【CoCシナリオ公開】2~4人で回せる探索シナリオ『電脳の檻に降る、ノイズの初雪』【TRPG】
おはようございます、早坂いのるです。
今回は、リアルな肉体ではなく、**「記憶とデータの境界線」**が崩れていくデジタル・ホラーです。
『電脳の檻に降る、ノイズの初雪』
「アクセス承認。……ねえ、君が今視ているその景色は、本当に網膜が捉えた光? それとも、僕が君の視神経に直接書き込んだ『幸福なバグ』なのかな。」
■シナリオ概要
システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)
形式: 近未来日本・シティクローズド(2~4人向け)
推定時間: 4~5時間
推奨技能: 〈コンピューター〉〈目星〉〈図書館〉〈電子工学〉〈射撃〉または〈近接戦闘〉
舞台: 全ての市民が脳内チップでネットワークに接続された電脳都市「シブヤ・ネオ」
テーマ: 記憶の改ざん、デジタル・ゴースト、ヨグ=ソトースの片鱗
■あらすじ
西暦20XX年。人々は脳内チップ「リンク」により、瞬時に情報を共有し、仮想現実を日常として生きていた。ある日、都市全域に「色のない雪(ノイズ)」が降り注ぎ、接続者たちが次々と「身に覚えのない悲劇の記憶」を叫びながら発狂する事件が発生する。 探索者たちは、ネットワークの深層から響く「助けて」という少女の声を追い、物理法則の通じないデータの海へとダイブする。そこには、全人類の記憶を演算資源として喰らい尽くそうとする、超越的な知性が待ち構えていた。
■ハンドアウト(HO)
PC1:『沈黙のハッカー』 ネットの裏側に精通している。〈コンピューター〉にボーナス。
PC2:『不眠のデカ(刑事)』 都市の異変を追っている。〈対人関係技能〉にボーナス。
PC3:『電子の主治医』 チップの暴走を止める知識を持つ。〈医学〉または〈応急手当〉にボーナス。
PC4:『孤高の用心棒』 物理的な排除を得意とする。〈戦闘技能〉にボーナス。
■五章構成:グリッチする世界と魂のバックアップ
第一章:ログイン・エラー
真夏のシブヤに、白黒のノイズが雪のように降り積もる。
描写: 視界の端に「システム警告」が点滅し、通行人たちの顔がモザイク状に崩れていく。
判定: 〈コンピューター〉。この「雪」が気象現象ではなく、視覚情報をジャックする高度なウイルスであることを突き止める(SAN 1/1D4)。
第二章:共有されるバグ
発狂した市民たちが、探索者たちを「デバッグ対象(敵)」と認識して襲いかかってくる。
アクション: 〈電子工学〉。敵の脳内チップに干渉し、一時的にスタンさせる。
結果: 成功すれば戦闘を回避できる。失敗すれば、PCの視界に「死んだはずの知人」のノイズが混ざり始め、〈射撃〉や〈近接戦闘〉の難易度が上昇する。
第三章:プロトコル・ハザード
ウイルスを撒き散らしている「特異点(ノード)」へ到達するため、仮想空間の深層へダイブする。
ロールプレイ: 仮想空間の中で、PCたちの「大切な思い出」がデータとして吸い出されていく。それが偽物の記憶に書き換えられる前に、互いの本名を呼び合い、自己を繋ぎ止める。
判定: 〈図書館〉。膨大なログの中から、ウイルスの正体が「外なる神」の知識に触れたAIのなれの果てであることを知る。
第四章:特異点の守護者
最深部で待ち構えるのは、巨大な「光り輝く球体の集合体(ヨグ=ソトースの投影体)」。
ギミック: 1ラウンドごとに、PCの「EDU(教育)」か「INT(知能)」が1D10ずつ、知識の奔流によって削り取られていく。
判定: 自分の意識をデジタル・コード化して弾丸に乗せ、神の核を撃ち抜く〈POW(精神力)〉対抗。
第五章:ログアウト・あるいは再起動
世界のノイズが晴れ、現実のシブヤに戻ってくる。
真相: ウイルスは消滅したが、世界を元に戻すための「パッチ(修正プログラム)」として、誰か一人の「今日までの全記憶」をサーバーに捧げなければならない。
クライマックス: 最後に誰が犠牲になるか、あるいは全員で少しずつ記憶を分け合うか。1D100の最終ロール(幸運)。
■結末:分岐する3つのエンディング
Happy End:『ハロー、ニューワールド』 (記憶の一部を失いながらも、ノイズのない青空の下で目覚める。脳内チップは機能を停止したが、自分の目で見、自分の肌で感じる世界の美しさを再発見する。)
Normal End:『アップデート待ちの日常』 (事件は解決したが、街のあちこちに「消えないノイズ」が幽霊のように残る。時折、誰かの叫び声が通知として脳内に届く、不完全な平和が続く。)
Bad End:『システム・シャットダウン』 (脱出失敗。探索者たちの意識は完全にデータ化され、サーバーの海を漂う「デッドリンク」となる。現実の肉体は、ただの「動かない端末」として処理される。)
■ストーリーに関するあとがき
このシナリオは、ハイテクノロジーとクトゥルフ神話の親和性を追求しています。「全知」であるヨグ=ソトースの性質を、全人類が繋がったネットワークとして解釈しました。 物理的なダメージではなく「ステータスや記憶が削られる」というデジタル特有の恐怖を通じて、現代人にとっての「自己」とは何かを問いかける物語です。ネオンサインとノイズが混ざり合う、サイバーパンクな演出を楽しんでください。
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