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【キルアオ 第5話感想】天童天馬のずるさが、家庭科部の“誇り”に火をつける


『キルアオ』第5話は、新キャラクター・天童天馬の登場によって、家庭科部という場所の意味が一気に強くなった回でした。

第4話では、古波鮫シンという強烈な転校生が登場し、十三とノレンの関係が外側から揺さぶられました。イケメンなのにおしゃぶりという残念さを抱えたシンは、かなり『キルアオ』らしいキャラクターでしたが、第5話で登場した天童天馬は、また別方向にクセの強い人物でした。

スポーツ万能。
目立ちたがり。
自信家。
しかも、自分に有利な種目で勝負を仕掛けてくる。

この“強いけれど素直に応援しにくい”感じが、今回の面白さの中心だったと思います。天馬はただの嫌なキャラではありません。実力は本物です。野球、サッカー、バスケで無双する“三刀流”のスポーツマンとして描かれ、周囲からも「ユニコーン」と呼ばれるほどの存在感を持っています。けれど、その実力の使い方がどこかズルい。そこに今回の引っかかりがありました。

第5話は、天馬の強さを見せる回であると同時に、十三たち家庭科部が“自分たちの居場所をバカにされたとき、どう怒るのか”を描いた回でもありました。ここがすごく良かったです。

テストに燃える十三が、もう完全に学校生活へ入り込んでいる

まず冒頭で面白かったのは、十三が中間テストにかなり本気になっているところです。

第3話で勉強につまずき、白石くんに教えてもらいながら少しずつ学ぶ楽しさを知っていった十三。その流れを受けて、第5話ではテストに対する気合いが妙に強くなっていました。殺し屋としての殺気を、テストに向けてしまう。そのギャップがまず笑えます。視聴者の反応でも、テストへの気合いや殺気にツッコミが集まっていました。

でも、ここは単なるギャグだけではないと思います。

十三は、もう学校生活を“任務のための舞台”としてだけ見ていません。テストで結果を出したい。勉強を頑張りたい。前回までに学んだことをちゃんと形にしたい。そういう気持ちが見えるんですよね。

第1話の十三は、学校に紛れ込んだ異物でした。
第2話では、ノレンに近づくために学校生活の中へ入っていきました。
第3話では、勉強や料理を通して、誰かに教わる楽しさを知りました。
そして第5話では、テストに本気で挑むほど、学校のリズムに巻き込まれている。

この積み重ねがいいです。

中身は大人の殺し屋なのに、中間テストに必死になる。普通に考えると変なのですが、この作品の中ではその変さが成長に見える。十三が中学生としての時間を、少しずつ自分のものにしているからです。

一方でノレンは、テスト期間になると男子たちが浮かれなくなるため、むしろストレスが減ってツヤツヤしている。十三がカサカサになり、ノレンがツヤツヤになる対比も面白かったです。ノレンが普段どれだけ男子からの好意や視線に疲れているかも、さりげなく見える場面でした。

天童天馬は、強いけれど“気持ちよく応援できない”キャラだった

今回の中心人物である天童天馬は、かなり分かりやすく強いキャラクターです。

冒頭から野球アニメが始まったのかと思うような空気で登場し、スポーツ万能ぶりを見せつけてくる。野球だけでなく、サッカーやバスケでも無双する“三刀流”。フィジカルも高く、存在感も大きい。中学生離れした能力を持つ人物として、かなりインパクトがありました。

ただ、天馬の面白さは、強さそのものよりも、その強さの出し方にあります。

彼は自信があります。
目立つことも好きです。
自分がすごいと分かっている。
そして、それを隠さない。

ここまでは、少年漫画のライバルとしてよくあるタイプです。実力があって、自信があって、周囲を巻き込む。そういうキャラクターは本来なら爽快感にもつながります。

でも天馬の場合、その自信が少し嫌な方向に出ていました。

家庭科部を見下す。
相手の土俵を尊重しない。
自分に有利な条件で勝負を仕掛ける。
しかも、それを悪びれずにやる。

だから、強いのに素直に格好いいとは思いにくいんですよね。視聴者の反応にも「カチンときた」「家庭科部をナメるな」という空気があり、天馬はきちんと“怒らせるキャラ”として機能していました。

この“ちゃんとカチンとくる”感じは、かなり大事です。

ただの悪役なら、倒されればいいだけです。
でも天馬は実力者であり、同時に中学生らしい強欲さや目立ちたがりも持っている。

つまり彼は、完全な敵というより、“鼻につくけれど才能は本物”というタイプです。この微妙な嫌さがあるから、家庭科部側を応援したくなる。第5話は、その感情の持っていき方がかなり上手かったと思います。

自分が有利な種目で挑む“ずるさ”が、天馬の本質を見せている

今回の天馬で特に引っかかるのは、フットサルで決闘を仕掛けるところです。

スポーツ万能の天馬が、運動に不慣れな相手に対してスポーツで勝負を挑む。しかも、自分の得意分野であるサッカー系の競技を選ぶ。これはどう考えても有利です。

もちろん勝負の世界では、自分の得意な土俵に持ち込むこと自体は戦略です。相手が苦手なところを突くのも勝負の一部でしょう。けれど、今回の問題は、天馬がそれを“堂々と格好いい勝負”のように見せているところです。

ここにズルさがあります。

本当に強いなら、相手の土俵にも立てるはずです。
けれど天馬は、自分が勝ちやすい条件を選び、そのうえで相手を見下す。

これが、見ている側を少しイラッとさせるんですよね。

第4話のシンは、かなり変な人物でしたが、ノレンへの気持ちはまっすぐでした。おしゃぶりという強烈な残念要素はあるものの、どこか悪気のなさや愛嬌がありました。

一方で天馬は、シンとは違う種類の厄介さを持っています。

シンは残念だけど、根は素直。
天馬は華があるけど、相手への敬意が足りない。

この違いがはっきりしていました。

天馬が自分の有利な種目で勝負を仕掛けることは、単なる作戦ではなく、彼の価値観そのものを表しているように見えます。勝てばいい。目立てばいい。自分のすごさを見せられればいい。そこに、相手が何を大切にしているかへの想像が足りない。

だからこそ、家庭科部をバカにした瞬間に、十三たちの怒りがちゃんと立ち上がるのです。

家庭科部をバカにされた怒りが、十三の成長を見せていた

今回いちばん良かったのは、十三が家庭科部をバカにされて怒るところです。

第3話で、十三は家庭科部に入り、料理を通して“人のために作る楽しさ”を知りました。白石くんや千里部長との関わりを通して、ただ戦うだけではない、人とのつながり方を学び始めていました。

だから第5話で天馬が家庭科部を見下したとき、十三がちゃんと怒ることに意味があります。

これは、自分がバカにされた怒りではありません。
自分が所属している場所、大切にし始めた場所をバカにされた怒りです。

この違いが大きいです。

十三はもともと、殺し屋としてのプライドを持つ人物でした。もし殺し屋として侮辱されたなら、怒るのは分かりやすい。でも今回は違います。怒りの対象は、家庭科部への侮辱です。

つまり十三にとって、家庭科部がもう“ただ入った部活”ではなくなっているんですよね。

料理を教わった場所。
人のために作ることを知った場所。
仲間と関わる場所。
学校生活の中で、自分の居場所になり始めた場所。

そこを「お遊び部」のように扱われたから、十三はカチンとくる。

ここに第3話からのつながりがしっかりあります。前回の料理回がなければ、この怒りはここまで響かなかったと思います。第5話は、家庭科部という場所が十三にとって大切になっていることを、天馬の失礼さを通して浮かび上がらせていました。

視聴者の反応でも「家庭科ナメんな」「家庭科部いいね」といった声があり、家庭科部側を応援したくなる流れがかなり強く出ていました。

千里部長の任侠感が、家庭科部をただの部活に見せない

第5話でも、千里部長の存在感はかなり強かったです。

家庭科部なのに、会話の空気が妙にカタギではない。十三と並ぶと、もはや裏社会の会議のように見える瞬間すらある。実際、視聴者からも「カタギの中学生の会話か?」という反応が出るくらい、家庭科部の空気は妙に濃いものになっていました。

でも、この濃さがいいんですよね。

家庭科部というと、一般的には穏やかで日常的な部活のイメージがあります。料理を作ったり、お菓子を作ったり、家庭的な技術を学ぶ場所。けれど『キルアオ』の家庭科部は、そこに妙な“筋の通し方”があります。

料理は遊びではない。
人のために作ることを軽く扱うな。
自分たちの活動をバカにするなら受けて立つ。

この感じが、完全に部活というより組織の誇りなんですよね。

千里部長は、ただ料理が得意な先輩ではありません。部としての誇りを背負っている人です。第3話でも、料理に対する姿勢や十三の甘さを見抜く存在として描かれていましたが、第5話ではその強さが、家庭科部全体の精神として出ていました。

天馬のように派手なスポーツで目立つキャラクターに対して、家庭科部は一見地味です。けれど、地味だから価値が低いわけではない。料理も、人のために手を動かすことも、ちゃんと本気でやるなら誇りになる。

第5話は、そのことを家庭科部側の怒りとして描いていたと思います。

ノレンの存在が、今回も関係性を複雑にしている

第5話でも、ノレンは物語の中心に静かにいます。

今回の天馬は、ノレン狙いというより、十三を潰すために決闘を仕掛けてくる流れでした。ただ、それでもノレンの存在はやはり大きい。彼女がいることで、十三、シン、天馬、家庭科部の関係がどんどん複雑になっていきます。

面白かったのは、ノレンがテスト期間に妙にツヤツヤしていたところです。普段は男子からの好意や告白に振り回されている彼女にとって、テスト期間は周囲が浮つかなくなる貴重な時間。だからストレスが減る。これはギャグとして笑えますが、同時にノレンの日常的なしんどさも見えます。

ノレンは可愛いからモテる。
でも、モテることは必ずしも楽しいことではない。
むしろ生活に支障が出るほどの負担になっている。

この描き方は、第2話から一貫しています。

ノレンはただのヒロインではなく、周囲の好意や視線に疲れている人物です。だから彼女にとって十三の存在は、少し特殊なんですよね。十三はノレンに惹かれている中学生男子ではなく、中身は大人で、任務や事情を抱えた存在です。もちろんそれはそれでややこしいのですが、少なくともノレンにとっては、普通の男子たちとは違う距離感を持つ相手です。

そこにシンが加わり、さらに天馬が加わる。

ノレンを中心に、学校内の人間関係がどんどん騒がしくなっていく。その中で十三がどう立つのかが、今後の見どころになってきました。

シンの“悪気のなさ”が、場をさらにややこしくする

第5話では、シンも相変わらず良い味を出していました。

第4話で登場したシンは、イケメンなのにおしゃぶりという強烈な残念さで場をさらいました。今回もその存在感は健在で、突然現れたり、ノレンの傷口を悪気なくえぐったりと、かなり自由に動いていました。視聴者の反応でも「悪気なく人を傷つけるタイプ」「全部言うじゃん」といったツッコミがあり、シンのキャラがさらに固まってきた感じがあります。

シンの面白さは、やはり悪意が薄いところです。

彼はノレンに対して本気で、行動もかなり突飛ですが、天馬のように人を見下すタイプではありません。むしろ、自分の世界の中でまっすぐ動いているだけに見える。だから迷惑ではあるけれど、嫌いになりきれない。

第5話で天馬が出てきたことで、シンの印象が少し変わったのも面白いところです。

第4話では、シンが一番の異物でした。
でも第5話で天馬が出てくると、シンはむしろ愛嬌のある変人に見えてくる。

この対比がかなり効いていました。

天馬は強くて目立つけれど、相手を見下す。
シンは変で空気を読まないけれど、悪気は薄い。
十三は中身が大人で強いけれど、学校生活では不器用。

こうして見ると、『キルアオ』は“強い男たちのズレ方”を描くのがかなり上手い作品です。それぞれ強さの種類も、残念さの種類も違う。だからキャラが増えても、役割が被らずに賑やかになっていくんですよね。

第5話は、家庭科部が“戦う理由”を手に入れた回だった

第5話は、フットサル対決の本番に入る前で終わりました。だから物語としては、決闘の前振りに近い回でもあります。

けれど、この前振りがかなり大事でした。

なぜ家庭科部が戦うのか。
なぜ十三が怒るのか。
なぜ天馬に勝ちたいと思えるのか。

その理由が、今回できちんと作られていたからです。

もし天馬がただ強いだけなら、勝負は単なるスポーツ対決になります。でも天馬は、家庭科部を見下しました。人のために作ったおにぎりを食べておきながら、その活動を軽く扱いました。自分の有利な種目で勝負を仕掛けながら、相手を下に見ました。

だから、勝負に感情が乗る。

家庭科部は、ただ勝ちたいのではありません。
自分たちの部をバカにされたから、見返したい。
自分たちの活動にも誇りがあると示したい。
天馬の価値観に、簡単に飲まれたくない。

この流れがあるから、次回のフットサル対決が楽しみになります。

第3話で料理を学んだ十三が、第5話で家庭科部のために怒る。
この流れはとても自然です。

料理は愛情。
家庭科部はお遊びではない。
人のために作ることを軽く見るな。

その気持ちが、今度はスポーツ対決という真逆の土俵で試される。ここが面白いところです。

普通なら、家庭科部がフットサルで勝つのは難しい。しかも相手は三刀流の天馬。どう見ても不利です。でも、その不利な状況だからこそ、物語としては燃える。

十三は殺し屋として強い。
でもフットサルは別の競技です。
家庭科部の仲間たちも、それぞれがどこまで動けるか分からない。
それでも、部の誇りをかけて戦う。

この構図が、かなり少年漫画的で良かったです。

天馬の登場で、『キルアオ』は学園バトルとしてさらに広がった

第5話を見て感じたのは、『キルアオ』がかなり器用にジャンルを広げているということです。

第1話は殺し屋もの。
第2話は潜入と護衛。
第3話は勉強と料理の部活回。
第4話は偽彼氏とライバル登場のラブコメ。
そして第5話は、スポーツ決闘の前哨戦。

こうして並べると、かなりいろいろな要素を詰め込んでいます。でもバラバラには見えにくい。なぜなら、中心にはずっと“十三が中学生としてやり直している”という軸があるからです。

どんなジャンルに寄っても、十三はそこで新しいルールに出会います。

学校のルール。
人間関係のルール。
料理のルール。
部活の誇り。
そして今回はスポーツの土俵。

殺し屋としてなら、十三はかなり完成された人物です。けれど中学生としては、毎回新しい世界に放り込まれている。そのたびに、彼は不器用に学び直していく。

第5話では、家庭科部という居場所ができた十三が、その居場所を守るために戦う流れが生まれました。これは、かなり大きな変化です。

最初の十三は、学校に潜入していただけでした。
でも今の十三には、守りたい部活があります。
一緒に怒ってくれる仲間がいます。
見下されたときに、カチンとくるだけの愛着があります。

これこそ、十三が学校生活の中で得ているものなのだと思います。

天童天馬は、かなり嫌な登場の仕方をしました。自分に有利な土俵で勝負を挑むし、家庭科部を見下すし、目立ちたがりでデリカシーもない。けれど、だからこそ物語を強く動かすキャラクターになっています。

彼が家庭科部をバカにしたから、十三たちは立ち上がる。
彼が強いから、次の勝負が燃える。
彼がずるいから、こちらを応援したくなる。

第5話は、フットサル対決そのものよりも、その対決に向かう感情を作る回でした。
そして、その感情作りはかなり成功していたと思います。

家庭科部をナメるな。
料理も、部活も、人のために動くことも、ちゃんと誇りになる。
その気持ちを胸に、次回のフットサル決闘がどう描かれるのか。

第5話は、天童天馬という“強いけれどずるい相手”を投入することで、家庭科部の結束と十三の成長をはっきり見せた回でした。次回、家庭科部がどんな形で自分たちの意地を見せるのか、かなり楽しみです。

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