UFO疑惑の夜
先日のこと。
「なぁ、あれ、UFOちゃうか?」
帰ってきたタロさんは、
煙草を吸いながら、そう言った。
その声を聞いても
私はすぐには、反応しなかった。
不可思議な話は大好物だ。
だから、幽霊やUFOの存在も信じている。
でも、タロさんの話だけは、なぜか、あまり信じていない。
それでも、なんとなく外に出て、一緒に空を見上げてみた。
ぼんやりした月明り、雲がすーっと流れている。
その隙間からは、いくつかの星が見えている。
「あれ、なんか変に動いてない?」
言われた先をじっと見ていると、少しだけ違和感があった。
……動いてる?
他の星に目を移す。
その日の星は、やけにきれいに瞬いていた。
もう一度、視線を戻す。
さっきの "それ" も確かに瞬いてる。
けど、ときどき消えて、また現れて、
なんとなく、ゆっくり左右に揺れているようにも見える。
「うん。動いてるな。」
確信はしてないが、そう答えた。
それを聞いたタロさんは、
少し得意げな顔をして、家の中に入って行った。
私はそのまま、しばらく空を見上げていた。
雲の流れでそう見えるだけかもしれない。
そのとき、ふっと。
一瞬だけ赤い光が、かすかに混じった気がした。
やっぱり、おかしい?
飛行機にしては、ほとんど動いていない。
でも、星にしては、どこか落ち着かない。
気になってずっと見ていたら、
そのすぐ脇を、スーッと細い光が流れて一瞬で消えた。
あ、流れ星。
少しだけ、いいものを見た気分になって満足した。
家の中に入ると、タロさんは機嫌よく晩ごはんを作ってくれていた。
「どうやったぁ?」
「なんか、赤く光ってたよ。」
「そうやろ。」
やはり得意げだ。
結局、あの時は、あれが何だったのかは分からなかった。
でも、
たぶん、星。
雲と風と、目の錯覚。
そういうものが重なって、
それっぽく見えただけなんだと思う。
でも、タロさんはきっと、
「オレ、この間UFO見たでー」
って、どこかで言ってる気がする。
今日も、私は夜空を見上げる。
ふと、視線の先にあったのは、
この間みた、UFO疑惑の星だった。
やっぱりな。
でも、このことはタロさんには黙っておこう。
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