月夜、二月のはじまりに│今日のおやすみ前の言葉
月夜。
二月が、音もなく来ている。
カレンダーを捲り、「もう二月か」と
独りごちるほどのことでもない。
時間はただ、
氷の粒が溶けるように、
静かに進んでいる。
二十時を過ぎると、
街は、ふと何かに気づいたように声を落とす。
遠くで鳴るタイヤの走行音さえ、
冬の湿った空気に吸い込まれて消えていく。
残っているのは、
街角で白く発光し続ける看板と、
同じ場所に、同じ角度で貼られたままのポスター。
そこにあるのは、言葉というより、
「何かを選び、何かに加担しなければならない」
という、逃げ場のない空気。
選ばないこともまた、
選択なのだと突きつけられるような。
未来は、いったいどこへ向かっているのか。
私たちが差し出す「今日」は、
果たして、誰のためのものなのか。
答えは、
暗がりに紛れたまま見つからない。
けれど今夜は、それでいい。
すべてを白日の下に晒す必要はない。
解けない問いを、
そのまま枕元に置いて。
重たくなった瞼に、
ただ身を任せればいい。
今はただ、
自分を許して、眠りに就く。
おやすみなさい。
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