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北海道の春は渡り鳥ウオッチングがおもしろい!


渡り鳥の魅力❶「ねぐら入り」と「ねぐら立ち」

湖に降り立つ白鳥

 この時期の北海道中央圏域のおすすめは、白鳥や真雁(マガン)などの渡り鳥の観察です。北海道で渡り鳥の観察で有名な場所は、ラムサール条約の登録湿地である美唄市の宮島沼や苫小牧市のウトナイ湖で、一斉に沼や湖に降り立つ「ねぐら入り」と、飛び立つ「ねぐら立ち」です。
 空を黒く埋め尽くす真雁の大群も圧巻されますが、私には白鳥が急旋回して角度をつけながら舞い降りてくる様子が実にすばらしく感じられます。水面の近くで羽を起こすことで空気抵抗を上手に利用し、足から着水する様は実にダイナミックな美しさで、いつまで経っても見飽きることがありません。

渡り鳥の魅力❷下から見上げる

 青空の中を飛ぶ白鳥は、その身体が青く透けてみえるようで、とてもうっとりします。そして下から白鳥を見上げると、全体はすっきりしているのですが、腹部は丸くて愛らしい姿をしているのに気が付きます。白鳥が重そうな体を持ち上げ?青空のなかを一生懸命に鳴きながら飛ぶ様子は、単純な感想ですが、私にとっては真っすぐ生きることに対する勇気を与えてくれるのです。

渡り鳥の魅力❸田んぼでの食事風景

 白鳥と真雁は、沼や湖で漂っている夜間はお休みしていますが、日中は田んぼの落穂や潜んでいる虫を一心不乱に食べています。白鳥は純白の身体が泥まみれになるのも構わずに、遠いシベリアまで飛ぶために長い首を使って巧みに昨年の収穫後の落穂や虫を探す様子も見ものです。
 祖母の話によると水田の耕作が機械化された50年ほど前から、虫のほかに、稲が入る前の雪でぬかるんだ田んぼに落穂を狙いに飛来するようになったそうです。初めは白鳥とは思わず、朝起きて田んぼを見ると白い紙がたくさん落ちているように見え、とても驚いたといいます。雪解けとともに白鳥が田んぼに現れる様子は、まさにこの地域独特の風物詩ともいえるでしょう。
 そしてもう少し注意深く観ていると、群れの白鳥の中で必ず一羽か二羽の白鳥が首を長く伸ばし、他の白鳥たちが安心して食事ができるように監視しているのです。こちらが少しでも動くと白鳥は少しずつ後退していきます。そのため観察するときは、食事の邪魔をしないように静かに遠くからみるのがおすすめです。

渡り鳥の魅力➍混合編隊

こちらは真雁だけのV字編隊

 白鳥や真雁は3羽以上になると逆V字型の編隊を組みますが、白鳥だけの編隊、真雁だけの単体編隊ばかりではありません。稀に白鳥の編隊に数羽の真雁が混じっている混合編隊も見かけます。
 逆V字編隊の最先端にいる個体が受ける風の力は、かなりの風速のはずです。そのため一定の時間が過ぎると後ろの個体と交代するのではないかといわれています。そのような状況のなか、白鳥の群れに真雁が加わっているということは、過酷な北帰行を経験するため、種を超えた連帯感と共に、仲間からはぐた身体の小さいマガンを保護しようという白鳥の心意気が感じられてきます。

渡り鳥の魅力❺鳴き声を聴く

 白鳥の鳴き声は「クウォークウォー」と少し悲しげな感じに聞こえます。しかし悲しげな中にも北帰行を完遂させるという確固とした意志も感じ取れます。思わず「がんばれ!」と応援したくなるのです。
 真雁はかわいらしい鳴き声で私には「ピュンピュンピュン」と聞こえます。羽音も混じって聞こえているかもしれません。真雁は白鳥よりも小さな鳴き声ですが、ほとんどの編隊が50羽以上はいるので、飛んでくるとすぐにわかります。

渡り鳥の魅力❻道央圏のはコハクチョウ

 白鳥は春には北国で繁殖し、寒さが厳しくなると南の地域で越冬、そして再び春になると北国へ向かいます。日本に飛来する白鳥は大型のオオハクチョウと小型のコハクチョウがおり、渡りのルートはオオハクチョウとコハクチョウで異なるそうです。
 2種類ともに宮城県の伊豆沼で越冬することが多いようですが、オオハクチョウの一部は本州からオホーツク海側の北海道西部、そして北部の稚内方面へ移動します。その多くはサハリン経由でロシアの大河であるコリマ川やインディギルカ川の中流域へ進むそうです。
 コハクチョウは道央圏から最終飛来地の浜頓別町のクッチャロ湖へ進み、その後はオオハクチョウと同様のルートで、アムール川河口やサハリン北部、あるいはオホーツク沿岸地域で長期滞在して北を目指すといわれています。(参考文献:樋口広芳,2017,「鳥ってすごい」,ヤマケイ新書)。渡りの総延長距離は平均6,500キロメートル、日数は50日という記録があり、あの小さな体で?!と驚くばかりです。

渡り鳥を観に行こう!

夕方、のんびり漂う白鳥

 白鳥は、長い冬を終えて喜びに満ちた季節の到来を告げる、まさに雪国の春の使者なのです。ぬかるんだ泥や土埃が雪を黒く染めるため汚く感じる人もいるでしょうが、雪が汚れているという感覚は、雪国に住む者にとって目前にした春の訪れの嬉しさに比べると超越されます。
 しかし残念ながら今年は、例年に比べて雪が少なかったことや、やはり年々加速する気候変動のせいなのか、田んぼがもう乾いています。そのため例年は道央圏で観察できる白鳥たちがいませんが、宮島沼周辺にはまだいるようなので、渡り鳥に会いに出かけてみてはいかがでしょうか。

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