お父さんお金くれないのよ 🔥3
「お父さん、お金くれないのよ」
母はよく、そう言っていた。
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母が新しい仕事を始めたのは、私が高校に入学した年の4月だった。
新しくオープンするスーパーの社員として採用された。
帰宅は、毎日遅かった。
日付をまたぐことも多かった。
「頭が痛い」「手がしびれる」
そう言いながら、キッチンに立った。
それでも、仕事の話はよくしていた。
売り場のことや、お客さんのこと。
忙しさの中に、少しだけ楽しそうな声が混ざっていた。
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けれど、家の空気は少しずつ変わっていった。
母がいない時間が増えた頃からだった。
父は、不機嫌を隠さなかった。
ため息。
舌打ち。
小さなことで声を荒げる。
それは母に向く前に、
私たちに落ちてきた。
家の中の空気は、日に日に冷えていった。
私たちは、父の機嫌を損ねないように、
やるべきことを早めに済ませた。
そして、それぞれの部屋に入る。
同じ家にいながら、
息を潜めて過ごした。
母はほとんど家にいなかった。
姉妹3人で過ごす時間が増えた。
生活は回っていた。
困ることも、特にはなかった。
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母の給料は増えたはずだった。
けれど、そのお金は父が管理していた。
母の手元には、ほとんど残らなかった。
「お父さん、お金くれないのよ」
母はそう言って、ため息をついた。
けれど、その言葉を父に向けることはなかった。
何も変わらなかった。
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「お母さん、お昼代ちょうだい」
お弁当のない日に言うと、
母は少し黙ってから、
財布を開いた。
「お母さん、お金ないんだから」
そう言って、500円を出した。
ゴルフに、飲み会に。
父は、好きにお金を使っていた。
500円を出し渋る母。
もらうのに、少し時間がかかる私。
私は、黙ってその500円玉を見つめた。
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🫧この形の私

