見出し画像

未来の話に、私だけいなかった 【その後】

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
これは、大人になってからの私の"その後”の話です。

▷ ︎ 11歳だった私の"15年後の自分の話(本編)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

小学6年生のとき、
15年後の自分に向けた手紙を書いた。

何を書いたかは、ほとんど覚えていない。

あれから、15年後。

26歳のときに同窓会の招待状が届いた。

そこには、「タイムカプセルを掘り起こします」

ああ、そんなこともあったな、と思った。

─────

結局私は仕事で県外にいたため、欠席した。

正直、小学校の思い出を
特別見たいとは思わなかった。
興味がわかなかったのだ。

数か月後、実家にタイムカプセルの書類が届いた。
「お前に手紙が届いてる」
父からの電話を受けた時、まず初めに思ったことは
ひとつだけだった。

私の書いた手紙を誰かに見られるのは嫌だな。

そう思った私は、手紙を回収するために
実家へ向かった。

─────

手紙の差出人は、同級生だった。

家に持ち帰り、郵送されてきた封筒を開ける。
「タイムカプセルを掘り起こしたので渡しておくね」
同封された手紙にはそう書かれていた。

そして、中から当時の私が書いたと思われる
一通の手紙が出てきた。

ピンクの色鉛筆でハートが描かれており、
筆跡は間違いなく自分のものだった。

封を開けて紙を読む。
そこにはこう書かれていた。

「15年後の私へ
お元気ですか?私は元気です。
友達もたくさんいて、
楽しい学校生活を送っています。

勉強も楽しく、運動もとても楽しいです。
毎日がとてもいい感じです。
あなたは今、何をしていますか?
元気で頑張ってください。」

その瞬間、私の心は灰色に染まるような虚しさに
包まれた。

当時の私は、勉強も運動も、友達関係も、
うまくいっていなかった。

同級生とうまくいかず、
両親に罵倒され、地獄のような毎日を送っていた。

しかし、手紙にはそれらの現実は
一切書かれていなかった。
先生に厳しくされて涙を流したことも、
パニックになったことも隠されていた。

手紙には、父母と仲良くしていること、
妹から尊敬されていることだけが並んでいた。

もしかすると、当時の私は、誰かに見られることを想定し、恥ずかしくないように整えて書いたのかもしれない。

確かに筆跡は自分のものだ。

しかし、書かれていた内容は、
まるで別人の人生のように感じられた。
全てを覆い隠し、整えられた過去がそこにあった。

私は重苦しい気持ちのまま、手紙を封筒に戻した。
そして二度と、その手紙を見ることはなかった。

──────────
🫧この形の私

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この話を別の視点から見る

▷ ︎ 11歳だった私の"15年後の自分の話(本編)

▷  なぜ私は未来を消したのか(考察・有料)

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

▶  次の出来事へ(私を助けてくれた猫の話)

←  この章の目次へ【ひずみ編】
←  シリーズ一覧へ

いいなと思ったら応援しよう!