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勝手にしますね 🔥2


私は車が欲しかった。


駅から遠い場所に就職したのも、そのためだ。

免許は持っていたし、
一人暮らしのときに貯めた貯金もある。

キャッシュで買えるだけの余裕もあった。

それなのに、父は言った。
「車を買ってはいけない」

理由を尋ねても、
返ってくるのは、いつも同じ言葉だけだった。

「危ないだろ。事故をおこしたらどうする」

「運転は、人に迷惑をかけることだ」

私はすでに父の車を運転していた。
仕事の日は駅まで送ってもらい、
そのときハンドルを握った。

休みの日には買い物にも行った。

それでも「まだだ」「危ない」の一点張り。

いつ許可が出るのか、基準は示されなかった。

─────

車がない生活は不自由だった。

決まった時間にしか帰れず、
友達の家にも行けない。

大人になって働いているのに。

家に入れるお金も、
門限も、
車を買うかどうかも、
自分で決められない。

苛立っていた。

─────

ある日、友達に聞かれた。
「車、買わないの?」

「欲しいんだけど、
うちのお父さんがダメって言うんだ」

そう言うと、驚いた顔で返された。

「え、親が言うの? 箱入り娘なの?」

その言葉が胸に刺さった。
恥ずかしかったし、悔しかった。


もう、勝手に買おう。


親にお金を出してもらうつもりはない。

一人暮らしのときに貯めた貯金で、
自分の力で手に入れる。

─────

そう決めた頃だった。

仕事で異動が決まり、
通勤時間は30分早くなった。

始発の電車に乗らなければ間に合わない。

私は父に伝えた。
「始発で行けばいいだろう」

11月の朝、冷え切った体を抱えて、誰もいない店の前で3時間待った。


なんで私がこんな目に遭わないといけないの。

寒かった。
「ほんとに始発で来たんだ」

そんな上司の言葉にも腹が立った。

もういい。
もう、買う。

─────

私はすぐに知り合いの車屋に連絡し、
60万円ほどの中古車を探してもらった。

古くてもいい、乗れればいい。

見た瞬間、決めた、

その基準は信じられないほど軽いものだった。

「ダッシュボードに前の使用者が付けた
芳香剤のアザラシがかわいかったから」

事故車だとか、
走行距離とか一切気にせず、

見た目だけで買った。


そして、それを止めてくれる人もいなかった。
即日キャッシュで支払った。

それでも、貯金は残った。
親には何も言わず、契約した。

一週間後、車が家に来た。
父の顔は見なかった。

意見を聞くつもりもなかった。

父は何も言わなかった。
ただ、明らかに不機嫌になった。

それでも、私は後悔しなかった。
初めて、自分で決めた選択だったからだ。

──────────
🫧この形の私

▶  次の出来事へ(はじまった圧力  🔥4

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