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まるみのキャンパスライフ物語 第18話

「学園祭前夜、眠れない夜」


※この物語はフィクションです

学園祭ライブまで。
あと1日。
たった1日。
されど1日。
まるみは眠れなかった。
上野のアパート。
時計を見る。
午前0時12分。
「寝なきゃ・・・」
布団に入る。
目を閉じる。
しかし。
脳内ライブ開始。
ドラム失敗。
転ぶ。
スティック飛ぶ。
ブラック・チェリーズ大爆笑。
観客ドン引き。
「嫌だぁぁぁ!」
飛び起きた。
完全に悪夢だった。
再び時計を見る。
午前0時18分。
6分しか経っていない。
「終わった・・・」
翌日。
大学。
部室。
全員顔色が悪かった。
「寝た?」
まるみが聞く。
妙子が首を振る。
「3時間」
「少なっ」
冴子。
「2時間」
「もっと少ない」
加奈子。
「ほぼ徹夜」
「お前が一番ヤバい」
4人とも緊張していた。
学園祭。
人生初の大舞台。
しかも。
ブラック・チェリーズとの対決。
緊張しない方がおかしい。
すると。
部室のドアが開いた。
スラ子だった。
「お前ら」
「はい」
「顔がゾンビ」
全員爆笑。
確かにその通りだった。
その日の練習。
全員ボロボロ。
妙子。
歌詞を忘れる。
冴子。
コードを間違える。
加奈子。
ベースを逆に持つ。
まるみ。
ドラムの椅子から落ちる。
「今日ダメだ!」
妙子が叫ぶ。
「帰ろう!」
誰も反対しなかった。
夕方。
4人は上野駅前にいた。
学園祭前日。
最後の夜。
なんとなく。
誰も帰りたくなかった。
「ジュース買おう」
妙子が言う。
コンビニへ向かう。
それぞれ好きな飲み物を買う。
まるみ。
メロンソーダ。
冴子。
ブラックコーヒー。
加奈子。
炭酸水。
妙子。
なぜかコーンポタージュ。
「暑いぞ」
「好きだから」
意味不明だった。
4人は上野公園へ向かった。
夕暮れ。
ベンチ。
秋の風。
少しだけ肌寒い。
しばらく誰も喋らなかった。
やがて。
妙子が口を開く。
「不思議だよね」
「何が?」
まるみが聞く。
「半年前」
妙子は笑う。
「私たち他人だった」
確かに。
入学式。
偶然出会った。
冴子。
軽音部。
加奈子。
妙子。
そして。
まるみ。
たまたま同じ場所にいた。
それだけだった。
なのに。
今は。
毎日一緒にいる。
笑っている。
音楽をやっている。
人生って不思議だ。
冴子が言った。
「もし軽音入ってなかったら」
「うん」
「今頃何してたんだろうね」
「勉強」
加奈子即答。
全員爆笑。
「確かに」
「加奈子らしい」
妙子は笑いながら言う。
「でもさ」
少し真面目な顔になる。
「明日終わったら」
「うん」
「ちょっと寂しいな」
静かになった。
学園祭。
目標だった。
ずっと練習してきた。
その日が終わる。
そう考えると。
少しだけ寂しい。
まるみは空を見た。
夕焼け。
東京の空。
北海道とは違う空。
でも。
今は好きだった。
この街も。
仲間も。
音楽も。
全部。
その時だった。
冴子が立ち上がる。
「よし」
「ん?」
「明日は楽しもう」
シンプルな言葉だった。
でも。
それで十分だった。
勝つ。
負ける。
順位。
評価。
そんなことより。
4人で最高のライブをする。
それだけだ。
「そうだね」
加奈子が笑う。
「楽しもう」
妙子も頷く。
まるみも大きく頷いた。
学園祭ライブ。
いよいよ明日。
彼女たちの青春が。
最高の音を鳴らそうとしていた。

第19話へ続く

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