許された部屋 🔥3
その部屋だけが残っていた。
一つの部屋だけが、
その家の中で存在を許されているように感じた。
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私が家を出る時、父から言われたことがある。
「自分のものは、すべて片付けてから出ていけよ。
もし残っているものがあれば全て捨てるからな。」
その通りかもしれない。
「立つ鳥跡を濁さず」という言葉もある。
後を濁さずに去る人は、
立派な人だというイメージもある。
私はその言葉に納得し、従った。
自分の荷物をすべて処分し、
片付け、家を出た。
後悔はなかった。
不満も特になかった。
少しだけ、自分を誇らしく思っていた。
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私は一人暮らしを経て、数年ぶりに実家に戻った。
久しぶりの我が家。
きしむ廊下、あの天井のシミ。
懐かしい気持ちで家の中を歩く。
突き当たりの部屋の扉が開いていて、爽やかな風が吹き込んでいた。
わぁ、気持ちいい。
風の方向へ進む。
入りかけて、足が止まった。
その部屋は、生活の匂いがした。
ベッドも、置物も、飾りも、服も。
そのまま置かれていた。
その部屋は、
1年前から専門学校に通い、
家を出て一人暮らししている
妹の部屋だった。
なんで。
家の中の
「残していいもの」と、
「残してはいけないもの」。
その違いは何なのだろう。
私は動くことができず、
明るい部屋の前でしばらく立ち尽くした。
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私は、誰にも
何も言わなかった。
大人だったからだ。
大人になった自分でいるために、
何も言えなかった。
それでも、心の中は、
子どもの頃と何も変わっていなかった。
底の見えない暗闇の中に
落ちていくような感覚。
そうだ。
こんな小さいことで色々思うのは違う。
そうだよね。
私は踵を返し、
明るいその部屋を後にした。
私の心は、何か違うことを叫んでいた。
なんで
なんで私だけ
ねえ、なんで
私は黙って階段を降りていった。
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🫧この形の私

