【スピンオフ】当たり前を守る番人 🔥3
【義祖母の章】

義祖母にとって、長子=家を継ぐ人間。
それは疑いようのない“当たり前”だった。
そのルールを疑うことは裏切り。
正しい形を守ろうとする姿勢。
私にはそう映った。
恐らく、義祖母に悪意はなかったのだろう。
ただ、当然のこととして信じ、
形を当てはめようとしただけに見えた。
でも、それが怖かった。
信じ切った人に「おかしい」と気づかせることは、
きっと誰にもできない。
“当たり前”は、知らず知らず武器になり、
人を傷つける。
義祖母は、私に婿を取って家を継げ、と言った。
私が動かないと分かると、
妹たちにも順番に詰め寄ったという。
「お姉ちゃんが継がないんだから、
あなたが家を守らないと」
義祖母にとって、
その家の娘が婿を取り、
その家で暮らし、
家を継ぐこと。
それは、疑う余地のない“当たり前”だった。
しかし、私にとって婿を取るということは、
ただ家に入ってもらうという話ではない。
相手にも家族があり、
人生がある。
誰と結婚し、
どこで暮らし、
どんな人生を歩むのか。
本来、自分たちで決めるはずのことまで、
「家を守る」という当たり前の中に
組み込まれていたように感じた。
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家を、人より大切にする習慣。
それは、義祖母だけの話ではない。
祖父は優しい人だったが、今際の際に私に言った。
「家を無くさないでほしい。
みのりさん、家を守ってほしい。
こんなことはみのりさんにしか頼めない」
離婚した知人は言っていた。
「あんなにたくさん子どもを産んだんだから、
だれか1人くらい、ここに連れてくればよかった。
そうしたら、家を継がせられたのに」
恐らく、過去の人たちはそうして
家を守ってきたのだろう。
しかし、その染み付いた“当たり前”は、
誰かを縛り、押さえつける。
義祖母は、自分の言っていることに
微塵も疑いを持っていないように見えた。
でも、その正しさが、
誰を壊すか
それを感じてはいないように見えた。
そうして、“当たり前”は形を変えながら、
次の世代に受け継がれていくのかもしれない。
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🗝この形の私

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