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変わってないのに 🔥1

性格改善という胡散臭い看板。

それを見て、私は通い始めた。

けれどそこは、いつの間にか
なくてはならないと感じる場所になっていた。

────

そこは、不思議な空間だった。

その人はいつも同じ席に座り、穏やかな表情で、椅子から一歩も動くことなく私の話を聞いていた。

私は行くと椅子に腰をかける。
そして、自分から話し始める。
その人はうなずきながら、ただ聞く。

私が何を話そうか迷って言葉に詰まると、
「今、気になっていることは何ですか」
「前回いらしてから、何か変化はありましたか」
と、私が答えられる質問を、穏やかに投げかけてくれた。

何を言っても、どんな言葉を投げても、
私が感情的になっても、
その人の態度が揺らぐことはなかった。

会話の主導権は完全に私にあり、
それを咎められることもない。
その時間は、いつもあっという間に過ぎていった。

私は、「ただ話を聞いてもらえる」ということ。
それだけの事が、これほどまでに人の心を軽くするのだと、初めて知った。

通う頻度は少しずつ下がっていった。

ある時、その人に聞いたことがある。
「私は、いつまでここに通えばいいですか」

その人は答えた。
「あなたが必要としている間、です。
そのうち、“あ、来なくてもいいな”と感じる日が来ると思います。
そうなったら、もう来なくていい。
そう思う事が、あなたの一旦のゴールです」

そんな日が来るのかな。
私は少し笑って首を傾げた。


「ただ、また”あれ、何かおかしいな“とか、
“そういえば、あそこがあったな”と思い出すことがあれば、またお電話ください。
そうすれば、私はまた同じようにあなたの話を聞きます。
それだけです。あなたの自由です」

行ってもいい。
行かなくてもいい。
泣いてもいい。
喚いてもいい。
何もできなくても、ここにいていい。

この人が言うんだから、
そうなのかもしれないと、私は思い始めていた。

─────

結局、1年ほど通い続けた。

そして、その人の言う通り、いつの間にか
行く必要性を感じなくなった。

何かが劇的に変わったわけじゃない。
仕事ができるようになったわけでもないし、
私は相変わらず、私のままだった。

それでも、ひとつだけ違うことがあった。

“変えなきゃいけない私”が、
少しだけ静かになっていた。

──────────
🫧この形の私

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