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千趣会こけし〜昭和30年代女子のカワイイ【うちにあって日本の一般家庭の1%未満にしかないと思うものを挙げてみる#25】

このこけし達は、母が結婚前集めていたもの。
私が幼稚園の頃時々出してもらい遊んだ楽しい思い出、そして片付け魔だった母が
「何だかこれは若い時の思い出で捨てられない」
と言っていた姿、それが重なり、母が亡くなり30年以上経っても、片付け下手の私には尚更捨てることができないまま、屋根裏部屋でホコリをかぶっていました。
今は執着を捨て物を捨てることが不可欠なのでしょうが、写真や人形など「モノ」以上にどこか感情や魂を身に纏ってしまい、私にはなかなか捨てられません。
傾向をみると、自分のものより大切な誰かのものの方が、捨てる踏ん切りがつきにくくなります。
また父母の物に関しては自分の生まれる前、まだ父母が若く自分自身を形成していただろうみずみずしい頃の知らない時期の物は、一人の男子とか女子に思えて痛みを伴う愛おしさを感じてしまうのです。
写真は電子化したけれど、目鼻がつく人形と目が合って、かつそこに大切な人との思い出が絡むと、ついそのまま取っておく方を選んでしまいます。取っておくというかホコリをかぶっていたのだから、放置です。

実家の整理をした時、他にもあった数々の母の物だったいくつかの「カワイイ」物たち。このこけしの他、正統派の大きなこけしも他の人形もあったはずですが、そちらはとうに片付けをしました。

出してみるとホコリだけでなく、塗装が剥げたり、回る首の部分がすぐ抜けたり、当然劣化しておりました。

中に手紙を入れられるように筒になったこけしには
その頃まだ母に宛てた小さなメッセージが入っていてびっくり

この手紙が入る物以外すべてが男女ペアこけしです。
そして観光土産もあるらしく、「支笏湖」とか「仙台」といった地名や風景、かすれと草書体のため読み取れない一言が書かれているものもあります。

これらをどう集めたか、母に聞いたことがありました。
結婚前勤めていた職場で、今でいうサブスク、定期的に新作こけしが届くものに申し込んでいたと。
それ以外にも旅行に行く知り合いがいたらこけしを買って来てもらっていたこと。
ちょっとした流行りだったのでしょう。

剥げたり欠けたり取れやすくなったりしているものも 
皆ペアこけし
大きいので高さ15cm 手前の小さいのは3cmほど
多分左は千趣会?
右は川湯温泉の文字がありアイヌの衣装なので
旅のお土産?
PC的に今は認められなさそうなデザインだけど
昔のカルピスやダッコちゃんみたいなこの2種が
その頃特にカワイく思えて好きだった

数年前、何かの折に通販の老舗ベルメゾンネットの千趣会 の始まりはこけし頒布会という記事を見つけて読みました。

こけし千体趣味蒐集の会 で 千趣会

「あっ あのこけし達はもしや?」と思い当たったのです。
そう言えば母の職場は女子の多いデパートで、時期も一致します。残っているこけしの写真中には家にある物とテイストが似たものもあります。

60越えの私と20代の娘は共に、カワイイ物と言えばぬいぐるみやマスコットなんかのソフトトイが筆頭だったと思います。
しかしカワイイものに惹かれ、集めたくなる欲求は、昭和30年代女子にも同じようにあったに違いありません。その前の女子にももちろんあったでしょうが、自分のちょっとしたお金で好きなものを買う自由や余裕ができたのが30年代なのでしょう。
そして掌にのる小さくてカワイイ新作ペアこけしは、その求めに見事にハマったのでしょう。
木製の硬いものからフワフワしたソフトトイ中心になっても、カワイイものを手元に置きたい、集めたい気持ちは同じ。

何だかこじつけみたいだけど、「人形」は、蒐集対象や遊び道具としてなどの他、厄除けや祈願といった文字通り人の形をした物に身代わりや願いを託す役割を担ってきたことを改めて思い出しました。

話は変わりますが、映画「アメリ」の中で、外に出たがらない父の家の庭のドワーフ(小人)の人形をこっそり持ち出し、CAとして世界を周る友人に託して色んな旅先から旅するドワーフの写真を送る…というエピソードが好きです。困惑する父もだんだん触発され遂に旅に出るようになるのです。
なんかそれに近いことをちょっとしてみたい。

このこけしの中のどれかを、旅行らしい旅行もしなかった母の代わりに色々なところに連れて行くのはどうだろう…というのは建前。
去年10月旅先でやらかしてしまった私。もしや私のトラブルの身代わりになってくれはしないか?もしくは忘れ物失くし物の代わりに、旅先でならそれを失くしたとしても、それはそれでそこで元気にやっていると思うことができるのではないか?などと虫のいい考えが浮かんだのです。

という訳で連れ出してしまった今回はこの二体。
思いつきでカワイイ転じて身代わり役割を託しても、健気な小さな目鼻のそれを、今 異国の地で写真を撮ってみました。

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