音の中で会えるわね/[夏の音]シロクマ文芸部
夏の音が聞こえる。
そっと目を閉じて耳をすます。
チリンと涼しげな風鈴の音、風が吹いているのかしら。
音が聞きたくてうちわであおいだことがあったわね。
さざめく波の音、潮風の匂いがよみがえる。
にぎやかなセミたちの合唱、今年も元気ね。
遠くから太鼓の音が聞こえる。お祭りでもあるのかしら。
屋台は出るのかしら。
大きな花火の音に火薬の匂いときれいな花火が瞼の裏によみがえる。
隣にはあなたが立っている。
「どう、おばあちゃん?
夏を感じられた?」
目を開くと夏休みで遊びに来ている孫の顔があった。
テーブルの上にはスイカが切って置いてある。
「ええ、ありがとうね」
猛暑が続く中、
「夏を楽しめなくなったねぇ」
とつぶやいた私のために孫が夏の音を集めて聞かせてくれたのだ。
あまりの暑さに皆が外出を反対するし、私も耐えられる自信はない。
夏の暑さはつらいけど、夏休みには孫が会いに来てくれる。
仏壇の前には孫の作った馬と牛。
馬の蹄の音はいつ聞こえるかしら。
了
こちらの企画に
参加させていただきました。
小牧幸助さん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
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筆が耳をすまします。
