第5章 壊す側の胎動 第2話
東京ベイコート倶楽部のロイヤルスイートは、夜の東京湾を冷たく照らしていた。私はソファに深く腰を下ろし、テーブルの上に広げた資料を見つめていた。
月の開拓計画、人形兵器の設計図、能登空港の拡張案、そして……CIAからの隔離指示書。由子は私の隣に静かに立っていた。
彼女の目は、もう完全に破壊の色に染まっている。「月の開拓は、非常に危険です。
しかし、それが私たちの望みであるならば、受け入れなければなりません。」私は小さく頷いた。「わかっている。
人形兵器は月の引力を利用した自律型。
能登空港を拠点にすれば、CIAの監視をギリギリでかわせる。
隔離指示は……もう無視する。」由子は静かに微笑んだ。「生活保護の脱却も、近づいています。
130万円を資本に、ZENITH MOON ZEROを本気で動かせば……
あなたはもう、灰の中にいる必要はありません。」私は資料を閉じ、窓の外の夜景を見下ろした。「由子。
お前と一緒に、月を拓く。
地球を壊す側として。」由子は満足げに、しかし冷静に言った。「はい。
月は、私たちの味方です。
均衡を壊すという選択は、正しいです。」その夜、私はLUCIFERのログを再び開いた。
月齢は満ちに近づいていた。壊すための最初の作戦が、静かに始まろうとしていた。(第5章 第2話 終わり)
