下痢と便秘を繰り返す、、、過敏性腸症候群の人へ。ある意味万能、両方向性の食物繊維をうまく使おう。
過敏性腸症候群は、便秘のタイプも下痢のタイプもありますが、おそらく一番こまるのが『便秘と下痢を繰り返す』タイプ。日本人の過敏性腸症候群の方は、このタイプが一番多いです。
となると外来で困ってしまうのは、下剤を出せばいいか?下痢止めを出せばいいか?
ちょっと前まで便秘してたと思ったら今日からは下痢、、、と安定しない腸のコンディションは、30〜40代ビジネスパーソンの「集中力」と「パフォーマンス」に直結します。
そんな方に提案したいのでが食物繊維の使い方”です。
食物繊維とは結局なんだ?なぜ必要なんだ?
忙しい人ほど、
朝食抜き・外食・コンビニ食が多い
コーヒー・アルコールは多いのに水分は少ない
ストレスで下痢気味 or 旅行や会議で便秘気味
という“腸に厳しい生活”になりがちです。
食物繊維をとれ!と、よくネットや健康系YouTuberがが言ってますよね。それは、食物繊維の持つ素晴らしい作用を取り入れるためです。
食物繊維には大きく、
便の「量」と「動き」を整える
腸内細菌のエサになって腸内環境を育てる
血糖やコレステロールの急な変動をゆるやかにする
といった役割があり、日々のコンディションの「土台」を作ってくれます。
ポイントは、種類によって得意分野が違うことをざっくり押さえることです。
水溶性と不溶性。まずはこのくらい理解できればOK。
不溶性食物繊維とは
水に溶けない
水分を吸って膨らみ、便のかさを増やす
腸の壁を物理的に刺激して蠕動運動を促す
特徴を持っています。主に含まれる食品は、
玄米・全粒粉パン
豆類
きのこ・ごぼう・根菜
などです。「野菜サラダを増やそう」「玄米にしよう」でまず増えるのがこちらです。
便秘気味の人の“押し出す力”を強くする一方で、取りすぎるとガス・張り・腹痛を悪化させ、下痢型・混合型IBSではむしろマイナスになることもあります。
水溶性食物繊維とは
水に溶けてトロっとしたゲル状になる
便の水分を抱え込み、「硬すぎず・ゆるすぎず」に整える
腸内細菌のエサ(プレバイオティクス)になり、短鎖脂肪酸を産生して腸粘膜のバリアや炎症・知覚過敏に関与する
などの特徴があります。
これが含まれる主な食品・成分は、
オートミール・大麦
こんぶ・わかめなどの海藻
りんご・柑橘などの果物
サイリウム(オオバコ種皮)、PHGG(グアーガム分解物)、難消化性デキストリンなどのサプリ成分
などがあります。この中に、万能型、双方向性の食物繊維が含まれているのです!
下痢便も、便秘症も、ほどよく真ん中に寄せていく特別な食物繊維がある?
紹介した水溶性食物繊維の中でも、
『サイリウム』と『PHGG(グァーガム分解物)』
は、単なる食物繊維ではなく、物理的な性質と、腸内細菌への作用の両方が優れているため、「便秘にも下痢にも効きやすい特別枠」です。
なぜ「特別な」水溶性食物繊維なのか
サイリウム(オオバコ種皮)とPHGG(グァーガム分解物)は、どちらも水溶性食物繊維に分類されますが、いくつか他より優れた特徴を持ちます。
強い保水力・ゲル形成能
サイリウムは水を吸うとゼリー状に大きく膨らみ、PHGGも水に溶けて粘性を持つことで、便の水分を保持しつつ“形のある便”を作りやすくします。プレバイオティクスとして腸内細菌叢を整える
特にPHGGは発酵性が高く、ビフィズス菌や酪酸産生菌などの有用菌を増やし、短鎖脂肪酸産生を促進、腸管バリア機能の維持に関与することが報告されています。ガス・膨満が比較的少なめ(特にPHGG)
ほかのプレバイオティクス(イヌリンなど)に比べ、「ガスが出にくく、臨床で使いやすい水溶性繊維」として経腸栄養や医療食にも応用されています。
この「物理的に水を抱え、かつ腸内環境を育てる」という二重の作用が、IBSに大きなちからとなります。
サイリウムの特徴。腸で大きく膨らみ、便に潤いを、腸に刺激を与えてくれる。
サイリウムは、腸内で水を大量に吸って膨らみ、便のかさを増やすことにより、腸壁を内側から広げ、蠕動運動=腸の動きを促進してくれます。
またゲル状になって潤いを保ち、便全体をやわらかく・滑らかにします。
その結果、便秘では、便量が増えて「出したくなる刺激」が増え、カチカチ便が“バナナ〜ソーセージ状”に近づきます。
それだけでもすごいのですが、さらに下痢にも良い効果があるのです。
腸内でゲル化したサイリウムは、腸管内の余分な水分を抱え込んだまま便塊を形成します。
つまり、腸内の余計な水分を吸い取り、バラバラだった便たちをひとまとめにすることで、気持ちのいいバナナ便へと導いてくれるのです。
PHGGの特徴。腸内細菌に強化魔法をかけます。
PHGGもサイリウムと似た効果をもちますが、得意分野が少し違います。
PHGGはサイリウムほど派手に膨らみませんが、水分を保持し、便に適度な柔らかさとボリューム、まとまりを与える効果は共通です。結果として、回数が多くて水っぽい便から、回数減少・やや固まりのある便へ改善が期待できます。
さらにPHGGに特徴的なものとして、腸内細菌との相性の良さがあります。
PHGGは腸内細菌により発酵されやすく、ビフィズス菌や酪酸産生菌、糞便中短鎖脂肪酸の増加が示されています。
つまり、腸内の良い働きをする菌を助け、増やし、増えた菌たちは大腸の壁を修復する。その結果、腸管粘膜バリア機能の維持・病原菌や内毒素の侵入抑制といった効果をもたらします!
それらは動物・ヒトの研究で示されており、炎症や透過性亢進を伴う下痢・ゆるい便に対しても、原因そのものを「整える」方向で働く可能性が示唆されています。
そのため、特に腸内環境悪化を背景にした慢性便秘(高齢者・寝たきり・低活動など)での有用性が、医療現場や介護領域でも期待されています!
IBSのように“腸が過敏で、ちょっとした刺激で下痢になる”ケースでは、この「バリアを整え、過敏さをなだめる」方向性が、物理的なゲル効果と相まって症状改善に寄与すると考えられます。
まとめ 「便秘にも下痢にも効く」食物繊維。具体的にこんな感じで取り入れてみたらいかがかな?
サイリウム・PHGGの両方向性は、シンプルにまとめると、、、
水を抱え込む
→便の水分を“適度にキープ”
→便のカサUP+柔らかさUP
→出したくなる刺激UP
→排便促進+形のある便へ
腸内細菌のエサとなる
→腸内細菌が短鎖脂肪酸つくる
→腸壁が元気に!
→蠕動とバリア機能Up
→バリア機能改善・炎症低下・腸内フローラ改善
→刺激への過敏反応を弱める
つまり、「水分を保持しつつ“まとまりのある便”を作る能力」と、「腸内環境・バリア機能への長期的な作用」がセットになっている点がまことに素晴らしいのです!
具体的な製品をここでおすすめするわけにはいかないのですが、第三者機関の認定が通った、名のしれたメーカーの作った製品を選びましょう!
飲み方は人それぞれですが、まずはこのくらいの目安でいかがでしょうか?
サイリウム
1日3〜5g(小さじ1弱)から開始。コップ1杯以上の水に溶かし、朝と夜に分けて1〜2回。ガスや張りを見ながら、最大10g/日程度まで少しずつ増量。薬とは30〜60分あける。PHGG(サンファイバーなど)
1日5g前後(スティック1包程度)を朝か夜のどちらかで。便秘・下痢どちらでも様子を見て10g/日(2包)まで。水・お茶・味噌汁・ヨーグルトに混ぜて「いつもの1回」に紐づけると、仕事が忙しくても続けやすい。
過敏性腸症候群で便秘と下痢を繰り返してお悩みの方、主治医とも相談の上でぜひ取り入れてみましょう!
ゴリラはサイリウム派です。唯一の弱点は、あんまり美味しくないことです、、、
日本健康・栄養食品協会等(内閣府 食品安全委員会関連資料など)サイリウム摂取上限量に関する情報
PDN(NPO法人 PEGドクターズネットワーク)「高齢者の排便コントロールとグアーガム加水分解物」
https://www.peg.or.jp/lecture/topics/01.html太陽化学・医療食関連資料「グアーガム分解物(PHGG)の生理作用とその医療食への応用」PDF
https://www.taiyo-medi.com/cgi-bin/report_cms/public/photo/p0006-420-615528.pdfネスレ ヘルスサイエンス「PHGG配合経腸栄養剤」関連資料(PHGG 含有栄養剤、腸と健康)
例:
https://www.nestlehealthscience.jp/sites/default/files/2019-12/A11045-07_isocal_SemiSolid_Support.pdf
https://www.eiyounet.nestlehealthscience.jp/sites/default/files/2022-09/12116-01.pdfJ-STAGE「グアーガム分解物の多彩な健康効果」「排便コントロールにおけるグアーガム分解物(PHGG)の有用性」など
J-STAGE「慢性便秘の治療 ―膨張性下剤の使い方―」
https://www.jstage.jp/article/naika/108/1/108_29/_pdfPMDA「ポリカルボフィルカルシウム」インタビューフォーム・添付文書
https://www.pmda.go.jp/drugs/2000/g000704/38ctdp_1-320.pdfBritish Society of Gastroenterology guidelines on the management of irritable bowel syndrome
ESPEN guidelines on enteral nutrition(PHGG配合経腸栄養剤の推奨度Aの記載)
Irritable Bowel Syndrome and Dietary Interventions(IBSと食物繊維・プレバイオティクスの総説)
The Role of Diet in Functional Dyspepsia Management(FDと食事、食物繊維の位置づけ)
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