見出し画像

【CoCシナリオ公開】2~4人で回せる探索シナリオ『名もなき雛は、黄昏の檻で孵る』【TRPG】

おはようございます、早坂いのるです。
今回は、「因習村」をテーマにしつつ、現代的なエゴが交錯するシナリオです。


『名もなき雛は、黄昏の檻で孵る』

「ねえ、知ってる? この村では、夕暮れ時に自分の影を踏んじゃいけないんだって。……影が、自分より先に家へ帰りたがっちゃうから。」

■シナリオ概要

  • システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)

  • 形式: 現代日本・村クローズド(2~4人向け)

  • 推定時間: 4~5時間

  • 推奨技能: 〈目星〉〈オカルト〉〈歴史〉〈忍び歩き〉〈対人関係技能〉

  • 舞台: 外部との接触が絶たれた廃村「雛形村(ひながたむら)」

  • テーマ: 土着信仰、血縁の呪縛、身代わり

■あらすじ

探索者たちは、行方不明になった友人の足取りを追い、地図に載っていない山奥の廃村「雛形村」へと辿り着く。そこでは、顔を隠した村人たちが「雛送り」という奇妙な儀式の準備を進めていた。 村の伝承によれば、この地には「主(あるじ)」と呼ばれる古き神が眠り、その怒りを鎮めるために、村人は自分たちの身代わりとなる「雛」を捧げ続けてきたという。探索者たちは、自分たちがその「雛」として選ばれたことに気づき、日没までに村の因習を打破しなければならない。

■ハンドアウト(HO)

  • PC1:『過去を持つ来訪者』 この村の名前に見覚えがある。〈歴史〉にボーナス。

  • PC2:『真実を追う記者』 失踪事件の裏側を知っている。〈図書館〉にボーナス。

  • PC3:『霊感のある学生』 村に漂う「気配」に敏感。〈オカルト〉にボーナス。

  • PC4:『強健な同行者』 何かあった時に頼れる力。〈回避〉にボーナス。

■五章構成:静かな侵食と血の系譜

第一章:境界の鳥居

深い霧の中、探索者たちは村の入り口にある、朽ち果てた「真っ黒な鳥居」をくぐる。

  • 描写: 鳥居をくぐった瞬間、スマートフォンの電波が消え、時計の針が逆回転を始める。

  • 判定: 〈目星〉。道端に並ぶ地蔵の顔が、すべて「探索者たちの顔」に似ていることに気づく(SAN 1/1D3)。

第二章:顔のない饗宴

村長から「客人」として歓迎を受け、夕食を振る舞われる。

  • アクション: 〈心理学〉あるいは〈目星〉。出された料理の中に「人間には馴染みのない部位」や「古い髪の毛」が混じっていることに気づく。

  • 結果: 食べてしまうと、最大MPが1D4減少し、一時的に村の「主」との精神的な繋がり(同調)が強まってしまう。

第三章:蔵の中のパピルス(古文書)

夜、村の広大な蔵に忍び込み、儀式の正体を探る。

  • ロールプレイ: 見守り役の老人(NPC)との対話。村が生き残るために行ってきた「口減らし」の残酷な歴史を突きつけられる。

  • 判定: 〈オカルト〉または〈歴史〉。儀式を阻止するには、奉納された「首のない雛人形」に、正しい主の名を書き込まなければならないことを知る。

第四章:影踏みの儀

「雛送り」が始まる。村人たちが松明を手に、探索者たちを囲い込む。

  • ギミック: 月明かりの下、自分の「影」が勝手に動き出し、探索者の首を絞めようとする。

  • 判定: 自分の影を制御するための〈POW(精神力)〉対抗、または影から逃れるための〈忍び歩き〉。

第五章:孵化する悪夢

村の奥にある「虚無の祠」での最終決戦。

  • 真相: 村が祀っていたのは「イグの落とし子」あるいは「無名の古神」の断片。探索者の一人が、その神の「器」として設計されていた。

  • クライマックス: 祠の中に鎮座する巨大な卵が割れる前に、自分たちの「名前」を叫びながら、雛人形に呪いの言葉を刻み込む。1D100の最終ロール(POW)。

■結末:分岐する3つのエンディング

  • Happy End:『名前を取り戻した朝』 (儀式を破壊し、夜明けとともに村を脱出する。村は霧の中に消え、二度と辿り着けなくなる。探索者たちは「自分は自分である」という強い確信を持って日常へ戻る。)

  • Normal End:『雛の残り香』 (生還するが、鏡を見るたびに自分の顔が「村で見かけた地蔵」のように無機質に見える瞬間がある。時折、背後に誰かの影が寄り添っている感覚が消えない。)

  • Bad End:『祀られる者』 (脱出失敗。探索者たちは「雛」として祠の中に永遠に閉じ込められる。数十年後、また別の「来訪者」が村を訪れたとき、彼らを迎えるのは木彫りの人形になった君たちだ。)

■ストーリーに関するあとがき

このシナリオは、日本の土着的な恐怖と、クトゥルフ神話における「異界の神との交信」を融合させています。「影」という自分の一部が敵になるギミックは、心理的な不安を煽ると同時に、他者と協力して自分の境界を守るというTRPG的な連帯感を強調しています。 静かな村の夜が、一転して狂信的な儀式の場へと変わる緩急を楽しんでいただければ幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

早坂いのる 励みになります。