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優秀な営業マンほどハマる『因果関係』の落とし穴とは?

先日、ある経営者から相談を受けました。
「広告費を2倍にしたのに、売上が1.5倍にしかならなかった。
 なぜですか?」と。

正直、この質問を聞いた瞬間、ちょっとドキッとしたんですよね。
なぜなら、この思考パターンこそが、
多くの経営者を苦しめている「因果関係の罠」だからです。

私たちはつい、物事を「AをすればBになる」という
単純な直線で考えてしまいます。

・広告を打てば売上が上がる。
・営業を増やせば契約が増える。
・研修をやれば成績が伸びる。

でも、世の中ってそんなに単純じゃないんですよね。
こんな経験、ありませんか?


先日、統計のお姉さんとして知られるサトマイさんが、
Xのポストで物理学者との対話から興味深い視点を紹介していました。

※以下、サトマイさんのXのポストの要約

水を熱するとどうなるか。
99℃まではただのお湯です。
でも100℃を超えた瞬間、劇的に水蒸気へと変化する。
これを「相転移」と呼びます。
つまり、99回熱しても何も起きなかったのに、
100回目で突然すべてが変わる。

努力が報われないと嘆いている人、
もしかすると99℃の状態かもしれません。

マッチで火をつける場面を想像してみてください。
マッチを擦るだけでは火は燃え続けません。
酸素があって、可燃物があって、適切な温度があって、
初めて「燃焼」という現象が起きます。
要素×要素×要素という複雑な組み合わせが揃って、
やっと結果が生まれるんです。

ここで考えてほしいのが、
現代のビジネスや医学で「最強のエビデンス」とされる
RCT(ランダム化比較試験)の話です。

RCTは対象をランダムに分けて「介入の効果」を検証する手法で、
確かに優秀なツールです。

でも、ぶっちゃけ言うと、これって
「中身の仕組みはよくわからないけど、結果が変わったからOK」
という妥協でもあるんですよね。

ここで、ジューディア・パールという学者が提唱した
「因果の梯子」という概念を紹介させてください。
これ、めちゃくちゃ使えます。

レベル1は「関連付け」。
AがあるときBも起きやすい、という相関を見るだけ。
AIやビッグデータ解析はここにいます。
「アイスが売れると溺死が増える」みたいな、見かけ上の相関がこれです。

レベル2は「介入」。
AをしたらBはどうなるかを検証する。RCTはここです。
多くの経営者が「これで因果関係が証明できた」
と満足するレベルでもあります。

でも、本当に大事なのはレベル3の「反事実」なんです。
「なぜそうなったのか?」「もしAをしなかったらどうなっていたか?」
というメカニズムを理解する領域です。

私自身、10年前に痛い目を見ました。
クライアントの会社で「営業研修をやれば成約率が上がる」
という単純な因果関係を信じて、150万円かけて研修を実施したんです。
結果、成約率は8%から12%に上がりました。

「やった、成功だ」と思いましたよね。
ところが半年後、研修を受けていない別の部署でも成約率が同じく
12%に上がっていたんです。

調べてみたら、その時期に競合が撤退していて、
市場全体で成約率が上がっていただけでした。

150万円、完全にドブに捨てたようなものです。
正直、焦りましたね。
これ、典型的なレベル2で満足してしまった失敗例です。

「研修をしたら成約率が上がった」という相関は見えた。
でも「なぜ上がったのか」というメカニズムを理解していなかった。


では、どうすればいいのか。
私が実践している方法を3つお伝えします。

1つ目は「逆を想像する習慣」です。

何か施策を打って結果が出たとき、
「もしこれをやらなかったらどうなっていたか」を必ず考えます。
先ほどの研修の例なら、
「研修をしなかった部署はどうだったか」をチェックするだけで、
勘違いは防げたはずです。

2つ目は「要素を分解する思考」です。

成功したとき、失敗したとき、その結果を生んだ要素を
最低5つは書き出してみてください。
広告で売上が上がったなら、広告だけでなく、
季節要因、競合動向、営業の動き、商品の改善、口コミの広がりなど、
複数の要素が絡み合っているはずです。

3つ目は「再現実験」です。

同じ施策を別の条件で試してみる。
営業トークを変えて成約率が上がったなら、
別の担当者にも同じトークをさせてみる。
それでも上がるなら、因果関係の確度は高まります。
一般的には「データを見れば答えがわかる」と言われますが、
私は違うと思っています。

データは「何が起きたか」は教えてくれても、
「なぜ起きたか」は教えてくれません。
だからこそ、数字の裏側にある構造を立体的に見る目が必要なんです。

人生もビジネスも、まるでルービックキューブのようなものです。
一面だけ揃えようとして回すと、別の面が崩れる。
全体の構造を理解して、どの手順で回せば全面が揃うのかを
考える必要があります。

単純な因果の線を疑い、背景にある無数の変数のつながりに
目を凝らすこと。
それが、再現性のある成功を手にするための第一歩です。


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