた人がたくさん来てくれたり、初めて会いに来てくれたけど、前から知っててくれた人もたくさんいて。本当に葵つかさになって良かったなって、今日もすごく思いました。
人生、いろいろあると思います。
私はこれから葵つかさを捨てて生きるので、辛いことが増えていくと思うんですよ。何者でもない人になって、みんなにも忘れ去られていって。大変なことがあると思う。でも辛くなったら、この日を思い出します。離れていても、みんながどこかにいるし、もしかしたら街中ですれ違ってるかもしれない。どこかでばったり会うことも、あるかもしれない。
私たちはたまたま同じ時代に生まれて、こうして出会うことができたと思っています。だから、これからの人生も一緒に生きていきましょう。
あんまり悲しい話すると寂しくなっちゃうので、ここら辺で終わりにします。本当にありがとうございました。
さよなら。
葵つかさは会場を後にした。
彼女の「どこかでばったり会うことも、あるかもしれない」の言葉に、この日彼女が会場にやって来て、1番に話してくれた話を思い出した。
控え室にて〜私だってサバくらい食べるよ
「写真展来る前に、定食屋さんお昼ご飯食べててん」
サバ定食を食べていたらしい。すると同じ店にいたカップルが、彼女のことをジロジロ見てきたのだそうだ。カップルは葵つかさに話しかけてくるでもなく、スマホと彼女を交互に見て、指をさしたりしながら、ずっとヒソヒソ話していたのだそう。
「まだ『葵つかさですか?』って声かけられるなら良いけどさ、見せ物みたいに興味もたれるの嫌やん。ご飯、ほとんど食べんと出てきたわ」
人をジロジロ見たり、指さしちゃだめって、小さい頃に教わらんかったんかな。と怒るでもなく、ただため息をもらした。
「あと、写真展の会場に入る前も、入り口で男の人がずっとスマホ向けてきてん。絶対あれは動画やった」
そう言う彼女は、少し疲れて見えた。
葵つかさくらい有名になると、街中ですぐに「葵つかさだ!」と気付かれる。気付いたら人たちはマナーも忘れて、好奇の目を向けるのだろう。
だがこの日彼女が話してくれた話は、これまでの15年間の一端。以前、少し聞いた話では、初めて行った美容室で、名前や電話番号などの個人情報を書くと、後日そこの美容師から「食事行きませんか?」的な電話がかかってきたそうだ。職権の濫用すぎる。
きっとこの類の話が、山のようにあるのだろうし、もっとヘビーなものも星の数ほどあるに違いない。私がエイトウーマンや葵つかさ写真展のTシャツを着て、平然と地下鉄に乗れるのが、幸せに思えてしまう。

8月20日発売の新しい写真集と。
今後、もしどこかでばったり葵つかさに会ったら、指をさしたり、スマホカメラを向けることは、絶対に良くない。どうしても話しかけたい時は「葵つかささん、ありがとう!」と、一礼するのが良いのではないだろうか。いや、これは私の見解だ。16、17日の葵つかさの最後の在廊日に、「葵つかささんを偶然見かけたら、どうしたら嬉しいですか?」と、ぜひ訊いてみてほしい。

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