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金柑を食べながら、私は自由だった

コンクリートの小道が、迷路みたいに続いている。
その間を走り抜けるだけで、冒険みたいだった。

草の匂いと、花の香りが混ざる。
足元には、小さな白い道。
その先に、金柑の実がなっている。

ひとつ取って、口に入れる。
甘くて、少しだけ酸っぱい。
思わず顔がキュッとなる。

おじいちゃん。
おばあちゃん。

二人のことが大好きだった。
ここにいるとき、私は安心していた。

────

祖父母の家は木造の大きな家だった。

古い家だったが、家の中を走り回っても足りないくらい広かった。
庭も広かった。

庭には、コンクリートの小路が、
迷路のようにいくつも作られていた。

庭園のように花々や草木が生い茂る小道を走り回るだけで、冒険に出たようにワクワクした。

花の香りを嗅ぎ、草花を摘む。

その庭の中で私が一番大好きだったもの。

それは”金柑“。
甘くてちょっと酸っぱい、その実は、
庭での小さな宝物のようだった。

冒険をしている私の視界の向こうでは、祖父母が畑仕事をしている。

祖父と祖母は、草をかき分けながら丁寧に草花を世話していた。
四季折々の花が咲き乱れ、祖父母は笑顔で手を振る。

そこに歩いているだけで、世界が輝いて見えた。

雨上がりの葉っぱに残る宝石みたいな水滴、
祖母が大好きだった白い花の香り、

祖父が自分で舗装した小路の白いコンクリート――
すべてがキラキラして、とても美しかった。

─────

祖父母の家は山の上にあり、
周りに民家は少なく静かだった。
夏は蝉の声、
秋は鈴虫や虫たちの美しい音が響く。

ある日、祖母に誘われ、庭に出た。
祖母と夜空を見上げると、
信じられないほどたくさんの星が
キラキラと瞬いていた。

空気は澄んでいて、静かで、
胸いっぱいに吸い込むと、
それだけで安心できた。

ここにいるときだけ、
私は何も気にしなくてよかった。

──────────
🫧この形の私

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