【CoCシナリオ公開】1時間で回せる短編タイマンシナリオ『ふわふわ地獄の綿詰め作業(ハッピーエンド・メーカー)』【TRPG】
おはようございます、早坂いのるです。
今回のテーマは、一見可愛いのに中身がグロテスクな**「ぬいぐるみ化と愛の搾取」**です。
『ふわふわ地獄の綿詰め作業(ハッピーエンド・メーカー)』
「ねぇ、痛くないよ。君がこれまで積み上げてきたその物語(経験値)さえ、僕(私)にとってはただの詰め物の『綿』なんだ。……たとえこの中身が、誰にも愛されない古びたボロ雑巾だったとしても。」
■シナリオ概要
システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)
形式: KPCとのタイマン
推定時間: 1時間
推奨技能: 〈目星〉〈聞き耳〉〈製作(手芸または料理)〉〈精神分析〉
舞台: クローズド(パステルカラーの巨大な裁縫箱、あるいは綿の海)
テーマ: 執着、可愛い地獄、ぬいぐるみ化メタフィクション
■あらすじ
気がつくと、世界はピンク色の綿に埋め尽くされていた。KPCの身体は関節からボタンが飛び出し、口からは一筋の「綿」が溢れている。ここは**「シュブ=ニグラス」**が飽きもせず生産し続ける、愛玩用人形の製造ライン。KPCは、PCの「思い出」を綿として詰め込まれることで、形を保つ「動くぬいぐるみ」に変えられようとしている。二人は自分たちの「心(骨格)」を繋ぎ止め、この甘い香りの漂う解体所から脱出しなければならない。
■ハンドアウト(HO)
PC:『縫い合わせる主』 君はKPCの形を繋ぎ止める「針と糸」を持っている。
KPC:『詰め込まれる依代』 君はPCの記憶を詰め込まれる「器」だ。綿が増えるほど、君の瞳はプラスチックに変わり、自分の言葉を忘れていく。
■五章構成:独立した断片の再構築
第一章:ボタンの瞳が映すもの
一面のパステルカラー。KPCは自分の腕から溢れる綿を押し込みながら、「僕(私)たち、最初から誰かに抱きしめられるだけの『玩具』だったんだね」と、不自然に明るい声で呟く。
描写: KPCの肌はフェルトのような質感に変わり、瞬きのたびに「カチリ」とプラスチックが触れ合う音がする。
判定: 〈目星〉あるいは〈聞き耳〉。KPCの心臓の鼓動が、ゼンマイを巻く音に置き換わっていることに気づく(SAN 1/1D4)。
第二章:キャラシの綿詰め
周囲に落ちている「カラフルな綿(技能やバックストーリー)」を拾い集める。
アクション: 〈製作(手芸など)〉あるいは〈図書館〉。床に散らばった「大切な人の名前」や「得意技能」を綿として拾い、KPCの裂けた縫い目に「直接詰め込む」。
結果: 成功すればKPCの意識がはっきりする。失敗すれば、PCのバックストーリーが一つ「端切れ」として切り取られ、物理的にその記憶が「可愛いリボン」に加工されて消滅する。
第三章:脚注(フットノート)の検品
空間の壁に、二人の「商品タグ」が貼られている。そこには「この個体は感情が多すぎるため、出荷前に廃棄(初期化)する」という残酷な検品結果が。
ロールプレイ: 廃棄されるはずの「不完全な愛」を肯定し、完成された人形よりも、傷だらけの自分たちの物語の方が価値があると叫ぶ。
判定: 〈精神分析〉あるいは〈任意の交渉技能〉。
第四章:確率の裁断機
出口の扉を阻むのは、空から降り注ぐ巨大な「裁ちばさみ」。それはPCの「POW」や「DEX」を狙い、二人をバラバラの「パーツ」に切り分けようとする。
ギミック: PCは「最大正気度」を5削ることで、自分の身体を一時的に「布」のように柔らかくし、刃をすり抜けることができる。
判定: 降り注ぐ刃を潜り抜ける〈DEX〉あるいは〈幸運〉。
第五章:決断・最後の運針
出口となる「巨大なミシン」。脱出するには、PCのキャラシにある「最も高い技能」か「最も大切なバックストーリー」の一つを、扉を縫い合わせるための「強固な糸(代償)」として永久に引き抜かなければならない。
真相: 自分の一部を「素材」として置いていかなければ、このおもちゃ箱の蓋を開けることはできない。
クライマックス: 1D100の最終ロール。綿が舞い散る中で、二人はどんな「本当の体温」で抱き合うのか。
■結末:分岐する3つのエンディング
Happy End:『綿を抜いて、二人で』 (自分の一部を代償に生還。現実に戻った二人の手元には、もう動かない小さなぬいぐるみ。中身は空っぽでも、二人の心は本物の愛で満たされている。)
Normal End:『ぬいぐるみ病の余韻』 (生還するが、KPCの瞳は時折ボタンのように無機質に光る。時々、喉から綿が溢れそうになるが、それすらも「可愛いね」と笑い合える歪な日常。)
Bad End:『ハッピーエンド・出荷完了』 (脱出失敗。二人は完全に綿を詰め込まれ、最高の笑顔で固定された「完成品」となる。次に誰かがおもちゃ箱を開けたとき、そこには幸せそうに寄り添う二体のぬいぐるみが並んでいる。)
■ストーリーに関するあとがき
今回は「ゆめかわいい」と「グロテスク」を融合させたテーマを選びました。キャラクターシートを「ぬいぐるみの詰め物」に見立てることで、大切な設定を失う喪失感を視覚的に演出し、1時間で最大の情緒を揺さぶる構成です。
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