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「大好きだよ」と言ったら、突き飛ばされた 🔥4

お母さん。

大好きだよ。

だから、笑って、おかあさん。

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母は、いつも疲れた顔をしていた。

「どうしたら、お母さんが元気になるかな?」
私は必死に考えた。


「楽しくしたらいいんだ」
「面白いことを言おう」

精一杯、面白いことを考えた。
ふざけて変な踊りを踊った。
ひとりで大笑いもした。
私は必死だった。

それは、母の望む”いい子“とは、
かけ離れていた。

心の中は、黒い深い穴が空いていた。
努力をやめたら、穴の中に落ちてしまいそうで怖かった。

ある日。
母が居間で洗濯物を畳んでいた。
部屋に入った私は母の方を見た。

ピンク色のワンピースの母の後ろ姿。

それを見ていた時、ふいに
どうしても母に抱きつきたくなった。
甘えたいような、ムズムズしたような気持ち。
私はその衝動のままに走り出す。

「おにゃーにゃー!」

目の前の母に駆け寄り、両手を広げる。
そのまま母の背中に抱きついた。

その次の瞬間、
ものすごい勢いで振り払われた。
パタンと私の体が後ろに転がる。

何が起きたか分からなかった。
母は、眉間に皺を寄せ、立ち上がった。

「びっくりしたじゃないの。
お母さん、触られるの嫌い。
小学生なのに、何その変な呼び方は。
気持ち悪い。」

険しい表情のまま、転がった私を見下ろす母。

声も出ず、泣きそうになった。
私を置いて、母は洗濯物をカゴに入れると、
お風呂の方に歩いていった。

────

「頭が痛い」
母はいつも口癖のようにそう言っていた。

「お母さん、元気にならないかな」
母が元気になる方法を必死に考えた。

そして、私は手紙を書いた。

裏が白い広告でできるだけ可愛いものを選んだ。

白い面に手紙を書く。
花の絵を描き、葉っぱは黄緑と緑でグラデーションにした。
母が教えてくれた塗り方だった。
葉っぱの横にメッセージを添えた。
『お母さんが教えてくれた塗り方だよ』

母が元気になるように、その気持ちを込めて丁寧に書いた。
「おかあさん、いつもやさしくしてくれて
ありがとう。
わたしはおかあさんがだいすきです。
はやくげんきになってね。」

書きながら自然と笑顔が浮かぶ。
手紙を丁寧に折り、チラシを折って作った封筒に入れた。

母は、居間の奥で父のスラックスをプレスしていた。

私は母の元へ駆け寄り、両手で手紙を差し出す。
「お母さん、これあげる!」
「これ、何?」
「お母さんにお手紙書いたんだ、あげる!」

母は顔を曇らせ、ため息を着く。
「こんなことをする時間があるなら、
もう少し勉強頑張ってね。」

「…うん」
「手紙ここに置くね」

棚の上に置いた手紙。
お母さん読んでくれるかな。

そのまま数日が経った。

私は、妹たちと遊んでいて、
ふと手紙のことを思い出した。
棚に目をやる。

あ、ない。
読んでくれたのかな。


近寄ると、ドクンと心臓がはねた。
棚の横に白いものがチラッとみえた。

近くに行って、足が止まった。

……落ちてる。

手に取ると、封は一度も開かれていなかった。
埃をかぶったまま、手紙はただ落ちていた。

「ああ……開けてくれなかったんだ。」

どうしていいのか分からかった。
私は手紙を元の場所に戻した。

もしかしたら、忙しくて忘れてるのかも。

私は、母のところに駆け寄った。
「お母さん、この間私があげた手紙なんだけど」

そこまで言ったところで、母はこっちを見ずに言った。
「手紙? なにそれ。
それより早く洗い物出してよ。」

何も言えなかった。
母にとって、手紙はそんなに大切なものじゃない。
それが一瞬でわかった気がした。

私は1歩後ずさりして、声を絞り出した。
「…うん。わかった。」

そのまま部屋を出て、母の言う通り洗濯物を
洗濯機に入れた。


次の日、私は引き出しに隠した手紙を取り出した。

数秒眺めたあと、見えないように広告に包んで丸め、
静かにゴミ箱に入れた。

──────────
🫧この形の私

▶  次の出来事へ(母からの呪いの言葉🔥5🔴

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