「それ、感謝しないとダメなの?」─蛍光黄色 🔥2
私は、あの時「ありがとう」が言えなかった。
言えなかった自分が、悪いと思った。
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小学校6年生のとき、修学旅行があった。
当時、バスケットシューズのようなスニーカーが流行っていた。
私もあの靴が欲しかった。
無理かもしれないと思ったけれど、
私は思い切って母に頼んだ。
「あの靴が欲しい。あの靴でなくてもいいから、
似たような靴で修学旅行に行きたい」
母はすぐに首を振った。
「あんな高い靴、買えるわけないでしょ」
「やっぱり無理か」私は、半分あきらめた。
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数日後、母は包み紙を手渡してきた。
「これを履きなさい」
「えっ、もしかして買ってくれたの?」
私はぴょんぴょん飛び跳ねた。
「せっかくの修学旅行だしね」
母が言った。
箱を開けて、時が止まった。
うわっ、と思った。
メッシュの白地に蛍光黄色とグレーのラインが入ったデザイン。
母がこちらを見ている。
私は黙って、足にはめてみる。
上から見下ろす、自分の足が嫌いになりそうだった。
黄色が眩しすぎる。
目の前が真っ暗になり、気づけば私は、
その気持ちを母にぶつけてしまっていた。
「こんな靴じゃない!こんなのやだ!ダサい!!」
母の目に、少し悲しそうな光が宿った。
言いすぎた。そう思った時、母が言った。
「せっかく買ってきてあげたのに、
人に感謝するってこと、知らないの?」
……感謝できない私は悪い子なの?
私は何も言えなくなった。
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修学旅行当日。
私は母に謝り、母の買ってきた新品の靴を履いて行った。
全然嬉しくなかったし、好きにもなれなかった。
ただ、靴を履く我慢より、
母に見捨てられることの方が怖かった。
旅行に出発しても、
はじめは足元を気にしていた。
友達と遊園地でジェットコースターに乗る。
すごいスピードで回るジェットコースター。
悲鳴をあげ、大笑いする。
「足ガクガクだよー!」
「反対に回るの怖すぎる!」
私たちは、何度も同じアトラクションに乗った。
5回以上乗る頃にはもう、
靴のことなんてどうでも良くなっていた。
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あとになって思う。
母は、お金のない中で、
精一杯考えて買ってくれたのかもしれない。
けれどそこに、私の希望は入っていなかった。
それでも私は、感謝しなければいけなかった。
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🫧この形の私

こういう話を、これからも書いていきます。
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