【エッセイ】ブラックホールと存在しない猫
これはただの自分語りなんだけど
私の部屋には、ブラックホールがある
そして存在しないはずの猫もいる
部屋の中のものが消えてしまう
気がつけばイヤホンがない、財布が消えた、お気に入りの服はどこ?
私の部屋はこんな感じでよくものが消える
そう、失くすじゃなくて消える
存在しない猫

私の腕にはたまに爪痕のような傷がある
「あれ?その傷は猫ちゃんにつけられたの?」
そんな感じに聞かれることもしばしば
でも私はね、猫なんて飼っていないんだ
これがADHDの日常
これはホラーというわけではなく、ADHDってこういう事がよくある
普通の人って物が見つからなかったら”失してしまった”って思うんだけど、私は”消えてしまった”という感覚
こっちのほうが便利かな思いいつもと違う場所に置く、そして置いたことをすっかり忘れるというリスのような生き物
腕の傷は歩いていてどこかにひっかけたり、私はよく収納棚にぶつかって腕に傷ができる
これがね、猫の引っ掻き傷みたいなんだよ
もうがんばっても治らないので、イマジナリー猫を飼っていることにしている
健常者の世界をチラ見して

実は私はストラテラという、ADHDの特性を抑える薬を飲んだことがある
それはもう衝撃だった、頭の中がしーんとしている
決まった場所に物を置ける
約束を忘れない
出かける準備がさっとできる
これが健常者の世界なのか、と衝撃を受けた
それと同時に私は記事のアイディアを出す力も消えてしまった
いままで噴水のように湧き出た、アイディアの泉が突然消えてしまった
ADHDと一緒に生きていく

ストラテラを飲んで、健常者の世界をちょっとのぞいてみて
それはもう異世界転生のようだった
あの世界でちゃんとした人として生きていく未来があったけど
私はお医者さんと相談して薬を飲まない道を選んだ
こんなこと言うと苦しんでる人もいるのに!って怒られそうだけど
きっとAHDHと生きる私は、これから色んなことに失敗する
悔しい時もあるかもしれない
悲しくて胸が潰れそうな夜もあるかもしれない
でも失敗しながら見る景色って、なんだかとっても面白いんだよね
こういう所がADHDなんだと思う
