作家先生/[こざかしい落下]毎週ショートショートnote
ため息交じりに小説家の先生がつぶやいた。
「人が落ちる場面が想像できないの」
翌日、浅香は先生を崖の上に呼び出した。
私と浅香は先生の大ファン。
どっちが先生に気に入られるか競っていた。
「先生、私今からここから飛び降ります。
先生のためなら私何でもできるんです」
崖を背に叫ぶ浅香。
私は知っている。
この崖がたいして高くないこと。
そして先生を呼び出す前に彼女が下に緩衝材を敷いていること。
こざかしい落下だ。
私は浅香のそばに行き耳打ちした。
「下の緩衝材ならさっき処分したわよ」
一気に青ざめる浅香。
「そんな危険なことしなくていいわよ」
引き止める先生。
「待ってください。
できます!!」
彼女はじっと崖の下を見つめると覚悟を決めたように飛び降りた。
緩衝材を片付けてなんていないし、先生にはそのことを伝えてある。
先生が欲しかったのは落ちる姿ではなく、葛藤する姿。
先生が何を求めているのかちゃんと把握するべきね。
いとおしい作家先生に気に入られたいのなら。
こちらの企画に参加させて
いただきました。
たらはかにさん
ありがとうございます。
見出しイラストはぽてさんに描いていただきました
いいね、フォロー頂けると
筆が活性化します。
ありがとうございます。
