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30分で世界が変わって見える――Netflix『隔たる世界の2人』を今、観るべき理由【TALES掲載中】

※本作は、物語投稿サイト『TALES』に掲載しているエピソードと同じ内容を公開しています。


「なにもしていないのに」
 
鑑賞後、この言葉が祈りのように、
あるいは呪いのように、静かに、
けれど激しく脳裏を駆け巡り続けている。
 
わずか30分。
その短くも濃密な時間のなかで描かれるのは、
アメリカが、そして現代社会が抱え続ける
「人種差別」という名の深い闇だ。

 
物語は、黒人青年が繰り返し経験するタイムリープを軸に進む。
愛する人のもとへ帰りたい――
ただそれだけの、ささやかで当然の願い。
しかし、その行く手を阻むのは、逃れようのない暴力と、
理不尽なまでの「隔たり」である。
 
SFにおける定番のギミックであるはずのタイムリープが、
これほどまでに残酷な装置として機能するのを、
私は他に知らない。
何度も、何度も、彼は死の淵から引き戻され、
また同じ朝へと投げ出される。
その反復は、解決の糸口さえ見えない
差別問題の「出口なき迷宮」を鮮烈に映し出していた。
 
「こんなタイムリープの使い方があるのか」
 
その独創性に息を呑むと同時に、
胸の奥を鋭利な刃でなぞられるような痛みが走る。
今この瞬間も、世界のどこかで誰かが、なにもしていないのに、
ただ「在る」というだけで命を奪われている。
その残酷な事実に、心が軋む音が聞こえるようだった。
 
冒頭の柔らかな光から、
逃れられない運命を突きつけるエンディングまで。
この30分間に込められたストレートな問題提起は、
観る者の魂を激しく揺さぶり、静かな激情を呼び覚ます。
 
どうか、一人でも多くの方に届いてほしい。
この醒めない悪夢の果てに、
本当の意味での夜明けが訪れることを、
切に願わずにはいられない。


最後まで読んでくださった方へ。
 
あなたの大切な時間を、この文章に分けていただけたことに心から感謝しています。本当にありがとうございました。
 
物語投稿サイト「TALES」では、
下のリンク先のとおり、私の大好きなエンタメを題材にしたコラムも綴っています。もし興味を持っていただけたなら、そっと覗いていただけると励みになります。

これからも、言葉を通してお会いできたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。


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