診療所・歯科医院でも使える?令和8年度「働き方改革推進支援助成金」をわかりやすく解説!
令和8年度の「働き方改革推進支援助成金」は、4月13日(月)から申請受付が開始されています。
労働時間の削減や年次有給休暇の促進、勤務間インターバルの導入など、働きやすい職場づくりに向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
診療所や歯科医院でも、要件を満たせば活用対象になり得ます。
個人開業の診療所・歯科医院でも使える可能性があります
「働き方改革の助成金は、大きな会社向けでは?」と思われがちですが、実際には小規模な診療所・歯科医院でも活用を検討できる制度です。
【対象となる規模要件】
「病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院」において、常時使用する労働者数が300人以下であれば中小企業事業主として対象になります。
【規模要件に加えて必要な共通要件】
・労災保険の適用事業主であること
・すべての対象事業場で年次有給休暇管理簿を作成していること
・常時10人以上の労働者を使用する事業場:年次有給休暇の時季指定に関する就業規則を作成し、交付申請前に所轄労働基準監督署長へ届け出ていること
・時間外労働が発生している場合:36協定を適切に締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出ていること
【コースによって加わる固有要件】
業種別課題対応コース(病院等)では、
上記の共通要件に加え、
「医業に従事する医師が勤務していること」が要件となります。
※ 助成額や要件は予告なく変更される場合があるため、ご検討の際は必ず、
厚生労働省の公式ページまたは都道府県労働局にて最新情報をご確認ください。
そもそもどんな助成金?
単に「機械を買うための補助金」ではなく、
「働き方の改善(労働時間の削減や有休促進)を目的とした取り組み」に要した費用の一部を助成する制度です。
要件に沿って計画を申請し、国から「交付決定」を受けた後に機器導入や制度改定などの取り組みを実施し、その後の報告を経て支給されます。
ただし、国の予算額に達した場合は予告なく受付が早期終了するため、早めの準備が必須です。

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まずは全体像から!医療機関が検討したい「3つのコース」
本助成金には複数のコースがありますが、医療機関にとってメインの選択肢となるのは以下の3つです。
まずは「どのコースが自院に合いそうか」以下の概要や表で全体像を掴んでいただければと思います。
※重要: 1年度につき1事業主が申請できるのは「いずれか1コースのみ」です。
労働時間短縮・年休促進支援コース: 残業削減や有給促進など、一番スタンダードなコース
勤務間インターバル導入コース: スタッフの「休息時間」をルール化し、組織を安定させるコース
業種別課題対応コース(病院等): 勤務医の負担を減らす(タスク・シフトなど)、医科向けの特例コース

コースにより要件や上限額は異なりますが、
「助成金を使ってどんな取り組みをするか(7つの改善事業)」は共通です。
自院の課題に合わせて自由に組み合わせることができます。
※ 選んだ『成果目標』(残業削減やインターバル導入など)を達成するための合理的な手段になっている必要があります。
◎ 対象となる7つの取り組み
【人への投資・ルール作り】
① 労務管理担当者への研修
② スタッフ向け研修、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則・労使協定などの作成・変更
⑤ 人材確保の取り組み
【システム・設備の導入】 ★補助率アップ項目
⑥ 勤怠管理ソフトなどの導入(労務管理用システム)
⑦ 予約システムや自動精算機などの導入(労働能率の増進に資する設備)
💡 活用ポイント
スタッフ30名以下の医院が「⑥や⑦のシステム・設備」に30万円以上投資すると、補助率が【4/5(80%)】にアップします。
たとえば、就業規則の整備(④)だけでなく、オペレーションを効率化し、院長や現場に「戦略的な余白」を生み出すためのITツールなど(⑥⑦)をセットで計画に組み込むなどが、この助成金の最大のメリットを引き出すコツとなります。
◎助成額を最大化する「2つの共通加算」
導入するシステムや機器の目星がついたら、次に検討したいのが「加算」の活用です。
これら3つのどのコースを選んだ場合でも、下記のようなスタッフの待遇改善(人事・労務の強化)をセットで行うことで、
助成金の上限額を大幅に引き上げることができます。
令和8年度からは②の割増賃金率加算が新設されました。
①賃上げ加算

②割増賃金率の引上げ(令和8年度新設)

自院に合ったコース選びのヒント
「同時申請ができないなら、どれを検討すればいいのか?」と迷われる先生も多いかと思います。
ここでは、医科・歯科それぞれの経営課題に基づいた判断の目安をご紹介します。
コース選びは「経営課題」から
助成金は「どれが得か」という視点になりがちですが、実際には「自院のどの課題を解決したいのか」から逆算する方がおすすめです。
業務効率を上げて時間を生み出したいのか?
働きやすさを整えて定着率を上げたいのか?
医師の働き方そのものを見直したいのか?
助成金はあくまで「手段」として、
自院の現在のフェーズに合わせて、無理のない形で活用していただければと思います。
【医科診療所の場合】
⇒「誰の負担を減らすか」で方向性を決める
医科診療所の場合は、「医師の働き方改革(タスク・シフトなど)」を優先するのか、それとも「現場スタッフ(看護師・受付など)の負担軽減」を優先するのかで整理するとスムーズです。
▼ 勤務医の働き方改革・タスクシフトを優先する場合
候補:③ 業種別課題対応コース(病院等)
勤務医の負担軽減や、他職種への業務移管(タスク・シフト)などを進めたい場合は、こちらのコースをご検討いただくのがよいと思います。
▼ 現場スタッフ全体の負担軽減を優先する場合
候補:① または ② コース
医師の働き方よりも「まずは受付や看護師の残業を減らしたい」「院内オペレーションを整えたい」といった場合は、課題に合わせて①か②のコースを選択していくのが現実的です。
【歯科医院の場合】
⇒ 課題に合わせて「①か②」から検討する
一般的な歯科医院は制度の設計上、③の特例コースの対象外となるケースが多いため、まずは①か②コースを中心に検討していくのが基本となります。判断の軸は「今、一番解決したい課題は何か?」です。
▼ 業務の効率化を優先したい場合
候補:① 労働時間短縮・年休促進支援コース
予約システムや自動精算機などでオペレーションを改善したい場合などにおすすめです。
▼ 組織の安定や働きやすさを重視する場合
候補:② 勤務間インターバル導入コース
システム投資よりも、スタッフの無理のない勤務体制づくりを優先したい場合に適しているかと思います。
ここからは、
各コースの「固有のルール」や「達成すべき目標(成果目標)」などを詳しく見ていきます。
コース① 労働時間短縮・年休促進支援コース
小規模な診療所・歯科医院でも検討しやすい、一番スタンダードなコースです。

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▼ 達成すべき成果目標(以下のいずれか1つ以上を選択)
❶月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減:
月60時間以下、または月60時間超〜月80時間以下に設定して届け出(削減幅により上限50万〜150万円)
❷ 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入(上限25万円)
❸ 時間単位の年次有給休暇制度 + 交付要綱で定める特別休暇を1つ以上新規導入(上限25万円)
【助成対象となる取り組み】
① 労務管理担当者への研修
② スタッフ向け研修、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則・労使協定などの作成・変更
⑤ 人材確保の取り組み
⑥ 勤怠管理ソフト等の導入(労務管理用システム)
⑦ 予約システムや自動精算機などの導入(労働能率の増進に資する設備)
【助成率】
・補助率は原則3/4(75%)。
・常時使用する労働者数が30人以下かつ対象設備などの所要額が30万円を超える場合は4/5(80%)に引き上がります。
【加算制度】
スタッフの給与引き上げ、割増賃金率の引上げ加算などをセットで行うと、上限額がさらに加算されます。
詳細は、公式リーフレットや厚生労働省のページにてご確認ください。
コース②勤務間インターバル導入コース
勤務が終了してから次の勤務が始まるまでの間に、一定時間以上の休息を設ける制度を「新規導入」または「既存の制度の適用範囲を拡大・時間延長」を支援するコースです。

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⚠ コース②固有の要件
共通要件(労災保険の適用、年休管理簿の作成・就業規則の整備など)に加え、
「過去2年間において月45時間を超える時間外労働の実態があること」
という要件があります。
時間外労働の実態が月45時間以下の場合は、コース①をご検討ください。
▼ 達成すべき成果目標
以下の勤務間インターバルを「新規導入する」または「既存の制度の適用範囲を拡大・時間延長する」ことが目標となります。
・休息時間数が「9時間以上11時間未満」
・休息時間数が「11時間以上」
助成上限額は、適用する労働者の割合(労働者の1/2超か1/4超か)や、新規導入か適用範囲拡大・時間延長かなどによって異なり、最大150万円となります。
※ 詳細は厚生労働省の支給要領などでご確認いただくか、管轄の労働局へお問い合わせください。
▼助成対象となる取り組み
① 労務管理担当者への研修
② スタッフ向け研修、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則・労使協定などの作成・変更
⑤ 人材確保の取り組み
⑥ 勤怠管理ソフト等の導入(労務管理用システム)
⑦ 予約システムや自動精算機などの導入(労働能率の増進に資する設備)
【助成率】
助成率はコース①と同内容です(原則3/4、条件付き4/5)。
【加算制度】
スタッフの給与引き上げ、割増賃金率の引上げ加算などをセットで行うと、上限額がさらに加算されます 。
詳細は、公式リーフレットや厚生労働省のページにてご確認ください。
コース③業種別課題対応コース(病院等)
医師を雇用している医療機関専用の特例枠で、コース①・②よりも上限額が高く設定されています。
(※主に医師の働き方改革への対応を目的としたコースです)

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⚠ コース③固有の要件
共通要件(労災保険の適用、年休管理簿の作成・就業規則の整備など)に加え、以下が固有の要件です。
医業に従事する医師が勤務する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院を営む中小企業事業主であること
▼成果目標(以下のいずれか1つ以上を選択)
❶ 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減(上限250万円)※❷と同時選択不可
❷ 所定外労働時間数の削減(上限50万または100万円)※❶と同時選択不可
❸ 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入(上限25万円)
❹ 時間単位の年次有給休暇制度と、交付要綱で規定する特別休暇を1つ以上新規導入(上限25万円)
❺ 勤務間インターバルの導入(休息時間数に応じて上限120万〜170万円)
※既存の勤務間インターバルの適用範囲拡大・時間延長の場合は上記の1/2が上限額となる
❻ 医師の働き方改革の推進(上限50万円)
▼下記を全て実施
・ 労務管理責任者の設置と役割の明確化
・ 副業・兼業先との労働時間通算や休息時間確保に向けた協力体制の整備(副業・兼業を行う医師がいる場合)
・ 研修などによる労働時間管理への理解促進
・ 医師の労働時間の実態把握
▼助成対象となる取り組み
① 労務管理担当者への研修
② スタッフ向け研修、周知・啓発
③ 外部専門家によるコンサルティング
④ 就業規則・労使協定などの作成・変更
⑤ 人材確保の取り組み
⑥ 勤怠管理ソフト等の導入(労務管理用システム)
⑦ 予約システムや自動精算機などの導入(労働能率の増進に資する設備)
【助成率】
助成率はコース①②と同内容です(原則3/4、条件付き4/5)。
【加算制度】
スタッフの給与引き上げ、割増賃金率の引上げ加算などをセットで行うと、上限額がさらに加算されます 。
詳細は、公式リーフレットや厚生労働省のページにてご確認ください。
申請の流れと今年度のスケジュール
大まかな流れは次のとおりです。
1. 都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))へ交付申請書を提出
2. 交付決定通知を受け取る(約1か月後)
3. 計画に沿って改善事業を実施(就業規則変更・機器導入など)
4. 支給申請書を提出
5. 支給決定・入金
⚠ 最重要:交付決定前に発注・契約・支払いをした取り組みは助成対象外になります。交付決定通知が届いてから動き始めてください。
令和8年度のスケジュール
● 交付申請期限:令和8年11月30日(月)午後5時
● 事業実施期限:交付決定日〜令和9年1月31日(日)まで
● 支給申請期限:事業実施予定期間終了日から30日後、または令和9年2月5日(金)のいずれか早い日
ただし予算額に制約があるため、期限前でも予告なく受付が終了する場合があります。早めの申請が鉄則です。
まとめ
令和8年度の「働き方改革推進支援助成金」は、現在申請受付中です。
スタッフの定着率向上や働きやすい職場づくりは、医療経営の安定に直結します。
デジタルの力や専門家の知見を借りるための「仕組みへの投資」として、ぜひ国の助成金を活用して第一歩を踏み出していただければ幸いです。
まずは、管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)や、社会保険労務士へご相談することをおすすめします。
【参考リンク】
● 労働時間短縮・年休促進支援コース:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html
● 勤務間インターバル導入コース:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
● 業種別課題対応コース(病院等):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html
※ 本記事の内容は令和8年4月13日時点の情報に基づきます。
必ず厚生労働省の公式ページまたは都道府県労働局にて最新情報をご確認ください。
